松橋正博「本のドキュメンタリー」

経営とメディアに関する学びを発信/テレビドキュメンタリーディレクター→広告会社プロデューサー→動画企画制作で起業/講談社「クーリエ・ジャポン」プロデューサー/動画のご依頼等は→https://www.linkedin.com/in/masahiro-matsuhashi/

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    経営とメディアを中心に、事業戦略、組織戦略、マーケティング、営業、チームビルディング、財務、会計などジェネラリストに必要なビジネス知識を幅広くお届けしていきます。

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ダイバーシティ経営を支える価値表明

多様性を活かしたチームをつくる必要性とチャレンジをさまざまな業種の方から伺う機会が増えており、チーム運営の方法をもっと知りたいと手に取りましたが、ダイバーシティを活かすマネジメントに必要なノウハウがわかりやすい実用書でした。 特にマネジメント方法として参考になったのは、ある日系メーカーのインド支社のケースです。 インド支社の日本人マネージャーは、インド人の部下から親族の結婚式のためにその年6度目の1週間休暇を申請され、悩んでいたそうです。 背景にはインドと日本の結婚式の

    • 競争と協調を使い分ける

      「競争から共創へ」というフレーズをメディアの仕事を通して見聞きする機会が本当に増えてきましたが、一方で実際のビジネスの現場では「競争」を意識せざるを得ない方がまだまだ多い、という実感があります。 そんな中、「競争」と「協調」にはどんな関係があり、どう考えて実践するのが良いのか、という疑問に対して、この本では様々な視点を提供されていました。 社会心理学を専門とするコロンビアビジネススクールのアダム・ガリンスキー教授らによると、 「相手の意見に折れて協調すべきか?」 or

      • 文化を越えて信頼を築く

        DE&Iをテーマとした採用動画広告を当社で担当しており、私自身も多様なメンバーをマネジメントする機会が増えていますが、グローバル環境で相手と自分の文化のちがいを理解し、心地よくパフォーマンスを出せる環境を作る方法について日々考えています。 その中で、この本はいつも新たな気づきや発見があるため、一度まとめてみたいと思います。 異文化マネジメントに焦点を当てた組織行動学を専門とされているINSEADのエリン・メイヤー教授は、世界の文化の見取り図となる下記の「8つの指標」を紹介

        • インテグリティという基準

          英語をスキマ時間や休日に学んでおり、熟練度や流暢さを上げることに最近注力していますが、同時に英語の根底にある論理や思考習慣に個人的に興味があります。 こちらの本の著者さんである小林真美さんはNYU SternでMBAを取得され、25年以上に及ぶグローバルビジネスの経験から、特にアメリカ人の採用で重視されているのが「Integrity(インテグリティ)」という基準だと言います。 日本語では、高潔さ、誠実さ、清廉潔白さと翻訳されることが多く、言動が一致している、一本筋が通って

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          WHYを離さない

          ビジネスが拡大するといろんな意見をいただく機会も増えてきますが、自分の軸を改めて確認したくなった時にこの本をときどき手に取ります。WHYから始めるリーダーはなぜ人々を鼓舞し、一方でWHYを見失った個人や組織がいかに衰退していったかが分かり、新規事業や起業をする人の必読書として有名な名著ですね。 「消費者は企業のWHAT(行動の結果)を買うわけではなく、企業がそれをしているWHYを買う」というメッセージは、初めて読んだときには大きな衝撃を受けました。そして、「WHYがなければ

          楽しむメカニズム

          人事部向けのDE&Iと採用を支援する中で「内発的動機」というキーワードをよく聞くようになり、リサーチの一環でこの本と出会いましたが、知っているつもりだった「フロー体験」にはいくつもの側面があるようですね。 フロー体験という言葉はビジネス書で最近よく見るようになりましたが、ポジティブ心理学の研究で知られる著者のミハイ・チクセントミハイ教授は、 「フロー活動」 = 行為者の技能に関して最適の挑戦を用意している活動 と定義され、人が活動を楽しいと感じる理由の調査によって下記の

          最適な目標設定

          起業する前に会計について基礎を学んでいた時に読みましたが、専門家に限らずビジネス書の名著ですね。自分の無意識に染み込んでいること、まだ努力が必要なことなど、多くの気づきがありました。 この本では、会計に関する7つの原理原則がわかりやすく、深い語り口で記されています。 1)キャッシュベース 2)土俵の真ん中で相撲を取る 3)1対1の対応 4)完璧主義 5)ダブルチェック 6)採算の向上 7)透明な経営 特に「土俵の真ん中で相撲を取る」という、切羽詰まってから全力を出すので

          変化に対応する

          大企業では近年、アセットを生かしながら変化に対応するために「ネットワーク組織」が重視されており、このキーワードを調べてみました。 変革のリーダーシップを研究するジョン・P・コッター教授は、ネットワーク組織を下記のように定義されています。 ▼ネットワーク組織とは ・動的に常に変化し、案件に応じてくっついたり離れたりする ・上下関係のタブーがなく、シックスシグマの縛りもない ・個人主義、創造性、イノベーションが公に認められる ・階層やサイロごとに滞留していた情報が自由に行き来

          学びの成功のカギ

          学び直しには、「プロセス」「学習スタイル」そのものを学ぶことも大事なようですね。 経験学習の理論で知られるデイヴィッド・A・コルブ教授によると、学びの成功のカギは、 「目標をいつ達成するか、適切な期限を設定すること」 だと言います。 挫折の最大の原因は、目標の期限が早すぎることなんですね。 「〇ヶ月で達成」のようなYouTube動画のサムネイルをよく見かけますが、期間の短さで注意を引くのは、「学び」という観点からはミスリードと言えます。 適切な期限を設定するメリッ

          スマホによる注意の分散

          スマホによっていつでも他者の情報に触れられる「常時接続の世界」で、どうすれば刺激に埋もれず大事なものを育てていけるか、というヒントが詰まった本ですね。 著者である哲学者の谷川嘉浩さんは、 ・注意の分散に抵抗しよう ・孤独を持とう というメッセージをこの本を通して発信されていました。 スマホのある生活に慣れ、無意識に手が伸びたときに「これはよくないな」と薄々感じていましたが、この習慣による弊害の1つが「言葉の使い方」であるそうです。 現代アメリカ哲学者のロバート・ブラ

          事業と一体の人事戦略

          スタートアップや新規事業の成長に必須となる、事業と密接な連携を築く人事戦略のフレームワークがまとめられた貴重な本ですね。 私自身も会社を経営しており、人事関連の部署の方から依頼から増えているため手に取りましたが、商談では必ずと言ってよいほど「事業と一体となった人事」というフレーズが出てきます。 この分野をもっと学びたいと思っていた矢先で渡りに船という感じでしたが、特に参考になったのは、そもそもスタートアップ企業はどのような壁に直面し、なぜ人事戦略で解決すべきなのか、という

          学習しながら実行する組織

          多様化する職場の中で目標を達成するために、効果的な協働に必要なプロセスとは何かを紐解いた「組織づくり」の名著ですね。 組織学習や心理的安全性を研究するエイミー・C・エドモンドソン教授は、「学習する組織」を長年のテーマとし、チームワークが発揮されるプロセスを「チーミング」と名付けました。 チーミングとは、「学習しながら実行する」を持続させることであり、組織学習の原動力であるといいます。 さまざまな企業へのコンサルティング実績から、成功しているチーミングには下記の「4つの行

          仕えるリーダーの姿勢

          最近、企業のCHROの方と話す機会があり、DEI推進について伺うなかでこのキーワードが出てきたので調べましたが、リーダーのあり方を考える上で重要な概念ですね。 まずChatGPTに聞いてみると、 次に、どのような組織に必要とされているか聞いてみましたが、 とのことで、両利きの経営を行う大手企業には特に重要ですね。 アメリカの大企業でマネジメント教育を担当され、1977年にこの本を出版したロバート・K・グリーンリーフ氏によると、長年の研究と実践が明らかにしたのは「導く」

          DE&Iと問いかける技術

          ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの取り組みによって職場の多様性が増すなか、「問いかけ」の技術がより必要とされていると最近感じます。 組織心理学を50年以上研究するエドガー・H・シャイン教授は、多様性が増す現代の最大の問題は「人間関係」より「課題の遂行」に価値を置く文化が増えたことだといいます。 その文化は自覚されにくいため、費用対効果を求めると人間関係の構築は時間がかかるからやめておこう、となりやすいのですね。 著書が長年の研究から明らかにしたのは、社会的に大

          仕事のムダを減らす

          生産性を上げるための「合理化」のポイントと、その裏に共通する「ムダ」とは何かが実践知をもとに語られた名著ですね。 クレディセゾンのCTOである著者の小野さんは、ビジネスの「山=長所」「谷=短所」という視点を重視され、 「谷を埋めても、山がなければ顧客には何も映らない」 といい、人は「山」を見出せなければ「谷」に吸い寄せられてしまう傾向があり、谷を埋める思考はラクだがムダである、と強調します。 「谷」は、すでに他社が世に示している体験や価値なのですね。 そこで、山をつく

          最高の支援

          誰かを支援する、という行動は、顧客やチームメンバーとのコミュニケーションにおいて重要ですが、このプロセスを研究する「支援学」という領域があることを最近初めて知りました。 最高によかれと思って行った支援がなぜ失敗するのかを研究する組織心理学の創始者・エドガー・H・シャイン教授によると、支援者が陥りがちないくつかの罠があり、最も大きな原則は「相手を知らずに、支援はできない」ということです。 「余計なお世話」「おせっかい」「的外れ」は相手のためにならない、ということは何となく想