見出し画像

終わりで始まりの4日間 極私的批評

この映画知ってる!って方コメント下さい。感想聞きたいです!個人的に10代のモラトリアム期を支えて貰ったとても大切な映画なんですけど、周りに見た人が全然居なくてしょぼしょぼしてます。良い映画だと思うんだけど、知られてなさげなんだよなー。

画像1

というわけで2004年公開の「終わりで始まりの4日間」について極々私的な感想をつらつらと。

出演しつつ初監督を務めたザックブラフとまだ若くてぷりんぷりんなほっぺのナタリーポートマンの2人が主演です。

以下あらすじ

アンドリューは、知的障害者を演じて以降は役に恵まれない俳優。故郷の父に処方された大量の精神安定剤を常用しながら、ベトナム料理店のアルバイトで生計を立てていた。
ある日、彼は父からの電話で母親の死を知らされる。アンドリューは薬を飲むことを止め、9年ぶりに故郷のニュージャージー州(通称Garden State、映画の原題です)に帰って来る。おばや父親との再会はぎこちないうえに、旧友たちと再会しても違和感を持ってしまうアンドリューだったが、父親に紹介された精神科医の待合室で風変わりな少女サムと出会う。
サムや旧友たちとの交流を通じ、服薬を絶ったこともあり、彼は少しずつ心を開いていき、やがて自分と家族の過去と向き合いはじめる。

画像3

以上wikiからの引用です。

ざっくりしたあらすじから脱線も無く、それ以上でもそれ以下でもなく淡々とストーリーは進んでいきます。それなのに何故長い事忘れられないでいる映画かと言うと、ツボに刺さりまくりな劇中歌の影響が大きいのかも知れません。

今や大物スタジアムロッカーであるコールドプレイの初期曲や当時のUSインディーシーンで頭角を表して初めていたシンズ、それまで聴いたことのなかった都会風のビートと涼しげな女性ボーカルを響かせるゼロセブン、今や大ファンになった孤独な詩人ニックドレイク、コンスタントに良質なインディー音楽を作り続けているアイアンアンドワイン、言わずもがなサイモン&ガーファンクルなどの新旧フォーク勢。USインディーフォークを掘り下げていくキッカケとなった映画と言っても過言では無いほどに、若かりし頃の自分の耳には新鮮に響く曲が多く使用されており、歌を聴きたいが為にひたすらDVDリピートを繰り返したりしていました。歌詞の内容が分からない海外の音楽は難しい事を考えずに、ただひたすらにこの身と心を森林の中へ連れて行ってくれるような気がして、当時の私は海の向こうの音楽に全身を委ねていました。現実は一先ず置いておいて鳴っている音に身を委ねる、一種のエスケーピズムだったように思います。リズム感や音色、耳心地の全てが新鮮でした。一曲まるっと使った演出もあったりして素敵でした。

画像9

The Shins だけでも良ければ聴いてみて下さい。免許取り立ての10代の冬。今思うとヒヤヒヤするくらいヤンチャな運転でブックオフやGEO、TSUTAYAを巡りながらシンズの1stを歌えるようになるくらい何度も聴いていた。運転と音楽がめちゃくちゃ密接だった車を持っていた頃の思い出です。

画像2

その他、映画自体のどこに惹かれたのか考えてみましたが、それは「ビジュアル」にあると思いました。基本内容が無くてもお洒落ならOKというバカ脳フィルターがかかっているので視覚面でワクワクさせられたり美しければ高く評価しがちです。(趣味が合わなかったらごめんちょby根本・長井)当時は知りませんでしたが今見返すと「なんかほんのりウェスアンダーソンっぽいぞ」とカラフルかつ監督特有の様式美を感じるシーンもあって好みの傾向が昔から変わっていない事が分かりました。「希望も無く、感情の薄れた男が自分とその家族と向き合い、生きる意味について考える」こういう地味で暗めなお話がやっぱり好みだなぁー。

毎日奇声を上げて枕に向かってあぁああああぁと叫びがちな鬱屈ティーンエイジャーだったので、心の奥底に感情の爆発への希望を内在化させていた主人公に知らず知らずの内に自分自身を重ね合わせて鑑賞していたのかも知れません。こじくれ野郎を演じるザックブラフの冷え切った心をナタリーポートマンがグイグイ溶かしてくのですよ。ううう、たまらん。

画像4

本作以降ザックブラフは俳優としてもパッとせず、監督としても活動しておらず次作である監督2作目の「Wish I was 僕らのいる場所」2015 以来音沙汰がありません。本作は期待した割に色々な映画の焼き増し感があって印象が薄めです。ビジュアルは良かった気がするけども。正直なとこぼんやりしてる。

画像5

(暗黒ブロガーのジャックブラックがコミコンで知り合ったコスプレ女と雑にファックしてるシーンしか正直覚えてない…映画でファックの場面しか覚えてない事よくあるんだけど…あまり大きな声では言えない…)

画像6

「終わりで始まりの4日間」処女作という事もあり、恐らく監督も意図せずに自身のこだわりやセンスがうっかり漏れ出ているとしか思えない変なシーンが沢山あって印象深い映画だったので是非また今後も映画を撮ってもらいところです。歳の差ですが、ミッドサマー主演のフローレンスピューちゃんと現在ザックブラフが付き合ってる様なので彼女の七光りに頼りっぱなしでもいいから映画撮って下さいっ!!!整合性が取れてなくてもいいんです、技術的には荒削りでも熱意溢れる人間ドラマをモノに出来る監督兼俳優だと私は信じています。とにかく映画を撮り続けて欲しい。それほどまでに「始まりで終わりの4日間」は胸に刺さり続けている。

画像7

昨年M1で優勝したマジカルラブリー。世間的にはR1で優勝したボケの野田クリスタルに注目がいきがちですが、相方である村上の言葉を私は忘れられません。M1優勝後の密着取材、共同トイレのボロアパートの部屋で「10何年前(野田に)フルベットしたんです」「ほらね?野田面白いでしょ?」「これで皆に野田の面白さを知って貰える」と相方へ最大の賛辞を捧げていた村上。

画像8

同じように面白いに自分の全てをベット出来るような映画監督、音楽家を死ぬまで探し続けていきたいものです。と言っても村上さんみたいに生活や人生を掛けてない時点で、自分の言葉がめちゃくちゃ薄っぺらいのは自覚もしています。だからと言って「女房を質に入れてまで」生活を顧みずに収集や鑑賞をするつもりは無いので、日々の潤いとして芸術に触れ続けて行きたいところです。(つーか女房を質云々は古語として駆逐されそうですよね。MeTooの人めちゃくちゃ怒りそう)

結局この記事の中で物語の内容にあまり触れてないって事は結局あなた自身の目で確かめて欲しいって事です。GEOやTSUTAYAで在庫を確かめるか、ネットレンタルならあるはず!気にいらなかったなら対不起。それでは再见。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?