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山本文緒さんの日記を読んで
ネコを飼うと、こうもネコにハマってしまうのか、と我ながら呆れますが、ネコが表紙に載っている本は、つい読みたくなってしまいます。
出版業界の人は、それをわかってるんでしょうね。
その心理を狙って、本の表紙にさりげなくネコを載せる…。
またしても、本の表紙にネコが載っていたので、つい買ってしまったのが、こちらの本。
山本文緒さんの『残されたぶつやき』。
ネコが可愛い。
山本文緒さんといえば、2022年に膵臓がんで亡くなっています。
最期の数カ月の日記がつづられた本が出版されたとき、おもわず書店で立ち読みし、呆然としたのを覚えています。
どんな内容か知らないまま、表紙がネコだからという理由で読んでみたら、中身は元気なころの山本さんのつぶやきと日記でした。
「うつ病で入院した時から、もうすぐ5年です」という文で始まり、ダイエットの話、女同士の旅の話など、中年女性「あるある」なエッセイが続き、日記へと続きます。
日記は、2008年「mixi を始めた」、2011年「フェイスブック登録したが、楽しみ方が全然分からない」、2012年「携帯をスマホに」、2016年「急にピアノを習い始める」、2017年「飼い猫が亡くなる」、2018年「25年前に書いた本のドラマ化、大ヒット」、2020年「7年ぶりに新刊『自転しながら公転する』を出す」と続いていました。
平成の頃が思い出される内容で、「そんな時代もあったなぁ」と懐かしく思いました。
ちなみに、2020年に出版した新刊は大ヒット。
「これほどの喜び、充実感、達成感は、自分の人生において他のことでは味わえないとしみじみ思いました」と感想が述べられてありました。
嬉しさが伝わってきます。
翌2021年1月『自転しながら公転する』が本屋大賞にノミネートされて、嬉しさ爆発!
と、ここで本は終わります。
「あれ、『無人島のふたり』とは、どうつながるんだろ?」
気になって、この本を(今度はちゃんと買って)読みました。
『無人島のふたり』は山本さんの闘病記なのですが、2021年5月からスタートしていました。
つまり、『残されたつぶやき』の最後が2021年1月 ⇒ 2021年5月から『無人島のふたり』とつながるわけです。
『残された…』ではよくある日常が面白おかしくつづられていたのに、いきなり余命4カ月!?
あまりに突然すぎないか?
『無人島のふたり』は、「突然すい臓がんと診断された。治療法はなく、抗がん剤で進行を遅らせることしか手立てはなかった」という文で始まります。
つい数か月前まで、本がヒットして充実感に満ち溢れた気持ちになっていたのに…。
人生って、はかなすぎる。
誰しも自分の最期をコントロールすることはできない、とリアルに感じました。
だからといって、「今やれることは何でもやろう」という気分にはなりませんでした。
私は年齢的には山本文緒さんより下ですが、平凡ながらすでにもういろいろやってきたので、そこまでやりたいことはありません。
今はネコがいてくれるだけで、十分幸せです。
「人生ははかない」と理解しつつも、淡々と一日一日を生きていくだけかな、と思っています。
それにしても、人生は、はかない。
みなさんにとって、今日もいい一日でありますように。
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