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読書メモ:売り上げ2.6倍で業績過去最高! ワークマン式エクセル

久しぶりに紙書籍をチョイス

紙の書籍の読書メモ、久しぶりだなあ。電子書籍が普及し始めた頃は、積極的に試そうと思っていたのだけれどいかんせん電子化されている銘柄が少なく、あれもないのかこれもないのかということで本を選ぶのもストレスだった。なので、例えばアマゾンだったらkindleストアに入ってそこから本を選んだりしていた。それでもやっぱり選択肢が狭くなるのは嫌だった。それからしばらく経って、今はオーディオブックストアの中で次読む本を決める。お散歩時間のパートナー探しみたいなもので音楽と競合している。自分の中では紙や電子の読書よりはもう少し軽い、別物な感じがしている。オーディオブック の得意不得意と、本のタイプで選べばいいと思っている。そういう意味で紙書籍と電子書籍とオーディオブックという選択肢があるのはとてもうれしい。

ワークマンの本、これまでに出ていた本は紙の本で読みました。

面白かった。ストーリーもビジネスモデルの話も驚きがあり、結果としてもパンチの効いた実績を叩き出している。こんな痛快なケースがあるんだなあ、そしてよくここまで取材したなあとうなった一冊でした。もう一冊、入山さんとの本も事例を立体的に浮き彫りにしてくれた。こちらもよかった。仕組みや考え方の転換もダイナミックでしびれるが、excelをみんなで使えるようにして自律的に提案やアイデア出し、仮説検証をできるようにしているということにかなり熱量が入っており、これはすごいのは分かるんだけど、一体どのように回しているんだろう、どういう仕組みや管轄でやっているんだろうと関心を持ちつつそのまま流れていった。

仕事に使う汎用アプリケーションの入門書

業務に使う汎用ソフトウェアの入門書は昔からあって、ソフトのバージョンアップによって改訂が繰り返されてきた。「仕事に使える初心者向けexcel入門」みたいな本だ。セルの概念から書式や基本操作をステップを追って、あるいはやりたいこと別にやさしく説明されている。これは入り口として必要な人は多いだろう。今は機能のメニューも多いので参照用の需要もあるでしょう。バージョンについては今365など常にアップデートされているけどその辺ってどうしているんでしょう。知らない。

でもレポート用にルーチンで更新された数値をコピペするだけならともかく、エクセルをツールとして業務改善や売上向上他の分析ツールとして使うというところが仕事として重要な部分であって、コンサル入れなくても、高度な販促支援ツールを使わずともここまでできるよ、またこのように使って成功しているよというのは、予算をなかなかかけられない中小零細企業については間違いなく切実な部分であって、それを専門部署に預けるでもなくスペシャリストを採用するわけでもなく全社(販売チーム全体?)取り組みにするというのはなかなかにユニークだ。ここから、私が本書を読んで思ったポイントは二つに分かれる。

excelの関数はフレームワークである

一つ目は、エクセルの関数や組み合わせ機能というのはそれ自体がフレームワーク的である、という点だ。機能説明を見て、この機能を使えばあの数字が定期的に出せるかもしれない、とか、数値化できずに悩ましかったパラメータが算出できるかもしれない、みたいな発想が出てくる。販売ツールのようなかっちりしたソフトウェアは設計当初必要と要件定義した結果については正確に迅速に出し続けてくれるだろうが、後工程としてもう一つ計算してほしいとなるとカスタマイズが工数的にも金額的にも結構かかったりもする。それ以前に、日常的に使用している本人たちもそれを理解していて、改善したいとか、こうなったらいいのになんて感覚すらなくなっている可能性だってある。どうせ提案しても却下されるだろう、なんて忖度もあるかもしれない。その点汎用ソフトであるexcelは備え付けの機能を使うだけだからカスタムは簡便で、個人的にカスタマイズできる。間違いも出るだろうし格差も出るかもしれないが、いい意味での競争が生まれ、社内でオープンソースプログラムの開発合戦が繰り広げられている、みたいなイメージで考えると、非常に今的で刺激的ではないかと思う。特にワークマンなどはFCの担当店に対して売上や在庫の数値改善の提案や相談などは定期レポートではなく、担当店に特化した特徴の分析や比較数字など、よりカスタマイズされた、深掘りしたデータは有用だろう。なのでこういう数字が出せたらこういうふうに提案できるのに、みたいな自律的な意識で数字と向き合い自分ごととして数字に触れるというのは組織自体がイノベーティブになりますよね。でも実際の導入と運用は大変だろうな、社内やりとりはteamsでやりましょうというのとは違うからねえ。そこはまた詳しく知りたいなあ、と思いました。

ビジネス実務にとってPCは切っても切り離せないので

もう一つは、これからのビジネス実務書のあり方についてだ。いわゆるビジネスの実務書というのはたとえば経理実務であるとか貿易実務、会議のやり方、営業マンが入社してはじめて読む本から経営分析の本、みたいな切り口の本が細分化されて並んでいます。入門書でいえば会社の、部署のマニュアルもあるところにはあるでしょうし、研修やOJTもあるでしょうが、それはそれとして入社するにあたっての心構えの準備とかで読まれることもあるでしょう。また新入社員として先輩に聞きにくかったり全然教えてもらえないカルチャーだったりということで必要になることもあるでしょう。そういう需要はまだあるとは思いますが、新人研修で知識として学ぶような事や、ビジネスでつまづく時の対処法などはかなり細かいレベルで知恵袋的なところをはじめネットに載っている。知りたいことがピンポイントなことであれば該当する書籍を探してその本から載っているところを探して、というステップを踏まなくてもよいのでネットの方が間違いなく早いわね。
一方で、excel活用法の研修やOJTまでやっている会社ってそんなに多くないんではないだろうか。業務システムのオリエンテーションや、excelを使った特定の管理方法の引き継ぎなどはあっても、excelを業務遂行ツールとして使っていく、というような発想での人材育成はあまり聞いたことがない。excelに限らず、文書作成、帳票作成、プレゼン資料などの実務は職種を問わず必要なのだからこれを一定のレベルまで習熟させるというのは一つのアプローチであり、それを強みにしている会社の実例というのは差別化の成功例として多くの人、会社に意味があるのではないだろうか。出版されている書籍のことを評して「意味があるのでは」というのもおかしいが、機能マニュアル的なハウツー(PC書)ではなくて、汎用ソフトの活用で業績をあげている会社のケーススタディというのはいわゆるビジネス書の領域にハマると思う。何がいいたいかというと、ビジネス実務書のそれなりの部分はPC書とのハイブリッドであるべきなんだ、というところである。PCを使った業務だからだ。なのでこのような、ワークマンで実際使っているシートの公開というのがバリューになるわけである。少し前にoutlookの効率アップみたいな本が出てオヤッというほど売れたが、ビジネスマンが個人差こそあれ毎日数十分、数時間使うツールをより効率的に使えるようになることに結構なパフォーマンスが見込まれることがわかってきたんじゃないか。在宅ワークで会議というとツールの使い方がネックになって効率が落ちたりというのは誰でも経験があると思う。ここ数年の新入社員はネット会議ネイティブだと思うが先輩上司が足を引っ張るかもしれないし、誰がどう育成していくかということに関してもノウハウや成功事例は意味をもってくるだろう。

以上二つの意味で本書のアプローチがユニークかつこれから開拓していくべき道を示唆しているような気がして非常に興味深かった。メモや解説がバキバキに入ったエクセルシートがダウンロードで提供されたらうれしいんだけどな。

書籍の内容よりビジネス書のフォーマットとかそっちの妄想をかき立てられた。ターゲット設定とか難しいですよね。私は中級者以上に足切りした方がよかったんではないかと思います。

それにしてもなんでこんな長文になってしまったのか意味がわかりません。例によって組み立ても考えず徒然に打っていたらこんなになってしまいました。思うところあったんだろうな。自然に長く書いてしまうような本に出会ったのはうれしいことだ。


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