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【読書日記】8月度の読書メーターから

9月になりました。先月中に読書メーターに登録した分を転載します。8月度の読了冊数は、平均より多い8冊となりました。

下に掲げてあるのは、その読書メーターのキャプチャです。今回は、Amazonへのリンクは割愛いたしました。

キャプチャ


1)寺地はるな『大人は泣かないと思っていた』(8月1日)

【1回目】九州のある町に住む男女と近親者たちを中心にした、心温まる物語。自分と、他の誰かを大切にするとはどういうことなのかについて、考えてみたくなる。主人公は32歳の翼。巻頭の表題作の中で、翼は10歳近く離れているレモンと出会う。取り立てて奇抜な設定やドラマチックな展開があるわけでも、皆が皆、とてつもなく「やさしい」というわけでもない。しかしこの、心がほぐれていくような読後感は何に由来するものだろうか。

2)アリソン・アトリー『時の旅人』(8月8日)

【1回目】7月19日から8月9日にかけ、4回にわたってclubhouse内で実施した読書会のテキストとして購読したもの。16世紀のエリザベスとメアリー、2人の女王が「対立」していた時代に迷い込んだペネロピーと、それぞれの時代での人々との交流と生活を描いた作品。読む前には、波乱万丈な冒険譚なんだろうと思っていたが、むしろ静謐な作品だった。16世紀のサッカーズに生きるメアリーやアンソニーの運命を知りながら、それを変えられないことも受け入れつつ、ペネロピーは成長していったのだと思う。傑作。

3)沼野恭子『100分de名著テキスト「戦争は女の顔をしていない」』(8月10日)

【1回目】この重要な作品の存在を、知らずに過ごしていたことを不思議に感じた。番組で取り上がられることで目に止まったのは、幸いだったと思う。様々なキーワードが去来するが、ここで一つ挙げるなら「記憶」にしておこうか。つまり、人が「生きてきた」という事実に、どう向き合うのかということを問うているのではないかと感じている。戦争のような簡単には共有できない体験を、体験したがゆえに生きていけるのか、体験してもなお生きていけるのか。男性性がつきまとう「大きな物語」を突き抜けて語り、聴くということの試みがそこにあった。

4)小池陽慈『一生ものの「発信力」をつける 14歳からの文章術』(8月13日)

【1回目】16の文章作法を、「構成」と「表現」の観点から、2つに大別された12章の中で紹介している。そうした作法の適用の前後を比較検討することで、有効性を証明していると言えるのではないか。その「実例」部分については、ついつい駆け足で通ってしまったのだが、文章作法については、常時参照できるような形で転記しておきたいと思う。

5)『中央公論』編集部『新書大賞2020』(8月14日)

【1回目】2010年受賞作の『日本辺境論』以来注目していたこの賞だが、電子書籍として刊行されていると知って入手。インタビューなどの記事で紹介されている書名と著者名とを中心に、全体を眺めた。既に積読本としているものもあるが、購読すべきものはないかをチェックした。このように、総合雑誌の記事を「切り売り」するのは、ありだと思う。

6)島崎藤村『破戒』まんがで読破版(8月20日)

【1回目】数点まとめて買ったものの、長らく積んでおいたもの。もしかすると、読んでいたかもしれないが、記録がない。主人公は、部落出身の小学校教員。子どもたちにも慕われる、理想に燃えた青年である。身分を隠し通すことを強く希望していた父が死去すると、自問自答が激しくなる。やがて、彼を心良く思わない教員がその来歴を知ることとなり、父兄たちにも波紋が広がる。未だ克服できていないこの問題を考える際に、必ず参照したい古典的作品で、マンガ化は大成功だったと言えると思う。

7)青山美智子『木曜日にはココアを』(8月27日)

【1回目】読み終えてすぐ、もう一度最初から読み直したくなった、愛おしい12編の連作集。「登場人物」が、次の小編でも続けて出てくるリレーの構成が巧みで、特に◯◯って呼ばれているのは、そのうちの誰なんだろうというのが、強い関心を喚起していた。基本的には、「いい人」しか出てこないので、それを甘ったるいと感じる人もいるかもしれないが、私はこれでよいと思った。青山作品は2作目だが、継続して読んでみたい作家さんの一人となった。

8)釈徹宗『お経で読む仏教』(8月31日)

【1回目】スッタニパータ/涅槃経/ミリンダ王の問い/維摩経/阿弥陀経を手がかりにして、仏教思想と仏教史のエッセンスにアプローチしたもの。改めて、仏教を学んでみたくなった。各派に見られる共通項を、「智慧」と「慈悲」、「今・ここの自分に対して説かれている」との点に見出しているのはよいと思った。

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今回は、登録データをそのままコピペしただけでの公開といたします。読書メーターでは、1冊についての登録文字数は255文字となっています。書いてみると、意外に分量が書けるものです。単独の記事として扱うこともあるかもしれませんので、その時にはまた覗いてやってください。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。それではまた!




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