仕事のムダを減らす
生産性を上げるための「合理化」のポイントと、その裏に共通する「ムダ」とは何かが実践知をもとに語られた名著ですね。
クレディセゾンのCTOである著者の小野さんは、ビジネスの「山=長所」「谷=短所」という視点を重視され、
「谷を埋めても、山がなければ顧客には何も映らない」
といい、人は「山」を見出せなければ「谷」に吸い寄せられてしまう傾向があり、谷を埋める思考はラクだがムダである、と強調します。
「谷」は、すでに他社が世に示している体験や価値なのですね。
そこで、山をつくる「3つのコツ」があり、
1)まだ誰もやっていない、マニュアルのないことに取り組む
2)他業種・他国の成功例のエッセンスを取り入れる
3)ギャップに目にをつける
この3点にリソースを集中すべきだそうです。
そして、2000年にITベンチャーを創業された小野さんが実践してきた「ラストマン戦略」というものがあります。
あるグループ内で自分が1番になれそうな領域を決め、「あの人がわからないなら、誰に聞いてもわからない」という最後の砦としてのスペシャリストを目指す成長戦略で、細分化された分野の「ラストマン」を目指してきたそうです。
さらに、組織のムダを減らす方法として著者が取り組んでいるのが「To Stop リスト」です。
このリストをつくるタイミングは、下記の3つだといいます。
1)新しく何かを始めるとき
2)忙しくて業務が回らないとき
3)非効率な仕事が増えているとき
次に、IT企業ではプログラミングの仕事に対し「私がやった方が早い」というケースがあり、そんなときは下記の3つの思考の転換をしているそうです。
「私がやった方が早い」と頭に浮かんだら・・・
→「私がほめた方が早い」
「私が教えた方が早い」
「私が見本を見せた方が早い」(相手によっては逆効果のため上級編)
また、優れた技術力を持つプログラマーほど「クセ」が強く、チームメンバーから「変わった人」と見られる傾向があります。
そんなときは「できるだけ早く、クセのある人の優秀さが発揮される機会をつくる」ということを実践しているそうです。このような場があると、優秀な人がチームに溶け込みやすくなるのですね。
自身の「山」を見極め、あるグループで1番になれる領域を決め、組織内に「ラストマン」を増やしていく。
この考え方は、仕事のムダを減らし、生産性を上げるために重要な戦略となりそうですね。
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