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節分としぐれ煮

今日は節分ですね。

今は全国的に節分と言えば、豆まきと並んで恵方巻きのイメージが定着しているのかもしれませんが、九州で育った私は、就職で関西に来るまで、恵方巻きの存在を知りませんでした。

関西に住んで、十数年、近年は恵方巻きを買って食べたり、家で代わりに手巻き寿司風なものを作って食べたりしています。

なぜ手巻き寿司「風」かと言うと酢飯があまり得意でない私は、塩味のご飯に、具材を用意して、自分達で好きな具材をご飯にのせて海苔で包んで食べるというスタイルだからです。
最早、恵方巻きの面影はなく、手巻き寿司でもない…おにぎりというには握ってもない…何かを食べています。

今日もそのつもりで、ツナマヨやカニカマなどの具材を準備していたのですが、急にしぐれ煮も具材の一つとして加えたくなりました。

私にとって、しぐれ煮は祖母の味で、細長い生姜がたくさん入った牛肉のしぐれ煮は、常備菜のように冷蔵庫に入っていて、よく食卓に副菜として出されていました。
食べる前は「お肉は温かい方が…」と思っていても、温かいご飯と合わせると、とてもおいしくて、ご飯をおかわりするくらいでした。

そんなしぐれ煮を作ってくれた祖母はもういません。
今思えば、作り方を教わっておけばよかったなと思う料理が他にもたくさんあるけれど、あの頃は、誰かが自分のためにご飯を作ってくれるのが当たり前で、それがどんなに有り難いことなのかなんて分かっていませんでした。

祖母への態度も含めて、とても後悔しています。

だけど、後悔していても、ご飯はできません。
今とにかく私は自分と家族のためにご飯を作らなければ!!

だから、祖母に教わる代わりにスマホでレシピを検索して、生姜がないので、チューブの生姜をギュッと絞って、牛肉の代わりに豚肉を使ってしぐれ煮を作ったのでした。

きっと天国の祖母も苦笑していることでしょう。

祖母は恵方巻きのことを知っていたか分からないけれど、そもそも、節分におにぎりと手巻きの間の何かを作ってる時点で、邪道過ぎて呆れているかもしれません。

おばあちゃん、毎日当たり前みたいにおいしいご飯を作ってくれて本当にありがとう。

それでね、もし、今、私の適当料理を食べるひ孫達を気の毒に思うなら、上手に調味料を組み合わせられる力と面倒くさがらずに手間をかけた料理を作れる力を私に送ってね。


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