見出し画像

レティシア書房店長日誌

croixille×レティシア書房「Laeticroix(レティクロア)……夏の本たち」
 
 京都市内にあった古書店croixilleと当店のコラボ「古本市」。内外の文学、エッセイ、評論などを店内に並べました。
 どんな本が出ているか、少しだけご紹介いたします。
 

 古本市に一時よく出品されていて、最近見かけなくなったな〜と思ったのが、カレル・チャペックの「子犬のダーシェンカ」(ブロンズ新社500円)「ダーシェンカあるいは子犬の生活」(メディアファクトリ−500円)です。後者は、1933年に出版されて以来のロングセラー本でチェコ語の原本から全訳です。犬好きの方へオススメの2冊です。
 堀江敏幸の「音の糸」(小学館500円)、佐藤正午の「小説家の四季」(岩波書店1000円)は、作家のエッセイとして絶好の読み物です。「音の糸」は著者初の音楽エッセイ集です。
 「振動を伝える空気の湿度や空間のヴォリュームや残響などの組み合わせがひとつ狂うと、音は変わってしまう。録音であれば、再生装置によっても音の姿は一変する。聴く側は、音楽がつねに揺れ動き、異なる表情を見せることを認めながら、それでもなお崩れず壊れず、最後まで持ちこたえる核に似た何かをつかみ取って、好みの範疇に脳内で調整するのだ。」
という文章を読んだ時に、音楽を聴くという行為がどういうものなのかを明確に教えてもらったと、今でも思っています。
 

 音楽関係では、村上春樹作品に登場する音楽を丁寧に拾いあげて解説した「村上春樹の100曲」(立東舎1200円)や、音楽ライターの今井智子が長い間の交際を通して忌野清志郎の魅力を語り尽くす「Dreams to Remennber 清志郎が教えてくれたこと」(飛鳥新社700円)は、中身の濃い本です。
 東京の書店「Title」店主辻山良雄の「365日のほん」(河出書房新社700円)は、文庫サイズ。手元に置いておきたい一冊です。
 「日本には四季がありますが、性格が異なる四つの本棚を思い浮かべて、その季節の本棚に合った本を並べています。そうしてできあがった小さな本が、この『365日のほん』。暮らしの近くでいつでも手に取っていただけるよう、ポケットサイズの大きさにしています。」と本書の出版の趣旨を書いています。短い文章で、古今東西の本を解説してあります。本選びに役立つ強力な味方です。同じ著書の「ことばの生まれる景色」も出品されていましたが、紹介する前に売れてしまいました。
 もう一冊。お馴染みの書評家の岡崎武士の「明日咲く言葉のタネをまこう」(春陽堂書店700円)は、サブタイトルに「心を耕す名言100」とあるように、膨大な数量の書物、映画、音楽から著者のセンスで選んだ名言集です。
 「あんたのままのあんたでおいでよね」この言葉を取り上げて、中島みゆきがDJ をしていた「オールナイトニッポン」から生まれた「ファイト」という曲についてなど、著者の解説がどれもいいんです!
 と、こんな風に多くのジャンルの本が出品されています。そして安い!なんと、名エッセイスト山田穂の「こないだ」(編集工房ノア)も1100円で出てますよ!(古本市は8月4日まで)

●レティシア書房ギャラリー案内
7/24(水)〜8/4(日)「夏の本たち」croixille &レティシア 書房の古本市
8/21(水)〜9/1(日) 「わたしの好きな色』やまなかさおり絵本展
9/4(水)〜9/15(日) 中村ちとせ 銅版画展

⭐️入荷ご案内
Kai「Kaiのチャクラケアブック」(8800円)早乙女ぐりこ「速く、ぐりこ!もっと速く!」(1980円)
子鹿&紫都香「キッチンドランカーの本2」(660円)
夏森かぶと「本と抵抗」(660円)
加藤和彦「あの素晴らしい日々」(3300円)
若林理砂「謎の症状」(1980円)
宇田智子「すこし広くなった」(1980円)
おぼけん「新百姓宣言」(1100円)
仕事文脈vol.24「反戦と仕事」(1100円)
些末事研究vol.9-結婚とは何だろうか」(700円)
今日マチ子「きみのまち」(2200円)
秋峰善「夏葉社日記」(1650円)
「B面の歌を聴け」(990円)
辻山良雄「しぶとい10人の本屋」(2310円)
辺野古発「うみかじ8号」(フリーペーパー)
夕暮宇宙船「小さき者たちへ」(1100円)
「超個人的時間紀行」(1650円)
柏原萌&村田菜穂「存在している 書肆室編」(1430円)
「フォロンを追いかけてtouching FOLON Book1」(2200円)
庄野千寿子「誕生日のアップルパイ」(2420円)
稲垣えみ子&大原扁理「シン・ファイヤー」(2200円)
「中川敬とリクオにきく 音楽と政治と暮らし」(500円)
くぼやまさとる「ジマンネの木」(1980円)
おしどり浴場組合「銭湯生活no.3」(1100円)
「てくり33号」(770円)
岡真理・小山哲・藤原辰史「パレスチナのこと」(1980円)

 



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?