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店主と、本のある暮らし September 2022

こんにちは。いどうほんやKOKOです。
Instagramにて連載中の、【店主と、本のある暮らし】を
noteにも投稿していきたいと思います。

本との出会いや、交流のきっかけになればとても嬉しいです。


よあけ

September 4, 2022

湖畔に、家族キャンプに出かけました。
到着するなり、子どもたちは湖に向かって駆け出し、冷えすぎるのではないかという親の心配をよそに、ずぶ濡れになって遊びました。
泳いでもいないのに、なぜそんなに濡れた?と思うほど。

ボートにも乗って、夕暮れには焚き火を囲んでのんびりごはんとおやつをいただき、花火を楽しみ、寝る前には子どもたちの大好きな『めっきらもっきらどおんどん』を読んで。

でも、湖で過ごす間、ずっと私たち大人の心の中にあったのは、ユリー・シュルヴィッツの『よあけ』でした。

音もなく、寒く湿った夜明け間近の湖畔。
次第に風が動き出し、鳥が鳴き交わし、木の下で眠っていたおじいさんと孫は、ボートで湖に漕ぎ出します。
ページをめくるたびに色づき広がってゆく景色、
そして圧巻の……!!

人間の感性は、自然の風景を美しいと感じるようにできているのでしょうか。

美しい、心地よいと思う気持ち、心が解放されてゆく感覚には、抗いようがありません。

『よあけ』は、中国の詩人柳宗元の『漁翁』という詩をモチーフに作られた絵本です。
きっとみんな、抗えなかったんだろうと想像してしまいます。

湖の朝を経験した我が子たちに、今こそ読んであげようと思います。

***
『よあけ』
作・画:ユリー・シュルヴィッツ
訳:瀬田貞二
発行:福音館書店 1977年初版


つきよのおんがくかい

September 8, 2022

もうすぐ十五夜ですね。
十五夜とは、旧暦の8月15日のこと。
十五夜と満月が同じ日にならない年もありますが、今年は同じ日です。

十五夜といえば何をしますか?
お月見?お団子?ススキを飾る?
もしかすると、特に何もしないという方も多いかもしれませんね。

豊作をお祝いし感謝する日というイメージも強いですが、かつては、貴族たちが美しい月を見ながらお酒を飲んだり、詩歌管弦を楽しんだりする日だったそうです。

そうか、やっぱり満月には音楽だったのだ!

実は、満月の夜にワニ、カバ、ゾウ、キリン、サルが集まって、ジャズに合わせて歌い踊るというお話を、寝かしつけの作り話で語っていたことがあるのですが……

この世には、もうすでに素敵な絵本が存在していました。
ジャズピアニストの山下洋輔さんの絵本、『つきよのおんがくかい』は、主人公のこうちゃんが、満月を見に山に登っていくところから始まります。すると突然、動物たちのジャムセッションが始まり、こうちゃんだけではなく、読み手をも強引に引き込んでいきます。
月のことなど忘れそうになりますが、ちゃんと月が照らしていてうっとり。
音の表現がとても面白くて、子どもたちは大喜びです。

十五夜までに出店がないのが残念ですが、満月は毎月ありますからね!ぜひ、お手に取ってみてください。

今年の十五夜、家族で演奏会でもしてみようかな。

***
『つきよのおんがくかい』
文:山下洋輔
絵:柚木沙弥郎
構成:秦好史郎
発行:福音館書店 1999年初版


干したから…

September 14, 2022

どうして食べ物を干すの?
何かいいことがあるの?
干すという技術、素晴らしい大発見だと思いませんか?

一年を通して、生の食材が安全に食べられるようになった現代においても、やはり干したものは最強です。
その代表格が、お米ではないでしょうか。
『干したから…』に曰く、一年に一回しかとれなくても、毎日食べられるように、干せば保存がしやすくなる食べ物を主食としたのかもしれないと。
なるほど、そうかもしれませんね。

干し椎茸や昆布、鰹節に煮干し、干したものからはいいお出汁が出ます。
干し芋やドライフルーツやスルメなどはおやつにもぴったり!
本を読みながら、家の中の干した食べ物を探してみるのも面白いかもしれません。

干したもの、すごい!
この本には干し方も載っています。
収穫しすぎた野菜、冬に備えて干してみてはいかがでしょう!

***
『干したから…』
写真・文:森枝卓士
発行:フレーベル館 2016年初版


こぐまのくまくん

September 21, 2022

クマが冬ごもりの準備を始める季節になり、市街地での目撃情報も相次ぎました。
クマも脂肪を蓄えるために必死です。
お互いのために、できれば遭遇したくはありませんね。

でも、クマは、かわいいというイメージも強い動物です。
絵本には、クマが登場するお話がたくさんあります。

今日はその中から、最近とても共感した一冊をご紹介します。

『こぐまのくまくん』は、好奇心旺盛なこぐまです。
自分の誕生日に誕生日スープを作ったり、手作りの宇宙帽で月をめざしたり。
ある日、なかなか寝付けないくまくんに、お母さんはお話をして聞かせます。
そこでくまくんは、「おかあさん、いつも、ぼくのよろこぶこと、してくれるね」というのですが、その後のお母さんの返しに「いいね」を連打したい!

「あなたのことが大好きだからよ」なんてことは、くまくんのお母さんは言いません。
くまくんのお母さんがくまくんを愛していることは、お話を聞かせているところからも十分伝わってくるのですから、ここであえて言わせる必要はないのですよね。
(現実の世界では、どんどん言ってくださいね!)

どちらかというとくまくんの目線で読んでいた物語が、一気に自分側に引き戻されて、ニヤリと笑える一言です。
寝かしつけに悩んでるお父さんお母さん、ぜひ、読んでみてください。

9月24日のKITANAGA(@kitanaga_hokkaido )さんには、くまの絵本を集めてお伺いする予定です。
キャンプでご宿泊以外の方もOK!
ぜひお越しください☆

***
『こぐまのくまくん』
文写:E・H・ミナリック
絵:モーリス・センダック
発行:福音館書店 1972年初版


ピアノはっぴょうかい

September 24, 2022

芸術の秋。
学校や、習い事の発表会も増えてくる季節ですね。

長女は昨年、初めてのピアノの発表会を経験しました。
さぞ緊張しているだろうと見守っていると、あれ?いつも通り?
むしろ堂々としているように見える姿は、なんだか拍子抜けするほどでした。

自分の時はどうだったかなと古い記憶を辿ると、
練習の日々や衣装選び、会場の廊下、舞台袖から小さく見えるグランドピアノ、照明があたって眩しいほど白い鍵盤。
息を吸い込んで最初の音を弾いた瞬間、いつもより響いているように感じて、ドキッとしたあの気持ち!
思い出せるのはここまででした。

不思議なことに、演奏中のことはすっかり忘れてしまっています。
舞台に上がったら、あとは自分を信じて楽しんで弾くだけ。
指が勝手に動いてくれることを祈る!
そう思って、まさに我を忘れて夢中で弾いていたのかもしれません。

『ピアノはっぴょうかい』は、そんな発表会の気持ちに寄り添ってくれる一冊です。

ももちゃんの初めてのピアノの発表会、舞台袖で出番を待っていると、こねずみが現れて「あたしたちもはっぴょうかいしてるの。ももちゃんもみにおいでよ」と誘います。

発表会の後に、労いの言葉とともに、読んであげるのもいいかもしれません。

9月26日のブランチ(@branch_sapporotsukisamu )には、音楽も含めた、芸術と創造の絵本を集めてお伺いする予定です♫
ぜひ、お越しくださいね!

***
『ピアノはっぴょうかい』
著:みやこしあきこ
発行:ブロンズ新社 2012年初版


天山の巫女ソニン

September 26, 2022

今年の夏は、ソニンの夏でした。
どういう訳か、今年に入って複数の方におすすめしていただいた『天山の巫女ソニン』シリーズ(全5巻)。
これは何かのご縁と思い読んでみたのですが、その世界観にするすると引き込まれました。

物語は、人里離れた天山で「夢見」という能力によって人々に助言を行う巫女だったソニンが、その才能を発揮できず、里に帰されてしまうところから始まります。

今まで当たり前だったことに疑問を持つようになったり、自分のネガティブな感情に気付いたり。

それはきっと、思春期の頃に多くの人が経験する、時には苦しくて大変な出来事ですが、ソニンは素直に明るく向き合っていきます。

そのふしぎな魅力は、周りの人に変化をもたらし、豊かな人間関係を育み、世界を変えていきます。

ソニン自身の成長物語は、きっとこれからも続いていくのだなと感じられるからこそ、最終巻を読み終えるのが名残惜しい。
そんな物語でした。

現時点でKOKOにはお取り扱いがないのですが、今年の夏の読書の思い出に、ご紹介してみました。
仕入れてみようかどうしようか、検討中です。

***
『天山の巫女ソニン 一 黄金の燕』
著:菅野雪虫
発行:講談社 2006年初版


フェラーリ迷路

September 30, 2022

みなさん、クルマはお好きですか?
私はクルマで営業しているため、最低限の知識は身に付けなければと思っていますが、実はクルマにはほとんど詳しくありません。
特に、メーカーや車種は覚えらないのですが、どういうわけか、クルマを見たり運転したりするのは好きなのですよね。(もしかするとこの傾向は、クルマに限ったことではないのかも?)
特に、オフロードで活躍するような、無骨なクルマにはキュンとしてしまいます。

小さな子どもたちには、はたらくクルマが大人気ですよね。
絵本も、はたらくクルマのものはたくさんありますが、それ以外のものは、KOKOの本棚にも少なめでした。

そこで探し始めた、スポーツカーを扱った絵本。

真っ先に見つけたのは、この『フェラーリ迷路』です。
フェラーリの公式ライセンスに基づいて作られた迷路絵本なのですが、デザインも洗練されてカッコよく、迷路としても面白い!
2人で遊べるページもあるので、ご兄弟や親子でも楽しめそうですよ!

今週日曜日は「なんぽろラジフェス(@nanporo_rcfes )」に出店します!
クルマの絵本(はたらくクルマも、もちろん『フェラーリ迷路』も)を積んで、遊びにいきますね。
我が子たちも、主催の南幌ガレージさん(@nanporo_garage )で手に入れたかっこいいミニ四駆を持参して遊びに行くのを、今から楽しみにしているようです。

***
『フェラーリ迷路』
絵:ヴェロニカ・ポッツィ
訳:宮坂 宏美
発行:あかね書房 2018年初版

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