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とりとめのないこと2022/10/30-11/05

明後日の11/08は皆既月食らしい。
満月になると月の重力によって、妻も僕もデネブに行くロケットの加速度がいつもより速いことを感覚的に知っている。

ただそれくらいしか目立った変化のない一週間。
何となく娘の背丈が伸びた気もする。
月によって引っ張られてるからだろう。

妻の生理もこのあと来る。
月によって引っ張られてるからだろう。

僕の扁桃体も空に向かって伸びる。
月によって引っ張られてるからだ。
自分の頭の中だからこれは分かる。

他人の頭の中の扁桃体は脳波かCTとかそういうのじゃないとわからない。
でもそのうちに、そうした電気的変化から過去が否応なく暴かれて、「秘密」がなくなるんだろうか。

もし「秘密」がなくなったら、世界中が平和になると思う?

秘密なんてのは都合の良い綺麗な言葉でしかないときだってあるし、無邪気で可愛らしいものだってある。

例えば、昔、彼女が生理前だったら適当にあしらって、会わないようにして、揉め事を避けてた、とか。

あるいは、墓場まで持っていくであろう秘密を打ち明けたくてうずうずし始めるひとも、暴かれるかもしれなくてドキドキしてるひとも、その感覚は呼吸にほんのりと表れてしまい、月の重力が最高になったら、ぎゅわんと白状してしまうひとたちもいる。

そういうのを書く行為、つまり、労働で強制的に吐き出して、セックスかオナニーして、あぁー、ってなるひとたちも──世の中では「先生」と呼ばれてるかもしれないけど──いるかもしれない。あぁーってなる瞬間だけはなんびとも聖者になる。
でも、そんなのは幻想でしかない。
賢者どころかただのヒトにもどり、数秒から数分かけて不連続で稠密なおはじきまみれの世界、現実に引き戻される。
おはじきの世界の向こう側はサクマ式ドロップスの空き缶の蓋の奥だ。
そんなところへ行けるのはこの世の中でアリンコとか蝶々くらいだし、彼らはサクマ式ドロップスの缶の中では生きれない。
僕は「先生」でもないのに時々そうしてる。
そういうのはゴミ箱行きです。
で、ゴミ箱を漁って、小さな古びたチケットを見つけたりする。

白鳥座 デネブ行き おとな2名 こども1名
皆既月食の日のみ有効
有効期限なし ※おやつはバナナまで

ロケットの中では『地下室の手記』でも久しぶりに再読しようかなぁ。
なぜだかちゃんとした小説読みたくなった。

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