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読んだ本の感想

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卍丸的な読書感想文集
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2022年12月の記事一覧

書かなければならない手紙2022

李さんが僕の髪に沢山のクリップを付けたあと、手ぐしでワシャワシャとしてワックスを息をころ…

13

夜を流れる船のように── 2022年を振り返って

ひとまとまりの思考──さまざまな時代と文化背景の異なる言葉たちに出逢い、僕の心に浮かんで…

16

Memoirs of Hadrian

回想とは、過去あるいは歴史における己の生への賛歌だろう。 誰かの頬をつたう涙はその讃歌の…

3

周瑜と野ばらと焼き芋と

 午前9時。宿泊中のホテル前で僕はウォンさんを待っていた。あるクライアントとの事業計画を…

13

『無垢の博物館』 オルハン・パムク

はじめに2008年のノーベル文学賞トルコ人作家、オルハン・パムク。(パムクのノーベル賞受賞ス…

20

一日一篇須賀敦子から『チェザレの家』

今日の一日一篇須賀敦子は、非常に興味深く読めた一篇、須賀敦子全集第三巻に収録されている、…

5

古寺と須賀敦子と室生犀星

気付けばホテルの部屋は暗闇に包まれ、窓の外の高層ビル群は光彩を放ちはじめていた。 冬の上海は寒暖差が激しいように感じる。 この数日あまり天候も冴えない。 どんよりとした雲が空を覆い、時には冷たい霧雨が街に立ち込めるときも増えた。 下に見えるアスファルトに所々まだ水たまりが残っていて、時々ビルのネオンや行き交う車のランプを反射させている。 少し歩かないといけないけれど、静安寺が行ける距離にある。 空海も遣唐使として訪れている寺は3世紀の三国時代に由来するほどの歴史を持つ。