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【リモートワーカー必見】BONXのCEO宮坂とBCGシニアアドバイザーの御立尚資氏がチームを成長させるリモートワークについて対談

「withコロナ時代のチームを成長させるリモートワーク」についてボストンコンサルティンググループ”仲間”の2人が対談。ご参加、お申し込みいただきまして誠にありがとうございました。対談を見逃した方にも振り返って頂けるように、当日の内容を余すこと無く文章化しましたので、リモートワークに課題感を感じられている企業様には必見です。ぜひ御覧ください!

画像1(写真左:御立尚資氏、写真右:BONX CEO 宮坂貴大)

御立氏と宮坂との出会いは宮坂の前職であるボストンコンサルティンググループ時代に遡ります。今回の対談は、当時宮坂が在籍していた際に日本の代表を努めていたのが御立氏ということで実現しました。

1.日本企業のリモートワークの現状についての質問

Q.リモートワーク下でチームワークはどのように変化しますか?

BONX 宮坂:リモートだとお互いの距離感が離れてしまって熱量がなくなり、仕事が楽しくなってしまいそうな気がしています。タスクに追われ続けるようなイメージですね。

御立氏:日本企業という分類で一括にはできないと思っています。またフェーズも0→1と1→10で全然違う。もともとチームワークがあるところはリモートワークをもうしばらく続けても問題ない。新入社員が入ってきたり、人間関係ができてない人が入ってくると難しくなる。0→1のスタートアップだと、思いの熱さを共有しないといけないのでその熱量はあがわかりにくい。1→10は仕組み化をしないといけない。会社によって課題は違うが、元々の人間関係がないと今は難しいと思います。テクノロジーが発展すればもう少し補完はできそうだが、リアルの関係性を作るところの課題は残ってしまう。そこをどうしていくかっていうタイミングだと思いますね。

Q.リモートワーク下でイノベーションの機会はどう変わるでしょうか?

BONX 宮坂:大企業とスタートアップに分けて考えました。大企業の中からイノベーションが生まれるのは難しくなるのではないでしょうか。イノベーションが生まれ始める時は、まず誰かが何かのきっかけでアイデアを思いつく。それがインフォーマルな雑談などを通じて、膨らんでいく。既存の人間関係があればそういった雑談も生まれやすいが、人間関係が希薄になるとアイデアも雑談も減ってイノベーションは生まれにくくなる。一方でスタートアップが起こしていくイノベーションに関してはリモートになっても変わらなさそうだなと思いました。

御立氏:イノベーションってエクスプローシブカクテルで、全然違った種類を合わせることで生まれてくる。カクテルのように異質なもの同士がぶつかるとおもしろいですね。イノベーションってコーヒールーム。エスプレッソマシンにみんなが集まってきて、そこで話が膨らんでいく。異質なものがぶつかる機会が大事。放っておくと発展していかないのでそれを意識的に作る。くだらないことを5-10分話せるような関係性。くだらないことを自由に話せる心理的安全性も大事で、リモートでそういう雰囲気をどういう風に作れるかですよね。

Q.リモートワーク下でチームが成長する機会はどう変わるでしょうか?

BONX 宮坂:成長する人としない人の差が大きくなるのではないかと思う。もともとイニシアチブが取れる人間はそのまま成長していくが、そうじゃない人は存在感がなくなっていくのでは。

御立氏:修羅場をちゃんと体験できているかが大事で、それを共通体験できるといい。全員が経営者マインドだったらスタートアップは成長できる。目の前で起きていることを自分ごととしてそれを受け止めて、どうにかしようとするか。それをリモートで感じるのは難しいかもしれませんね。

2.BONX 宮坂によるBONX WORKのプレゼン

(BONX WORKプレゼン後のコメント)

御立氏:日本企業の強みは、空気を読めるというところ。そういった意味ではBONXは日本人の空気を読むという長所を活かせるツールだと感じた。大部屋で、「あそこで誰かが話している」、「別のところで、ああいう話があるなあ」っていうのが無意識のうちに耳に入ってくるのは良い。先輩がどんなことで言い争いしてるかとかを聞いて、空気を読める。そういう事ができるツールとしておもしろいと感じましたね。

BONX 宮坂:どんな企業が導入するといいですか?

御立氏:実はマニュアルを作って教え込むだけでは難しいビジネスがある。例えば、企業でいうとマーケティングに関わるもの。センスや感覚的なものが必要な分野。「どうやったらいいか」って考えたり、先輩がどんなことで言い争っているのかとか、「あそこであんなアイデアだしてもいいんだ」とかそういうことを感じないといけない。商品開発、クリエイティブな部門で、そういう時間を意図的に作ったことがありますね。クリエイティブな人たちは、集中タイムも必要なので「BONX WORKをあえて切る時間」を作ったりするといいのではないでしょうか。

「声に絞る」ことが効果的なところはすごくフィットするし、表情の情報が必要なところはZoom等のツールが向いている。あるいは併せて使うことで生産性が向上する。

3.withコロナにおける新しい企業の将来像について

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Q.リモートワークが主流になる中で企業はどのようにしてチームワークを担保していくべきでしょうか?

御立氏:チームワークの定義を真面目に議論してもいいかもしれない。目的があって、無駄なくみんなでタスクを分けてやるっていうチームワークなのか、みんながいろんな方向を見ながらアメーバのように環境が変わったらそっちに動けるようなチームワークなのか。それでいくと重要なのは後者ですよね。ジャズなのかオーケストラなのか。ジャズ型でないと、アドリブをやりながら方向性を変えていけない。こういったチームワークを発揮できるところが増えていくことが必要ですよね。

Q.リモートワークが主流になる中でイノベーションの機会はどのようにして担保していくべきでしょうか?

御立氏:偶然の出会いや違う部門との交流をいかに作るかが大切。アメリカのイノセンティブっていうウェブサイトでは、企業が解けなかった開発などの課題をそこに投げると別の会社の登録した科学者がそれを解いてくれる。例えば製薬会社の課題は別の分野の石油化学の人から見ると簡単に解けたりする。このように異分野を持ってくることで問題解決に繋がり、イノベーションが起こることがある。それを意図的に入れる。

BONX 宮坂:いつも一緒に働いていない人とのコラボレーション、出会いをどうするのかという課題はある。インターネットは本来はマッチングが得意なはず。ビジネスに於いてもオンラインでマッチングを生み出していくという方法もあるのではないでしょうか?

御立氏:本当の濃いイノベーションを作ろうと思うと、お互いが「まだこれ秘密なんだけどどう思う?」みたいな雑談が必要で、これはマッチングでは無理。なぜかというと信頼関係がない。信頼関係があるサロンみたいなところがあるのが本当は一番いい。「この人とは話が成り立つ」という異分野の集まりがあって、それがリモートだったりリアルだったりを繰り返すとおもしろい。信頼関係がないとただの取引になる。ディールをセットしているだけで、それはクリエーションじゃない。

日本企業のイノベーションには新卒一括採用のシステムが寄与していた。全然違う部署のやつにも同期であれば気軽に連絡できますよね。同期の仲であればいろんなことを教えてくれる。縦の繋がりとは関係ない横の繋がりが同期だとできる。一括の新卒採用がなくなって、中途採用やM&Aでいろんなところから人が集まるようになった。そういう時に心理的安全性を担保して、雑談したり、くだらない質問したり、アイデアをぶつけられるような場を意図的に作る。そうしないとイノベーションにつながるチームにならないですよね。

Q.リモートワークが主流になる中で企業がどのようにチームの成長機会を担保していくべきでしょうか?

御立氏:もっと密なコミュニケーションをどうやっていくか。人が育っていく時に大事なのは、「まずは聞いてみる」だし、「センスのいい人をメンターに付けて」だったり、「とにかく一緒にやってみる」とか。リモートとの組み合わせっていうのはまだ解がないですが、ツールを組み合わせることで底上げされてきている。

BONX 宮坂:リーダーの役割は変わってきますか?

御立氏:変わってきます。コンサルティングのような組織では人を育てられる腕のいい職人がどうリーダーになるかが大事ですし、自衛隊とか消防士とか全員が同じようにやらないといけないタスクをもっていらっしゃるところには教育の専門組織が多分あって、教育専門のリーダーがいますよね。そのあたりの前提を揃えた段階でチームのマネジメントの議論に入っていくべきだと思います。この辺りの議論は結構ごちゃごちゃになるので、「理想のリーダー像は?」ってなった時に「それってどんな仕事の話だっけ?」って思うんですよね。BONXのお話でもあったような、流れてくる会話を聞きながら部下が学んでいくのか、学習教材を自分で見て勉強するのとでは、部下の教育においてリーダーに要求されることが違ってきますよね。

大企業の場合は、教育訓練をするところがどういうスタイルで教育していくのかを頭において現場をサポートしていかないと上手く進まないです。スタートアップはみんなで走ってさばいていくしかないのですが(笑)

4.本日のまとめ:チームを成長させるリモートワークをどうやって実践していくか

御立氏:まずは悩んでいる理由をはっきりさせましょう。成功を阻害している要因は実は企業によって全然違う。大企業と言っても、地方の事業所とか工場とかで働いている人にとってのリモートと、大都会でホワイトカラーで働いている人のリモートって悩んでることが全然違う。本当に生産性をあげたいのか、イノベーションを起こしたいのか、それはどんな部門なのか、それをもうちょっと考えたいですよね。その時にあったツールはこれから出てくるものも含めて適切なものを選んでいけばいい。技術が助けてくれることはある。どんなツールや技術が「何を助けてくれるか」の議論に移っていきたいですね。

次回の対談について

次回、9月29日(火)の配信は株式会社GOの三浦氏をお招きし、対談形式のライブ配信を行います。