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読んだ本の感想

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卍丸的な読書感想文集
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#須賀敦子

須賀敦子さんのイタリア文学論を読む  第2回 現代詩論編

はじめに前回の中世詩論に続き、今回は須賀敦子さんのイタリア文学論から現代詩論について。 …

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須賀敦子さんのイタリア文学論を読む  第1回 中世詩論編

はじめに二〇二二年九月十七日から、一日一篇須賀敦子 というハッシュタグをつけて、僕は毎日…

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とりとめのないこと2023/03/20 185日目の一日一篇須賀敦子───須賀敦子さん没後25年…

一通のメッセージ───「おはよう。 ご存知かもしれないんだけど、今日は須賀敦子さん没後25…

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『スティル・ライフ』 池澤夏樹

僕の好きな世界感、感性、知性、美で僕をとりまく世界を埋めたい。 言葉は使い古され少しずつ…

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軽薄な私

志賀直哉含め、僕は硬質でありながら柔らかな自然の情景、相反するかのような陰翳の描写──そ…

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『ある家族の会話』 ナタリア・ギンズブルグ

こんなにひとりの翻訳者を追いかけたことはないかもしれない。 須賀敦子全集から知ったナタリ…

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シノワズリ柄のブックカバーと栞

外は時々、霧雨のように細かい雨が降る。 数ヶ月ぶりに裏山に行った。山の向こうは海が広がる。小さな木立で雨粒を見ていると、親しみ深い柔らかい土たちが少し心が硬くなった僕に「おかえり」と優しく言ってくれているように思えてくる。 鳥たちの声に混じって、静かに降る雨。木々の枝のうねりに落ちるいく筋もの細かい雨はシノワズリの柄のようだ。 蘇州で買い求めた中国茶はとても美しいシノワズリ柄の茶筒だった。包装されていた箱も美しかった。裏山から戻り、簡易的なブックカバーと栞にした。 複雑

土曜の朝、須賀敦子全集第三巻を読み終える

早朝、まだ陽が登らない時刻、冬の蘇州の小さなホテルの一角にあるコインランドリーの並ぶ部屋…

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夜を流れる船のように── 2022年を振り返って

ひとまとまりの思考──さまざまな時代と文化背景の異なる言葉たちに出逢い、僕の心に浮かんで…

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Memoirs of Hadrian

回想とは、過去あるいは歴史における己の生への賛歌だろう。 誰かの頬をつたう涙はその讃歌の…

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一日一篇須賀敦子から『チェザレの家』

今日の一日一篇須賀敦子は、非常に興味深く読めた一篇、須賀敦子全集第三巻に収録されている、…

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古寺と須賀敦子と室生犀星

気付けばホテルの部屋は暗闇に包まれ、窓の外の高層ビル群は光彩を放ちはじめていた。 冬の上…

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秋、ある日のリルケ

柘榴、柿、栗、銀杏が裏の山で実り土に時折ぽとりぽとりと落ちている。 柘榴や柿は小鳥や鳶が…

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遠い水平線

著者 アントニオ・タブッキ 訳 須賀敦子 出版 白水社 何度目かの再読。 この作品は、個人的にタブッキ作品群の中で最も僕の感性に合う作品であり、とても好きだ。 あまりにも好きすぎて2冊ある😳 この作品はもともと『失われた遺体』というタイトルで、全く内容の異なる小説であった。イタロ・カルヴィーノに原稿を見せたところ、有益な意見や指摘を含む長い手紙が送られてきたという。その数年後に書き直したものが『遠い水平線』である。完成品に手を加えることをしない/満足しないなら出さない方が