クラム 極私的批評
スラップハッピーサッドな皆さん、たまご粥の中の胡麻みたいな品性でぽりぽりCATしてる?俺はしてない。つーわけで今夜はこいつでドラゲナイでよ。映画の概要?評価?見どころ?教えてあげませんだって私的なものだから。意味を求めたいならFilmarksへどうぞ!わたしがわたしを整理する思考実験天気予報番組。いってみようか。
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比較的短めな漫画が好き。最近良かったのだと、
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今は原作・折口信夫 漫画・近藤ようこ 「死者の書」を読んでいる。原作で分かりにくかった点が可視化されていて、とても良い。美しい人を手に入れたいという欲望は遥か昔から繰り返されてきたし、争いの種だ。
「漫画 風刺 フェチズム 内省 観察 愛 イラスト 家族 コミュニケーション 趣味 自意識」
ロバートクラムという漫画家のドキュメンタリーを見た。ありのまま感じたことを表現する人だった。愛される芸術家は往々にしてそうかもしれない。自己を掘り下げていくと知らぬ間に他者の生きるよすがやガイドラインになっている。そして私が大好物の「病んだアメリカ」を映し出していた。抑圧は欲望を引き伸ばしてゴムのようにパチンと切れる。クラムはひたすら描きまくっていた。いつでもどこでも。
彼の人生は絵と共にあって、5人兄弟の男3人は小さな頃からみんなイラストを描く。しかも上手くて独創的。自分はクラムを知らなかったけど、見ながら「あーチープスリルの絵の人か」と思った。
映画の構成が既存のドキュメンタリー然としていない点が素晴らしく、印象的だった。画家を取り上げる場合、実際にドローイングしているシーンが多用され、映像的快楽が僅かに停滞するように感じる表現をする作品が多いけど、本作はクラムの漫画作品やイラスト、彼が描き溜めた膨大なスケッチブックを存分に洪水的に映し出しつつ、彼の心理や家族との関係性、90年代のアメリカの淫らな街並みをシームレスに繋いでいた。
クラムはかなりの足フェチで、女性の身体性に病的なこだわりがあった。もう誰が見ても分かるくらい。「逞しいアマゾネス、筋肉は張り切って、尻肉はぎゅっと上がっている」ジューシーさが溢れていた。芸術ってやっぱリビドー如実に出るよね。
ポルノ雑誌の撮影シーンの時のクラムのでれでれっぷりが最高でした。絵や題材はナード感に溢れているのに、卑屈な言葉もカラッとしていて、どこでもフラットな表情と態度が凄く好人物に見えました。彼のように筋の通った「スタイル」がある人が好きです。
彼が何故絵を描くことになったのか。そして世界が彼を見つけ、カルト漫画家から引っ張りだこの人気作家になった過程。LSD体験から明らかに変化した筆のタッチ。さらにそこから自分の奥底に隠していた情念を作品に込め、人々を更に驚かせることになった経緯などが丹念に詰め込まれていて、知的興奮がずっと持続しっぱなしの素晴らしい映画体験になりました。彼の絵は何処までもパーソナルなものだったはずなのに、いつのまにか世界に散らばる無意識や欺瞞や人が見たくないようなモノまでも暴いてしまった。美がもたらす力と混沌と幸福な降伏。
そして本作に奇妙な魅力を付け加えているのは彼に漫画を描くきっかけを与えた兄と弟、及び家族たちとの歴史と現在の状況だ。家族たちとの関係性を描いた事で、映画内にある緊張が生まれる、そしてその緊張は残酷にも成就する。まるで彼の描いてきたイラストのように。
クラムは世界を見つめ、自分を見つめ、女性を見つめ、筆を動かし続けた。私は彼の描くものをもっともっと沢山見たいと思った。そして本作の監督テリーツワイゴフのゴーストワールドは友達にオススメされている事もあって、さっさと観なきゃなと思ったよ。
じゃあ、また街のどっか(インターネット)で会いましょうや。それまでお元気で。
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