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【本解説】マンガでやさしくわかるアドラー心理学

この本のあらすじ

この本はオーストラリアの心理学者アドラーの理論を元に人間の心理についてマンガを用いて解説している本である。

対人関係のトラブルや自身の課題をいくつかの項目に分けて原因や解決策を提案してくれる。

この本を読む事で自分自身を見つめ直し、また自分の周囲の人との関わり合いの改善ができるはず。

Prologue:アドラー心理学を「活かす」には

01. アドラー心理学とは

精神的な健康に必要なファクターであり、アドラー心理学の根幹は以下の5つである。

(1)「自己決定性」人間はどんな状況においても自ら運命を創造する力がある。

(2)「目的論」目標のある人間の行動には、その人特有の目的意識がある。

(3)「全体論」人間は一つの心と身体を持った統一体である。

(4)「認知論」人は主観的に物事を考える。

(5)「対人関係論」人間の行動には、常に対人が存在する。

02. アドラー心理学を「活かす」ための発想とは

上記5つのアドラーの理論を活かす為には以下の7つの発想を持つといい。

(1)「自己決定発想」自分の道は自分で決める。他人のせいにしない。

(2)「建設的発想」自分と他者を含む共同体にとって良いか悪いかで判断する。

(3)「目的発想」まずは目的を絞った上で目標を設定する。その上で戦術を練るとうまくいく。

(4)「使用の心理学発想」何をもって生まれたのではなく、与えられたものをどう使いこなすかが重要。

(5)「つながりと絆の感覚発想」自分のこだわりから離れて同じ共同体の仲間がどう思ってるかについて考える。

(6)「相互尊敬・相互信頼発想」常に相手のことを尊敬し信頼する。

(7)「勇気づけ発想」常に相手のことを尊敬し信頼し、そして相手が困難を克服する活力を与えること。

Part1:本当の自分はどんな人?

01. ライフスタイルを知ろう

自身のライフスタイルを知ることで、自分自身を理解し周囲の大切な人とより良い関係を築くことができる。

02. ライフスタイルの6つのタイプ

アドラーの理論において人間のライフスタイルは大きくわけて次の6つに分類される。

(1)「欲張りタイプ」他人のものは自分のものタイプの権利主張型。ギブアンドテイクのうちテイクの要素が強い。注目されるのが好きで、何事も損得勘亭で考える。人を当てにし、その人が自分の期待に応えないと腹を立てる傾向あり。

(2)「赤ん坊タイプ」他人の顔色を伺い、好かれようとする依存型。他者の顔色を伺いその時の状況に合わせて適切な態度を取ることが得意。また他人に甘えることが得意。一方、自分の意にそぐわない事に対して、断りきれないことがある。

(3)「人間機関車タイプ」他人に任せることができない猪突猛進型。自分がやると決めた理想や目標に向かって頑張るタイプ。ライバルがいると負けん気が強くなる競合的なタイプ。

(4)「自己抑制タイプ」感情をあまり表に出さない完璧主義者。時間や規則などをきちんと守り、何事も完璧にこなすが故に失敗を常に恐れている。

(5)「興奮探しタイプ」いいと思えばすぐに食いつくが竜頭蛇尾になりがち。好奇心旺盛で冷めやすい。度がすぎて規則を破ることもためにある。

(6)「安楽タイプ」周囲から何を考えているのか読めない安楽型。手抜きが得意なタイプ。責任や期待されることを避け、自分の能力を出し惜しみする自分本位のタイプ。また、自分の世界を持っているので他人に流されにくい。

Part2:嫌な自分と向き合う

01. あなたの感情を点検する

(1)感情には2タイプある。

懐かしさ、達成感、満足感、感動、喜びなどのプラス感情(陽性感情

後悔、恨み、怒り、恐怖、嫉妬、罪悪感などのマイナス感情(陰性感情

(2)感情には時間軸がある。

未来の感情(期待、焦り、不安)

現在の感情(喜び、達成感、感動、怒り、落胆、恐怖)

過去の感情(懐かしさ、恨み、後悔)

(3)感情の一部は、目標(理想)と現実(現状)のギャップによるもの。

満足感は期待(理想)に対して現実(現状)に落差がないから生まれる。

一方、不満足は落差があったから。逆に期待より現実が上回った場合、感動が生まれる。

02. 劣等感のツール

劣等感には2つの種類がある。

対他的劣等感:他人と自分を比較して劣等感を感じる。

対自的劣等感:自分の理想と現実を比較して劣等感を感じる。

劣等感はただの悪者ではない。

目標があるからこそ劣等感が生まれる。劣等感があるからこそ人は今の自分より成長できる。

過去を振り返った時にあの時の劣等感のお陰様と言って良い部分がかなりある。

他人と比較して劣等感を感じる対他的劣等感において、人はその差を埋めようと努力する。また、ライバルが相対的に強くない分野を探し、その分野で優位に立とうとする。

また、自分の理想と現実のギャップから生まれる対自的劣等感においては、人はより理想的に近づこうと努力する。

03. 感情のコントロール法

3つの領域から感情をコントロールする。

「身体面からのコントロール」現在より良い未来を想像して行動すること。

「思考面からのコントロール」ここ一番の時に「自分は絶対できると」楽観主義的な思考をする。

「行動面からのコントロール」早期に物事に取り組む事で心に余裕が生まれ、焦りや不安などの感情が生まれにくくする。

Part3:なぜあの人とはうまくいかないのか

01. 主張性の4つのパターン

人間には4つの大まかな主張性があり、それの主張性により対処の仕方が変わる。

(1)主張的行動 ー 相手を傷つけないで、自分の要求(主張)を聞き入れてもらおうとする 

(2)非主張的行動 ー 相手を傷つけない為に、自分の要求(主張)を引っ込める 

(3)攻撃的行動 ー 相手を傷つけてでも、自分の要求(主張)を通そうとする。 

(4)復讐的行動 ー 相手を傷つけ、しかも自分の要求(主張)をあきらめる

02. 「自滅的な行動」の芽を開かせない3つの知恵 

上記4つの主張の中で最も良くない主張は(4)の復讐的行動(自滅的な行動)です。この自滅的な行動を起こさない為には3つの知恵を知る必要があります。

1)立ち止まって考えること 2)自分と相手に建設的(OK)であるように振る舞う事 3)「幸福な物語」を作り上げ、それをエンジョイすること

03. 主張的な自分を手に入れる

6つのライフスタイルで登場した、赤ん坊タイプの人の多くは「他者から好かれたい、嫌われたくない」という思いを持っているので中々自分の意見を主張できません。そんな非主張的な方が主張的になるための3つの心構えがあります。

(1)元々ダメ元で頼んでいることが多いので、あなたが思っているより、相手は断られた時のダメージは少ない。

(2)職場や友人関係で「便利な人間」よりは、責任感と自立心のある人間になろう。

(3)あなたが主人公であるはずの人生を他者に追従して生きる必要はない。

04. 課題の分離

複雑な人間関係のもつれを解消する為には課題の分離が役に立つ。職場や対人関係で起こった問題のそもそもの責任/課題は誰にあるのかを考える。それに伴い「自分の課題」、「相手の課題」それぞれに分ける必要がある。

相手が不機嫌だったり、イライラしたりすることは相手の課題であり、自分の課題ではない。

自分か相手から相談、依頼があった場合や相手から迷惑を被った場合共同の課題が成立する。この時になって初めて相手に寄り添い課題を協力して解決していく。

05. 人間関係のもつれをどう解決するか

基本的に全ての人間が相性がいいというわけではない。全ての人間がその人の事を好きなんてありえないし、その逆もしかり。

基本的にある特定の人に対する周囲の見方として好き:普通:嫌いの割合は2:7:1もしくは2:6:2である。

つまり、みんなに好かれるなんてことは不可能だし、歴史上そんな人物など存在しない。ほとんど人は自分で精一杯なので、他人に対してそこまで興味はない。

Part4:困難を克服する活力を身につける

01. あなた自身を勇気づけるワーク

自身を勇気づける方法としてセルフトークという方法がある。自身に対して「大丈夫、何とかなる」や「自分ってサイコー」などプラスの表現の言葉を投げかける。これを天使のささやきと呼ぶ。

一方で、「自分って情けない」や「いつも失敗ばかり」などのマイナスの言葉は悪魔のささやきと呼ぶ。

天使のささやきを習慣づけて自分に投げかける事で、自分自身を勇気づけ自身の事を好きになる。

02. 失意の時の勇気づけ

人生には心が晴れの日(調子の良い時)と心が雨の日(調子の悪い時)がある。

そんな雨の日の時に対処法として3つある。

(1)現状肯定 ー 現状をありのままに認める。そして現状を自力で打破できる場合は勇気を持って取り組む、難しそうならそれを受け入れるか他人に相談する。

(2)原点回帰 ー 自分が置かれた位置を仕事、友人関係、家族として原点に戻って見直してみる。こうしてみることで、自分に力を与えてくれる人/モノ/コトがどれだけ多いかわかる。

(3)絆の回復 ー (1),(2)を通すことで、自身の確かな絆(「心理的に還る家」)があることに気づく。

これらを振り返る事で雨の日を乗り越え人間的により成長できる。

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