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窯の寿命は短い。もうすぐ起業して2年だ。

悲報。

窯の熱線がとうとう寿命を迎えました…。

自宅に窯を迎え入れて早2年、小さいながらも頑張ってくれていましたが、
最近どうも指定した温度に上がらなくなったので、窯屋さんに問い合わせたら熱線が寿命とのこと。
交換すればまた使えるそうですが、交換費用と期間が…。
熱線だけで4万円以上、届くまでに1ヶ月以上(コロナによる半導体不足)らしく、しばらく焼成作業がストップします。

ちなみに焼成回数は合計で182回(素焼き63回、本焼き119回)、焼成のトータル時間は2087時間でした。
そりゃあ、毎回800℃から1200℃近い温度を何千時間も稼働していたら、熱線もボロボロになりますよね。
頑張って耐えてくれた方なのでは。どうなの。わかんないけど。
独学でやってると周りに聞ける人がいないので、こういう時はひたすら陶芸やっている方のブログ漁ったり業者さんに聞きまくるしかない。

ちなみに、私がいつも指定する温度は1230〜1250℃なのですが、最近は1900〜1200℃くらいまでが限界のようです。
そんな30℃前後で何か変わるの?と思うかもしれませんが、
変わるんです〜。これが。
なんなら10℃違うだけでも仕上がりが全く変わる時だってあります。
使っている土、釉薬、窯の大きさ、(=作り手によって)焼きたい温度帯が変わってきますが、私の使っている釉薬は1200℃を超えたあたりから溶け始めるので、1900℃前後だと、なんかこう、ドロ〜っとした生焼け状態になったり、ブクブクと気泡だらけになったりと、いつも焼き上がるのと全然違う仕上がりになります。パッと見て触って「未完成!!」って感じの仕上がりです。

コロナやら色々な情勢が重なり、価格が高騰&届くのに時間がかかるやらで、痛い出費でしたが、これを機に新しい釉薬のカラーテストをしたり、素焼きはできそうなので、素焼きまで作業進めたり、今後のことをゆっくり考えたりと時間を有効に使おうと気持ちを切り替え。
(とか言っておきながら、心の中邪念にまみれております。色々と心配で仕方ない。)

さらに、この際せっかくなので、窯の熱線交換も自分でやってみようと今色々と調査中。(ブログやツイッターで窯の修理について色々発信してくださっている陶芸家の方々本当にありがとうございます!!)
そりゃあ、業者さんに頼んだ方が圧倒的に早いし仕上がりが綺麗だけど、いつか自分で窯を作りたい身としては自分でやってみるのもいいかなと。
陶芸を生涯を通してやりたい、追求したいと思っているので、これも良い機会。焦らない、急がない、ポジティブに受け止める練習、練習。

唯一救いだったのが、いただいていたオーダー品もちょうど一区切りついた所で、ご迷惑をかけないタイミングだったこと。本当によかった。
今現在オーダーいただいているお客様には少し納品が遅れてしまう旨を個別にご連絡したので、工程を進められるところまで進めて、すぐに焼ける状態にしておきます。今しばらくお待ちくだちい。

今までの焼成記録の写真。
結構な枚数になりました。
紙での保管はかさばりますが、色々な回を見比べて予定を立てたり、結果を比較したりすることが多いので、その点は紙のほうが圧倒的に見やすいです。

グラフにして保管しています。殴り書き感がすごい…


焼成記録として書いていることは、こんな感じです。
■窯に入れる作品(使った土、釉薬、配置する場所)
■作品を何度で焼くのか(1230℃〜1250℃が多いです。)
■何時間かけてその温度にするのか (15時間前後かけて最高温度に達するようにします)
■仕上がりはどうだったか(収縮率、質感、色の出具合などをなるべく客観的に)
■結果を踏まえた上で次の温度や時間の予定を立てる
(使う土を変えてみる、釉薬を変えてみる、温度を変えてみる、時間を変えてみる、作り方を変えてみる、など…。)

汚い字…

常に、実験、検証、次回やりたいこと決める、また実験…の繰り返しです。
と、同時に、作り方、作業工程、釉薬の配合やかけ方なども本やネットで調べて合間に勉強したりしています。(釉薬とかほとんど化学の勉強で、私にはくっそ難しいです)
良い結果ばかりではなく、割れたり、狙った色に仕上がらないこともあり失敗もたくさんあります。
でも、実験を繰り返していくうちに知識も増え、なぜこうなったかが少しずつわかってくるのが面白いです。うまく行った時よりも、思い通りに行かなかった時の方がちょっとわくわくしちゃうという変態的な呪いにまでかかっています。


そういえば、8月20日で起業してまるまる2年経つけど、今まで3日坊主で何やっても続かなかった私が陶芸の記録だけは1度も欠かさずに続けてきた。
これだけは自分を褒めてあげよう。
計算によると4日に1回のペースで窯を稼働させていたようです。(本焼きすると2〜3日は次の稼働ができないので、そう考えると、ほぼ休まず稼働させていたことになるのか。)
これだけ続けれられたのも、やっぱり陶芸が好きだから。
すきのチカラってすごいな。
ずっと続けていきたいと思うし、もっと土の事、釉薬の事、焼き物の事、地球の事を知りたいと思うし、自分のペースで探求していけたらな、と思う。

そんなわけで、3年目もどうぞよろしくお願いいたします。

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