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WHYを離さない

ビジネスが拡大するといろんな意見をいただく機会も増えてきますが、自分の軸を改めて確認したくなった時にこの本をときどき手に取ります。WHYから始めるリーダーはなぜ人々を鼓舞し、一方でWHYを見失った個人や組織がいかに衰退していったかが分かり、新規事業や起業をする人の必読書として有名な名著ですね。

「消費者は企業のWHAT(行動の結果)を買うわけではなく、企業がそれをしているWHYを買う」というメッセージは、初めて読んだときには大きな衝撃を受けました。そして、「WHYがなければ決断をくだすのは難しくなり、不安な気持ちのまま科学やデータに頼って決断するようになる」という部分から最近、気づきを得たことがあります。

私は動画制作をしているため初対面の方とお会いすることが多く、なぜ自分がこの仕事をしているのかという説明は割と頻繁にしていたのですが、先日、私自身の中長期的なゴールとWHYを話す機会があり、本当に苦労しました。

普段この説明は慣れているため、そこまで伝わらないということはないだろう、という油断がどこかにあり、実際に書いたり話してみると「よくわかりません」「もう少しロジック詰めましょう」と返されて何日も途方に暮れました。自分がいま目指していることの目的を言語化する能力を根本から否定されるとは思っておらず、その際にこの本を何度も読み返しました。

なぜ私のWHYが他者にとってよくわからないのかを何日も考えていくうちに、科学、データ、メディアなどどこかで見た情報を安易に組み合わせただけだからではないか、と感じ始めました。では、そうした表面的なWHYではなく、自分の奥底にあって人を鼓舞するWHYをどうしたら見つけられるのか、ということをさらに何週間も悩みました。

そして、これは本に書いてあることではなく個人的な意見ですが、人を説得する力を持つWHYは、自身の何らかの「変化」と関係があるのではないか、と考えるようになりました。ある出来事を通して、もう以前の自分のマインドには戻れない不可逆的な変化があり、その後の仕事にも大きく影響を与えるほどの使命を感じるようになった、という経験が大事なのかもしれないと思います。その体験は、おそらく多くの人がそうであるように、私もキャリアとしてネガティブなものでした。

そうした経験を簡潔にまとめ、決断までの感情の流れをストーリーとしてはっきりさせることで、ようやく少し理解されるようになりました。この体験は動画プロデュースという現在の仕事にも生きており、さまざまなビジネスリーダーの「WHY」と「価値創造ストーリー」を動画で伝える際に特に気をつけています。

どのような職種の方でも最初は志を持ってWHYから始め、ビジネスを続けるなかでWHYから離れてしまいそうになるのはおそらく共通です。そんな時にWHYを改めて問うことで一貫性を取り戻させてくれる誰かがいることは、企業を持続的に発展させるために重要だと言えますね。

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