神木こはる|小説好き|芥川賞

小説好き|芥川賞 全受賞作 読破挑戦中|書評|

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芥川賞 | 受賞作一覧

第1回 『蒼氓』 石川達三 |読了 第3回 『コシャマイン記』 鶴田知也 |読了 第3回 『城外』 小田嶽夫 |読了 第4回 『普賢』 石川 淳 | 読了 第4回 『地中海』 富沢有為男 第5回 『暢気眼鏡』 尾崎一雄 第6回 『糞尿譚』 火野葦平 第7回 『厚物咲』 中山義秀 第8回 『乗合馬車』 中里恒子 第8回 『日光室』 中里恒子 第9回 『あさくさの子供』 長谷 健 第9回 『鷄騒動』 半田義之 第10回 『密猟者』 寒川光太郎 第12回 

    • 芥川賞第三回受賞作|アイヌとして生き死んでいった人々の物語|『コシャマインシ記』鶴田知也著

      なぜ歴史を描いた小説は読んでいて胸が苦しくなるのだろうか? 私は本作を読みながら、まずそんなことを考えた。歴史的な事実として、アイヌ民族は和人に土地を奪われ、文化を奪われ、生きていくために同化を余儀なくされる。アイヌが和人に戦い、勝利を収め、権利を取り戻した。そんな歴史がないことを知っている。 本作の主人公『コシャマイン』は、アイヌの集落(コタン)の長の息子だ。父が尊き戦いに挑み、敗れる中で血を残すために母とともに北海道各地のアイヌ集落を巡り歩く。 いつかいつかは、と時

      • 記念すべき第一回芥川賞受賞作|ブラジル移住に希望を賭けた者たち|石川達三『蒼氓(そうぼう)』

        史上初めての芥川賞受賞作。それが、石川達三の『蒼氓』である。 芥川賞は1935年(昭和10年)にその歴史が始まった。同時に大衆文学作品向けの直木賞も始まったが、芥川賞は純文学作品への賞である。 第一回芥川賞受賞作と聞くと、古めかしく、読みづらいのではないか、と私は思っていた。だが、読み始めてすぐにその世界観に没頭してしまった。現状への諦め、新しい異国の地への希望、田舎から出てきた家族、人生の波に流される女、神戸の海の匂い。当時、名前も残らないたくさんのブラジルへの移住民が

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      • 芥川賞、全部読みたい
        3本