見出し画像

今日は怖くないですよ!

さてさて、先日は怖い本の記事ですみませんでした!ホラー、苦手苦手といつつ、振り返ってみるとけっこう読んでた(笑)。
なんで読むのかねえ、と自分でも思いますが、薄暗い雰囲気が嫌いじゃない、というのと、日本のホラーってちょっと民俗学要素入るものって多いですよね。なので興味が上回って読んでしまうパターンもけっこう多くて。
坂東眞砂子さんなんかはもうこのパターンですね。憑物筋とか狗神筋とか、土着信仰とか民話から派生の怪談とか、こうなると苦手どころか好物になってくるという😆
そういうわけで京極夏彦とかも好きなんですけど、ルーツはどこでしょうねえ。もちろん、柳田・折口ルートは通っているんですが、横溝も一役買っている気がしなくもない。
前置きはこの辺にしまして。
昨日挫折したのは、民俗学・古代史系ミステリーを取り上げてみようかと思ったんですが、脱線しすぎてとうていまとまりそうになかったので一旦諦めました💦
反省して、超簡単バージョンにはなろうかと思いますが、今日は頑張ってみようと思います。ちなみに昨日は京極夏彦を入れようとして、あれもこれもになりかけたので、京極夏彦は外します。いずれマイベストでやります!

まずはこちらから。

面の持つ怨念によって村内に死者が急増し、社に封印されたという伝説を持つ「凶笑之面」。その由来を調査して欲しいとの依頼が、蓮丈那智の研究室に届いた。差出人は業界でも悪名高い骨董商の安久津圭吾。不可解な思いを抱きつつも長野へ赴き、調査を始めた矢先、安久津は死体となって発見される。果たして面の呪いなのか?写真だけが残された「喜人面」の実物はどこに?(表題作)伝承は死なず、必ず甦る。封じられた怨念は、深き業を糧に何度でも息を吹き返す―。最新の民俗学を大胆に取り入れ、日本人の根源を容赦なく抉り出す。本邦初、本格民俗学ミステリー。

Amazon商品ページより

北森鴻さんの蓮丈那智フィールドファイルシリーズ。異端の民俗学者と呼ばれる蓮丈那智が助手の内藤三國とともにフィールドワークで遭遇した事件を民俗学的考察を含めながら解決していくという推理小説です。シリーズの『邪馬台』以外は連作短編なので、読みやすいと思います。ちなみにこの『邪馬台』連載中に北森鴻さんがお亡くなりになってしまったので、『邪馬台』とその後の『天城越』はパートナーの浅野里沙子さんがプロットを引き継いでお書きになったものです。
伝承やそこに伝わる古物などがモチーフとなるので、仄暗い印象は漂うんですが、あくまでホラーではなくミステリーですのでそんなに怖い展開はないです。そしてわちゃわちゃする三國くんとクールビューティーな蓮丈那智のとりあわせもまた良しです。民俗学、人類学、考古学、いろんな要素が詰まっていて、蓮丈先生の講義というか推理パートがほんと興味深くて面白いんです。異端と言われるだけあって、ちょっと破天荒な調査なんかもあるのでそのあたりもエンタメ要素があって面白い。見立てじゃなくてちゃんと民俗学要素ががっつり絡んでいるミステリーってあんまり無いように思うので、初めて読んだ時は新鮮でした。
ちなみに同じく北森鴻さんで、店を持たない古物商、旗師・冬狐堂シリーズも面白いです!
2作目の『狐闇』がお気に入り。オークションで手に入れた青銅鏡を巡って壮大な物語が展開されて、ハードボイルドでめっちゃかっこいい。「税所コレクション」「税所篤」「大山陵古墳盗掘」、この辺のワードに引っかかる方は読んで損はないと思いますよ!

2冊目はこちら。

百人一首に仕組まれた美しき謎とは!?
大人気シリーズの原点、第9回メフィスト賞受賞、待望の文庫化!

百人一首カルタのコレクターとして有名な、会社社長・真榊大陸(まさかきだいろく)が自宅で惨殺された。一枚の札を握りしめて……。関係者は皆アリバイがあり、事件は一見、不可能犯罪かと思われた。だが、博覧強記の薬剤師・桑原崇が百人一首に仕掛けられた謎を解いたとき、戦慄の真相が明らかに!?

Amazon商品ページより

これもシリーズもの。高田崇史さんのQEDシリーズですが、もう23巻も出ているので追っかけるのは大変かも💦個人的には『諏訪の神霊』とか好きかな。謎の多い祭、御柱祭や御頭祭の考察が面白い。古代史や日本神話が好きな方にはハマるんじゃないかと思いますが、いわゆる学説とはかけ離れた解釈があったりもするので、学問的な正確さに引っかかっちゃう人にはオススメできないです。こういう解釈も面白いよね、と楽しむタイプの作品ですね。
ちなみに高田崇史さんの他の作品も、古代史と神話の絡むお話が多いんですが、ちょっと「卑弥呼=天照説」激推しな感じなんで、そこはちょっとくどく感じるかもしれません。
国譲り神話や古代出雲、神々の由来やその意味、和歌に隠された暗号などなど、興味がある人には嬉しい要素満載で事件に絡んでくるので楽しいです。
トンデモ論もあるかもしれませんが、そこはね、これ、論文じゃなくて小説ですから!楽しめた者勝ちだと思います。

そしてここからの2冊はキャラ文と侮るなかれ、な2冊。ポップな表紙でとっつきやすい。
まずこちら。

「鬼の手」を持つ天才発掘師・西原無量の事件ファイル!

永倉萌絵が勤める亀石発掘派遣事務所には、絶対的エースがいる。世紀の発見を繰り返し、天才発掘師と名高い西原無量、その人だ。奈良の古墳から出土した宝玉をめぐり、無量たちの周囲に暗い影が迫る!

Amazon商品ページより

こちらももう17冊出てるシリーズです。読みやすくてさくさく読めるので、QEDシリーズよりは追いかけやすいと思います。
私と同世代の方だと、桑原水菜さんと言えば『炎の蜃気楼(ミラージュ)』かと思いますが、こちらはBL要素はほぼないので、そういうの苦手!という方もご安心ください(笑)。
天才発掘師の西原無量くんと、彼が所属する発掘師を派遣する会社のコーディネーター、永倉萌絵ちゃんがメインキャラ。元文化庁職員で無量の幼馴染の相良忍もちょっと裏のあるキャラでいい味出してます。無量の祖父が発掘品の捏造をしてしまった人で、そのバックボーンも色んな事件に絡んできたり。
もちろん遺跡発掘現場で起こる事件ですので、発掘品が絡んできますし、歴史もちゃんと絡んできます。作者の桑原水菜さんは史学科卒だそうで、発掘に関してもけっこう細かく描かれていますし、発掘品やその遺跡に関する歴史や解釈なんかも全然ブッとんだ所も無く、へえ〜、そうなんだ!と思いながら楽しく読めます。

そして最後にこちら。

連続ドラマ化決定! 怪異を収集する准教授×孤独な大学生の民俗学ミステリ

「怪異は、現象と解釈によって成り立つんだよ、深町くん」

人の嘘がわかる耳を持ち、それゆえに孤独になってしまった大学生・深町尚哉。
なんとなく受講した「民俗学2」のイケメン准教授・高槻になぜか気に入られ、
怪異に出会うとついテンションが上がってしまう彼の「常識担当」として助手をすることに。

親しくなるにつれて尚哉は、高槻の瞳が時々夜空のような青色に変わることや超記憶能力を持っていることなどを知る。
実は高槻もまた、幼い頃に奇妙な体験をしていたのだ……。

Amazon商品ページより

こちらは民俗学を教えている准教授とその学生コンビのミステリー×ファンタジーのようなお話です。ちなみにこれは今8巻まで出ていますね。こちらも『遺跡発掘師は笑わない』シリーズと同じく、1冊が薄くてさくさく読めるので追いかけやすいかなと思います。
子供の頃に死者の祭に迷い込んでしまい、現世に戻してもらうかわりに、嘘を聞き分けてしまう耳になってしまった深町くんと、子供の頃神隠しに会い、その間の記憶を無くしてしまっている過去を持つイケメン准教授、高槻彰良が主人公。都市伝説や怪談を研究している高槻の元に寄せられる怪異現象にまつわる事件の謎を解いていくというお話です。
これはどちらかといいうと、現在の怪談や都市伝説を扱うんですが、異形のものが絡んできたりとこれまたなかなか面白いんです。
怪談がどのように成立するか、そしてその怪談がどのように広がっていくのか、その怪談の元を辿るとどこに行き着くのか、なんかもライトにですが書かれてて、民俗学好きには楽しい内容。
最近の巻では高槻の過去にまつわる話が多くなってますので、ミステリ要素はちょっと薄くなってきてますが、それはそれで楽しいかな。ちなみにこの作者の『憧れの作家は人間じゃありませんでした』シリーズの登場人物が出てきて、話が繋がるのかもしれないと思ってそちらも読みましたが、『憧れの〜』シリーズは人外のものが起こす事件を追っかける話でローファンタジーな感じでした。こっち読まなくても大丈夫だったかな?と思いますが、面白いことは面白かったんで、ついでに読んでみてもいいかもしれません。

そんなわけで長くなりましたが、今日はなんとかまとめられた!
古代史ミステリー系の小説はちょいちょいあるんですが、民俗学系となるとグッと減っちゃう気がします。どっちかっていうと、やっぱりホラーが多いですよねえ。でも怖くないやつもあるよ!ということでこんな記事にしてみました。
あれもこれもと欲張るとまたまとまらなくなるので、だいぶあっさりしたご紹介にはなりましたが、どれも面白いのでオススメです!

この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?