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ブロークバック・マウンテン

『ブロークバック・マウンテン』。見るのはもう何回目なんだか…。
それなのに見るたびに号泣してしまいます。

以下ネタバレありまくりなので未見の方はすみませんm(__)m
1963年。ワイオミング州ブロークバック・マウンテンで、イニスとジャックは夏の放牧シーズンの羊番として出会う。一夏の間に愛し合うようになった二人。
けれどゲイへの偏見はまだ根深い時代、加えて中西部という土地がらもあり、二人が自由に愛を育むことは憚られ、許されざること。それぞれがそれぞれの家庭を持ち生活を築き上げていく一方で、二人は密かにブロークバックマウンテンでの逢瀬を20年もの間重ねていく。
彼らはそれぞれに違和感や疎外感を感じていて、純粋な“愛の時間”を取り戻すためにブロークバックマウンテンへ向かう。でもイニスの妻は二人の関係に気付いて苦悩しているし、ジャックの妻もテキサスには訪れようとはしないイニスに不自然さを感じている。ジャックとの生活に満足しきっているようにも思えない。
生きていれば誰しもがなんらかの生き難さや不満、淋しさを感じるもの。それらからひと時でも逃げ出して愛し合えるイニスとジャックは彼らの家族から見ればひどくエゴイスティックだ。
でも彼らは家族にはなれないし、恋人として暮らすこともできない。二人で過ごす“愛の時間”が終わってしまえば、またそれぞれの孤独と虚しさが忍び込む生活に戻らなくてはならない。彼らの“愛の時間”はいつも永遠には続かないもどかしさと絶望感がついてまわる。
ここで1番感動するんだ、なんて所はあげられない。ただひたひたと彼らの思いに心が浸蝕されていく。互いを求めあう思いの強さ。わずかな共に過ごす時間だけを頼りに育む愛。20年もの時を経て変わらない思い。
二人が共にあることはジャックの死によってですら許されない。イニスはジャックの遺灰をブロークバックマウンテンにまくことをジャックの両親から許されなかったし、ジャックは二人の思い出のブロークバックマウンテンに眠ることを許されない。イニスに許されたのはジャックの遺品のシャツを持ち帰ることだけ。
でも彼らの心は確かに永遠にブロークバックマウンテンにある。
単なるゲイを描いた映画でも単なる悲恋映画でもなく。本当に美しい純愛の映画だと思います。
恋愛モノでこんなに泣くのはこれだけかも。

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