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空が広い

2011年7月、人生で2度目の転勤の辞令を受けた。東京生まれ、東京育ち、私の世界は東京中心。1度目の転勤は名古屋で、近い分、週末は東京に戻るという生活をしていた。そして、2度目の転勤の地は福岡。ちょっと遠くなった。

7月1日付けの辞令だから、6月30日に福岡に入り、まずは、ホテルで過ごすことになった。その週末にマンションに引っ越しをした。マンションは、この数年で目覚ましい開発が進んでいる六本松の駅前に建つ新築、私の部屋はその11階にあった。窓から外を見ると、空が広かった。

福岡の転勤生活は、食への興味を加速させて、休日は糸島まで自転車で食料調達に通うような生活になった。自炊の生活で、体調も良く、美味しいもの、がわかるようになった。そして、どんどん、福岡が好きになってきた。

福岡は、美味しいものがたくさんあって、住んでいた当時は、焼き鳥、もつ鍋など、地元の人がよく行くお店に行っていた。ある夏の日、糸島から帰ってきて、日焼けと自転車でちょっと疲れたので、「今日は外で食べよう」と近所の居酒屋さんへ初めて行ってみた。大きな赤い提灯が目印で、「おいで、おいで」っと誘われているように見える。

毎日楽しいばかりではなく、悲しい日もあれば、疲れた日もあり、自炊をしたくない日だってあって、そんな日は、会社帰りに立ち寄るお店になった。東京から戻って来れば、「おかえり!」と迎えてくれるのが、なんとも嬉しくて。

やがて、といっても、わずか1年3ヶ月という短い転勤生活が終わりを迎えることとなった。そして、東京に戻ってから、1年になんども通う地となった福岡。福岡の人に魅了されているのだと思う。

あの夏の日、汗びっしょりになりながら糸島から帰って、初めて入った居酒屋さん。女将の笑顔と、優しい心に疲れもすっかり癒されて、そこに行く理由は、彼女に会いたい、になった。


#あの夏に乾杯 #人生を変えた出会い #福岡 #ごえん #ありがとう #転勤 #あの人に会いたい

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