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美術館に行きたいなら、これを読め


おはようございます。

美術館はどこも閉館していますね。

3月に国立西洋美術館で「ロンドン・ナショナルギャラリー」を楽しみにしていました。
美術館に行きたい。

今回、紹介する小説は
原田マハ『楽園のカンヴァス』

美術とミステリーを兼ね備えた小説です。

『楽園のカンヴァス』とは

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ニューヨーク近代美術館のキュレーター、ティム・ブラウンはある日スイスの大邸宅に招かれる。そこで見たのは巨匠ルソーの名作「夢」に酷似した絵。持ち主は正しく真贋判定した者にこの絵を譲ると告げ、手がかりとなる謎の古書を読ませる。リミットは7日間。ライバルは日本人研究者・早川織絵。ルソーとピカソ、二人の天才がカンヴァスに籠めた想いとは――。山本周五郎賞受賞作。

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あらすじ

ニューヨーク近代美術館のキュレーター(学術的な専門知識によって、美術資料の収集や保管、展示品の管理など)のティム・ブラウン。
岡山県倉敷市の大原美術館で監視委員として働いている、早川織絵。彼女は実の母と、娘の真絵と暮らしている。

ティムは大原美術館にアンリ・ルソーの『夢』を貸し出すので、
その相手役に織絵を指名して来ました。

ここから過去編になります。

ティムは昔、スイスの大邸宅に呼ばれ、
ルソーの名作の調査の依頼を受けたのです。

大邸宅にいたのは、もう一人
織絵がいました。

二人は伝説のコレクター、バイヤーと面会し、
そこ出された、作品はルソーの「夢」に似た「夢を見た」という作品でした。

この作品は、ルソーの真筆と証明はされていましたが、
バイヤーはそれに疑問を持ち、二人に真贋を求めたのです。

調査は7日間、最終日に真贋の判決を下し、根拠を述べます。

勝者には、取り扱いの権利を譲渡される。

しかし、7日間の間に、7章構成されている物語を、
1日1章ずつ読んで参考にしなければいけないのでした。


構成が不思議

この小説の構成が少し変わっている。

ティムと織絵の現在、過去
そして、審議の参考にするルソーの物語の三部構成になっている。

現在は始めと終わりだけだが、
過去とルソーの物語は同時進行する。

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絵画とミステリー

ミステリーと絵画の作品は似ている。

ミステリーは
現場に行くと死体があり、それから謎を推理し、犯人を見つける。

絵画は
山奥や民家から見つかり、本物か偽物か、誰ものか、審議を推理していく。

絵画が美術館から、盗まれた場合も誘拐事件と同じような対応がとられ、
実際にFBIなどに専門の部署があったりする。

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実話か虚言か

原田マハの凄いところは、
フィクションの中に、実話を混ぜることによって、
本当にあった出来事のように捉えれれる。

物語の第5章『夜会』では
ピカソが開催した夜会に、ルソーが招かれる物語だ。

この夜会は実際に行われたノンフィクションである。
「ルソーを讃える夜会」がピカソの記録に残っている。

しかし、
どのような会話があったのか、誰がいたのか、
など詳細は全くの不明であった。
それでも、作者の原田マハは、とても鮮明に書き上げたのだ。
全員が歌って踊り、ルソー万歳!!!と声をあげる。
まるで、本当に行われたように頭に想像できる。

原田マハの空想力はただならぬ力を持っている。

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まとめ

芸術とミステリーが結びついた物語を読む事が、
少ないかったが、原田マハの作品にはとても中毒性がある。
原田マハの作品には、他にも、かつての画家が登場する作品が多数ある。
どこまでが本当で、どこまでが作者の空想か判断がつかないが、
その境界線がミステリーを一段と面白くしている。


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