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【BONUS TRACKインタビューvol.11】“混ぜるカレー” に対する、深い愛情とこだわりを伝えていくお店。ADDA(アッダ)笹原さん

2020年4月にオープンした『BONUS TRACK』は、“あたらしい商店街” をテーマに、飲食店や本屋さん、ヴィンテージショップにレコード屋さんなど、さまざまなお店がつらなる複合型施設です。

ここでは、そんなBONUS TRACKに出店しているそれぞれのお店をインタビュー形式でご紹介。個性あふれるお店がずらりと並ぶBONUS TRACKの魅力を、ぜひお楽しみください。

おいしくて、たのしい。“混ぜる” がテーマの「ADDAプレート」

ーーBONUS TRACKのお店を紹介していくインタビュー、早くも第十一弾となりました。今回お話を聞いていくのは、BONUS TRACKの人気カレー店『ADDA(アッダ)』の店主・笹原さんです。よろしくお願いします!

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笹原さん:よろしくお願いします!

ーーまずはじめに、ADDAさんについて簡単に説明をお願いします!

笹原さん:『ADDA(アッダ)』は、お昼はカレー屋さんとしてスリランカカレーとインドカレーのランチを、夜はバーとしてお酒を楽しめるような、いわば “二毛作” 的なお店としてオープンしました。

ーー「インドカレー」はなんとなくイメージが湧くのですが、「スリランカカレー」というのはどういったものなのでしょうか?

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笹原さん:お米をメインに、いくつもの副菜とカレーを混ぜながら食べるスタイルのものです。ADDAでは、二種類のカレーをご用意していて。チキンカレーと日替わりのカレーですね。それらに加えて、スリランカ風の副菜を五種類ほど。

ちょっとずつ、それぞれの具材を混ぜながら召し上がっていただく形のカレーなんです。

ーー日本ではあまり見られない文化、ですよね? 日本で「カレー」というと、白米にカレールーがかかっているようなスタイルを想像するような……。

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笹原さん:たしかに、「カレーを混ぜて食べる」というカルチャーはあまり無いですよね。変な言い方にはなってしまいますが、ちょっと “お行儀が悪い” ように思われてしまうかもしれないですね。

この食べ方に対して、たしかにちょっと抵抗感を覚えてしまう方もいるとは思いますし、見た目も多少………ですが(笑)、味は抜群に美味しいんです。様々な味が混ざって、でもケンカせずちゃんと調和して。じんわりと、だんだん味が変わっていくような感覚ですね。美味しさも楽しさも両方ある、というか。

ーーわたしもADDAのカレーを初めて食べたときには、「えっ、カレーなのに混ぜて食べるの!?」とビックリした記憶があります(笑)。

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笹原さん:何度も言いますが、ちゃんと美味しいんです。見た目はたしかにアレなんだけど………(笑)。日本の食材に似たものを使っていたりもするので、きっと日本人好みなんじゃないかなぁとは思いますね。「モルディブフィッシュ」と呼ばれる、日本で言うところの「かつお節」のようなもの。出汁のような感覚で、きっと日本のみなさんにも楽しんでいただけるだろうなぁと思っています。

“長かった旅の終わりに、あのカレーを想ったんです”

ーーそもそも、笹原さんはなぜカレーのお店を出そうと思ったのでしょうか……?

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笹原さん:学生の頃に、バックパッカーとして活動していたんですね。ユーラシア大陸をメインに、陸路で移動しながら各国を旅していて。その旅路でいろいろな人と出会ったのですが、自分が「魅力的だなぁ」と思った方はみんな、“自分のお店” を持っていたんです。その姿を見て、なんとなくふわっと、「いつか自分のお店を持てたらなぁ」なんて考えていて。一種の憧れ、というか。

旅の途中で、たまたまスリランカに寄ったんです。その時に、もう、たまらないぐらい衝撃の出会いをしてしまって。

ーー衝撃の出会い………。

笹原さん:スリランカカレーと出会ってしまったんです。とにかく驚きました。他の食べ物にはない魅力を感じて。バックパッカーとしての長い旅を終えて、帰りの飛行機で日本に帰る際にも、何よりまず「スリランカカレー」のことを思い出すぐらいの衝撃を受けました。

ーーすごいですね……。バックパッカーを終えた帰りの飛行機でカレーを思い出すなんて……(笑)。

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笹原さん:あの経験がなかったら、きっと今の僕はカレー屋さんじゃなかったと思います。それぐらい、本当に、衝撃が凄かった。

就職してもなお諦めきれない、カレーへの想い

ーーカレー屋さんになったのは、学校を卒業してすぐだったんでしょうか?

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笹原さん:バックパッカーとしての旅を終え日本に帰ってきた頃には、就活が始まっていたんですね。就職をせずに最初から自分のお店を持つ、ということがあまりに想像できなかったので、まずは一般企業に入ろうと考えました。文房具メーカーの商品企画として会社に入って。

ーーなるほどなるほど。その後はどのような経緯で……?

笹原さん:これ、言っちゃダメかもしれないですが………(笑)、カレー屋さんでバイトしていたんです。平日は会社の仕事を。休日になればカレー屋さんのバイトを。諦めきれなくて。

たまたま、配属されていた部署から離れることが決まり、違う部署に異動することになって。大阪へ転勤したんですね。そのタイミングで、現地の『デッカオ』というスリランカカレーのお店に、お客さんとして通うようになったんです。

ーーやっぱり、ずっとカレーがお好きなんですね……。

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笹原さん:大阪へ行っても、やっぱり変わらず大好きでした。何度も通っているうちに、ちょっと話してみたんですよ、「カレー、やりたいんですよねえ」って。そしたら、まさかの『うち、二号店を出したいから、やってみる?』なんて言ってもらって。そこで、カレー屋さん『デッカオ』でのバイトが決まったんです。

ーーすごい出会い……!! そのバイトはどれぐらい続けたんですか?

笹原さん:もともとは一年ぐらい続けるつもりで。その間に修行を重ねつつ、ゆくゆくは当初からの夢だった「自分のお店を持つ」というのを叶えようと思っていました。

ただ、バイトを始めて半年ほど経った頃、当時の店長から突然『東京にお店を出そうと思ってる』と話をされて。店長を任せてもらえることになったんです。

僕が働いていたスリランカカレーのお店『デッカオ』と、仲良しのお店の『ボタ』というインドカレー屋さんが手をくんで、新たなお店を開く、ということで。それがBONUS TRACKの『ADDA(アッダ)』です。このお店。もう、急ピッチで仕事を覚えましたよ。

ーーつくづく、すごいタイミングだなぁと思います……。店長になる、ということについて、どう思いましたか?

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笹原さん:純粋に嬉しかったですね。「自分のお店」というものに対して、ずっと憧れを持っていたので。ただ、同時に怖くもありました。店長のやり方次第で、お店のあり方はどんどん変わっていってしまうから。すごく楽しみではあったけれど、ちょっと緊張しているような感覚でした。「あぁ、僕のお店なんだ」って。

「ご近所さんに愛されるカレー屋さん」を目指して

ーーBONUS TRACKに『ADDA』をオープンされて、大阪の『デッカオ』との違いなどは感じましたか?

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笹原さん:ちょっと変な言い方になってしまうかもしれないのですが、ADDAに来てくださるお客さまは、少し「上品」な感じがしますね。あまり上手くは言えないんですが。

ーー大阪の『ボタ』や『デッカオ』には、どのようなお客さまが来ていたんですか?

笹原さん:どちらも「心斎橋」というところにあって、とにかくいろんな方が来てくれましたね。オフィスもあり、商店街もあり、大きなデパートなんかもあって、本当に様々でした。お昼の早い時間にはサラリーマンの方が、お昼過ぎには美容師の方やアパレルの方が来てくれたり。バラバラでしたね。

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BONUS TRACKのADDAには、近くにお住まいの方が良く来てくれます。オープン前から行列を作りお待ちくださっている方もいて、本当に嬉しく思います。自分が作ったカレーをみなさんに楽しんでいただけるのは、純粋に嬉しいなぁと。

ーーたしかに、たくさんの方が来てくれていますよね。では最後に、そんなADDAでこれからやってみたいことがあれば、ぜひ教えてください。

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笹原さん:ご近所に住んでいる方が来てくださっている現状を踏まえたうえでも、BONUS TRACKの「住宅街に突然ドンとある」という感じは否めないなぁと感じます。なので、もっともっと「地域に根ざした動き」をしていきたいなぁと思っていて。

僕の理想は、大阪のインドカレー屋さん『ボタ』なんです。仲良しのカレー屋さんを10店舗も集めて、まさかの「音楽フェス」を開催していて。音楽とカレーが融合した空間がすごく楽しかったのを覚えています。ADDAでも、カレーだけでなく、広い意味での「文化」を絡めながら活動していけたら良いな、と思いますね。



今回のインタビューはyoutubeで公開配信をしたものの一部を抜粋しています。全体のお話については下記のyoutubeよりご覧いただけます。
※通信環境の不具合により最初の10分ほど配信できておりませんがご了承ください。
https://youtu.be/U7GUZLTDFvQ
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取材・撮影/平井 萌 文/三浦 希

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