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【挫折なし】難しい文学や古典作品を最後のページまで読み通す技術

読書の醍醐味の1つが「難しい文学や古典作品」に挑戦することだと思うんですが、そういった作品につきものなのが「挫折」です。

読もうとしてもなかなか理解できないことが多いですよね、僕も何度も挫折してきました。

しかし、実はちょっとした読み方のコツさえ押さえれば、挫折は回避できてしまいます。

今日は『読んだつもりで終わらせない名著の技術』という本を紹介しつつ、古典や名著を最後まで読み通す方法について解説します。

ネタバレしても文学が楽しく読める理由

この本で最初に提唱しているのが、「名著や古典作品ほどネタバレして読むべし」ということです。

つまり、その本についての周辺知識を解説本やネットで調べてから取り組むというわけです。

読書には、まったく未知のものに触れる喜びがあります。それは、当然のことながら読書の楽しみのひとつです。しかし、「だいたいの内容を知っているからこそ、あじわうことができる」という面もあるのです。

僕も最初は「ネタバレしてから読むべし」という内容を見たとき、「いやいや、それじゃ物語を読む楽しさなんて半減でしょ」と思いました。

でも、名著とか古典作品ってやっぱり読みたいじゃないですか。人生に一度くらいは。

そうなったときに【名著を読まないで終わる人生】と【名著を読んだ経験がある人生】のどっちがいいかと問われれば、たとえネタバレ前提だとしても僕は後者をとりたい。

そして、ストーリーがネタバレしているからといって面白さが半減するかといえば、決してそんなこともないんですよね。

その理由を本書では以下のように書いています。

ですが、実は、ストーリーは、文学を読む醍醐味の10分の1に過ぎないのです。

文字に目を落とした瞬間から、一文一文のエネルギーやリズムによって、作品の世界に引き込まれます。

ストーリーを知ってても、登場人物の心情とか著者の文体を味わうことはできるというわけです。

たしかにこれは僕も経験があって、ストーリーを知ったうえで読んでも面白さを味わえたことがあります。

たとえば、ドストエフスキーの『罪と罰』はむずかしい作品として有名で、僕も2〜3回挫折しました。それでもやっぱり読みたかったので、思い切って登場人物とストーリーについて他の本で調べたんですね。

おおかたのストーリーを知ったうえで読んだのですが、決して退屈ではありませんでした(大きい声で「面白かった!」といえる作品ではないけど)。

どちらかというと、「おお、俺もあの『罪と罰』を読んでいるぞ」という感動が大きかったです(笑)

もちろん、ストーリーを知らずに初見で小説を読んだほうが面白いに決まっています。

でも、名著や古典作品については「面白いと感じること」よりも「読んだことがある」という経験のほうが大きいと思うので、多少ネタバレしてでも読めたほうが僕は絶対に良いと思います。

ただし、推理小説などのミステリーについては名著といえどもネタバレなしで頑張って読んだほうがいいとは思うけど。

名著は「レッテル貼り」をして読む

名著や古典作品ほど、ジャンルがあいまいで、なんの小説なのかがわからないことが多いです。

それが挫折の原因だったりするのですが、本書では「レッテル貼り」をするという方法を紹介しています。

第一歩として、まずやっていただきたいのがジャンル分けです。

一般的にいわれている、その作品のジャンルを参考に、「恋愛小説」「冒険小説」という具合にレッテル貼りをするのです。

ピンとこない人もいるかもしれませんが、これから読む名著や古典作品の周辺知識をある程度調べておくと、その本がどんなジャンルかをだいたい把握することができます。

『源氏物語』は恋愛ジャンル、『ロビンソン・クルーソー』は冒険ジャンルといった具合に。

レッテル貼りをするからこそ、どういう小説なのかを明確にでき、作者がいいたいことをつかめます。

これには僕もおおいに賛成でして、これから読む本がどんなジャンルなのかを知ることで頭の中が「そのモード」に入るんですよね。

読みやすい推理小説とか青春小説(たとえば貴志祐介や重松清)ってまさにソレで、どんなジャンルなのかを事前に知っているからこそ、その世界に没頭できるわけです。

でも、古典作品とか難しい本って、ジャンルがあいまいな事が多いじゃないですか。

たとえばフランツ・カフカの『変身』という名著があります。タイトルは知ってるけどどんなジャンルか知らないという人は多いのではないでしょうか。

他にもマルセル・プルーストの『失われた時を求めて』とかも、なんのジャンルかパッと出てこない人が多いはず。

でも、これらの作品もレッテル貼りをして読むことで、作品の内容が頭に入ってきやすくなります。

こんな感じで、難しい本や古典作品ほど「それは何のジャンルの本なのか」をあらかじめて調べておくことで、挫折なく最後まで読み通しやすくなるわけです。

海外作品を読むときに気をつけたい「場所」と「時代」

日本の作品であれば、場所と時代の把握はわりとしやすいですよね。

「渋谷の喧騒」と言われれば、スクランブル交差点が思い浮かびますし、1950年といわれれば戦後の復興真っ只中なんだなとイメージすることができます。

しかし、海外となると事情が大きく変わってきます。

世界文学になると注意が必要です。地名だけでは、規模、都会度や田舎度がはかれないことがあります。

描かれた時代はどのような政治状況、経済状況にあるのか。戦争や市民革命などの社会的な大変動は起こっているのか、王政や帝政の時代なのか社会主義の時代なのか。そのようなことが小説を読むうえで大事な要素をなすことがあります。

場所や時代への理解は、本を読んで面白さを感じるためにも重要ですが、それ以上に正しい理解をするために欠かせないものです。

残念ながら、場所や時代への理解をどうやって深めるかは本書に書かれていません。

ただ、これも名著や古典作品を読む前に周辺知識を調べることである程度は理解ができると思います。

余談ですが、世界史や日本史の知識というのは、昔の本を読むときの大きな助けになるということを痛感しますね。

名著や古典作品を挫折なく読むために

  • ネタバレを受け入れて、ストーリーを知ったうえで読む

  • ジャンルを知って、自分なりの「レッテル」を貼って読む

  • 場所はどこか、時代がいつなのかを理解して読む

このなかで1番効果的なのは、やはり「ネタバレ」をしてから読むことです。

最初に述べたとおりですが、僕は古典や名著については面白さよりも、読んだという経験のほうが大事だと思っています。

このあたりは人それぞれですが、たとえネタバレしたあとでも、通読できた経験という経験は大きな自信にもつながります。

ちなみに、本書の後半部では、実際の名著(『人間失格』『こころ』『変身』『罪と罰』『パンセ』)をどうやって読み解くかについての解説が豊富に書かれています。

名著や古典で挫折しがち…という人は、ぜひ試してみてください。

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