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”弱き者が強き者に逆転”『けなげに生きぬくいきもの図鑑』

突然ですが、コバンザメをおこぼれを餌にするだけのテイカーだと思ってませんか?この投稿で誤解がほぐれていきます。

この本をひとことで言うと?

弱い生き物が強い生き物に逆転し、賢明に生き抜く様を学べる児童書

本の概要

ただ「かわいい」だけで終わる本ではありません。しっかりと学びにつなげているのが『けなげに生きぬくいきもの図鑑』

けなげに生き抜く生き物の姿から、「弱くても生き抜く」ことを学べる児童書です。

生き抜く手段は1つじゃありません。「逃げる/技を使う/変身する/寄せつけない/姿を隠す/協力する/能力をかりる/わが道を行く」あっと驚く方法で、生き抜く62種類の生物の姿を子どもと一緒に学んでいけます。また、国立科学博物館の名誉研究員の方の監修が入っており、正確性にもこだわった1冊。

印象に残った3点(わたし的示唆あり)

わたしが特に印象に残った生き物を3点 紹介しますね。どの生き物も興味深い特徴を持っていますよ。

①「テッポウエビ」・・・得意を分かち合う

テッポウエビ

砂地に巣穴を掘って暮らすテッポウエビ。対するクロダイはエビが大好物。

しかもテッポウエビは目が悪い。ではどうやって身を守るかというと、ハゼに巣穴を使わせる代わりに、入口の見張り役をまかせている。危険が迫るとハゼから合図があり、すぐ巣穴に逃げ込める。


「わたし的示唆」
ここから学べることは、お互いの得意を借り、弱点を補っている点。

人間の社会、コミュニティ、会社、なにかのプロジェクトでも、集団生活で自分の得意で役に立ち、不得意なことに頼っているのではないでしょうか。1人で全部やろうとせず、それぞれの持ち味を出せる環境。1+1は3にも4にもなるのだと思います。

②「コバンザメ」・・・実は利害関係が一致している

コバンザメ

コバンザメは体調1m以下。肉食後からエサとして狙われます。そこでコバンザメは自分より大きなホオジロザメやウミガメなどにくっついて生活しています。くっついた相手の食事のおこぼれや体についた寄生虫を餌にでき、食事に困らない。

一方、ホオジロザメも、寄生虫がいなくなるのは歓迎なのだそう。


「わたし的示唆」
コバンザメって相手のおこぼれをもらうだけのテイカーだと思っていたんですが、そうではないんですね。

寄生虫を食べることでホオジロザメの役に立っており、利害関係が一致していると思いました。

自分よりも強い人や信頼できる人に頼るのは大きな恩恵を得られます。しかし、ただ貰うだけの関係では長続きしません。相手にもギブすることが、長期的な関係構築には大切なことですよね。

③「ドウケツエビ」・・・敵から守るお城に住む(ただし、成長すると外に出られなくなる)

ドウケツエビ

深海に住む体長2~3cmの小さなエビ。80cmをこえる肉食魚「ソコダラ」から身を守る驚きの方法が、「カップルでガラスのお城に住む」というもの。

ドウケツエビは体がまだ小さいうちに、カイロウドウケツという生き物が作る"ガラス質の骨格"の隙間から二匹で中に入り込む。成長すると外に出られなくなるが、敵の襲撃とは無縁となる。


「わたし的示唆」
まず、こんなおもしろい特徴の生物がいるのかと驚きました。動物社会は弱肉強食であり、常に危険と隣り合わせです。そんな環境で安心するのには、やはり安全な場所。

ただ、人間だったとしたら、一生同じ相手と同じ空間で暮らすのはストレスになりそう。多少危険であっても、いろんな所に行きたいと思う人もいるのでは?

安全な環境を手に入れる代わりに、捨てなければいけないものがあるのかなと…。


※海の生き物ばかり取り上げてしまいましたが、本書には動物や虫も紹介されています。

さいごに

強い、弱い、かわいい。それも生き物の特徴だけどもっと知りたいことがある。そこには自然界で淘汰されてない生存戦略があることを。

だっていま生きているだけで、35億年という地球史で生き残っているだけで勝ち組じゃないですか。生き物から学べることは多いのだと改めて思います。

お子さんにも、お子さんと一緒に楽しみたいパパやママにも。水族館や動物園が楽しくなる1冊です。

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