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【BONUS TRACKインタビューvol.2】“お粥とお酒を通じて、秋田をおもしろがってほしいんです” 「お粥とお酒のANDONシモキタ」武田さん


2020年4月にオープンした『BONUS TRACK』は、“あたらしい商店街” をテーマに、飲食店や本屋さん、ヴィンテージショップにレコード屋さんなど、さまざまなお店がつらなる複合型施設です。

ここでは、そんなBONUS TRACKに出店しているそれぞれのお店をインタビュー形式でご紹介。個性あふれるお店がずらりと並ぶBONUS TRACKの魅力を、ぜひお楽しみください。


朝にお粥を楽しんでもらう、ということ

ーーBONUS TRACKインタビュー第二弾、よろしくお願いします。

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武田さん:よろしくお願いします!

ーーはじめに、お店の紹介をどうぞ!

武田さん:僕らのお店は、「お粥とお酒のANDONシモキタ」といいます。日本橋に本店「おむすびスタンドANDON」があり、その二号店として、BONUS TRACKにオープンしました。

ーー「おむすびスタンドANDON」は、その名のとおり “おむすび屋さん” ですか?

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武田さん:そうですね。僕は秋田県出身なのですが、多くの方々に秋田のお米を楽しんでもらえたらと思い、3年前の2017年にオープンしたお店です。

ーーおむすび屋さんって、めずらしいですよね。その次が、お粥やさん……?

武田さん:下北沢のANDONは、「お粥とお酒のANDON」ですね。日本橋の本店で出しているおむすびも扱っているのですが、メインはお粥とお酒。

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ーーなぜお粥を専門で扱おうと思ったんですか?

武田さん:本店の「おむすびスタンドANDON」は、お昼にオープンするお店なんです。おむすび二つとお味噌汁、香の物が付いたランチセットを用意していて。かつ、夜にはお酒を飲めるようにもなっているような。これまで、「朝の営業」というのを行ったことがないんです。
 下北沢のお店では、朝のメニューを考えてみたいと思い、「お粥」にしてみました。

ーー朝にお粥って、ちょっと繋がらないような……?

武田さん:朝から「定食」って、ちょっと重たいですよね? 朝ごはんは、なるべくサッと食べられるものが良いだろうなぁと思っていて。アジアには “朝粥” という文化があるんです。「中華粥」って聞いたことありますか?

ーー中華粥! ありますね。お粥に具が乗っていて、出汁の味がほんのりするような。

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武田さん:僕らが出しているのもそれに似ていて、出汁や具材にこだわったお粥です。やさしい味で朝にピッタリなものですね。それに、下北沢には海外の方もたくさんいらっしゃるし、きっと受け入れていただけるだろうなぁ、と。お酒を飲まれる方にもピッタリかも。下北沢って、お酒を飲まれる方がかなり多いイメージですし。二日酔いにも良いかもしれませんね(笑)。
 朝・昼・夜のすべてのシーンで楽しんでいただけるお店にしたかったので、お粥だけでなくお酒のご用意もしています。それももちろん、すべて秋田県産のもの。


“「病気=お粥」じゃないんです”

ーー正直、お粥って、「体調が悪いときのご飯」だと思っていました……。

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武田さん:お客さんからも言われます(笑)。たしかに、そういうイメージはありますよね。でも違います。「病気=お粥」じゃないんです。食べ物としてちゃんと美味しいものをお出ししていますよ。たとえば、出汁には秋田県の名産「比内地鶏」のガラを使っていたり。お粥に乗せる具材はすべて秋田県産の食材を使っていますね。

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ーーすごい、たくさんありますね!

武田さん:現在は、8種類の具材を用意しています。好みや、それこそ体調に合わせて選べるように、なるべく多くのものを集めました。上に乗っている “せり” は、秋田の郷土料理「きりたんぽ鍋」にも使われている野菜で。

ーー小さいところにもこだわっているんですね。

武田さん:本来なら、お粥には三つ葉を乗せるのが一般的なのですが、やっぱり秋田の食材をたくさん食べていただきたいですよね。“だまこ” というものも、秋田県でよく食べられている料理です。お米をつぶして、団子状にまるめたもの。お粥の具材として、一口で食べやすいサイズにしています。体調がすぐれない時だけでなく、普段の朝ごはんとしても楽しんでいただきたいなぁ、と思いますね。

離れてみてはじめて、秋田のおもしろさに気づいた

ーーそもそも、なぜそんなにも秋田県が好きなのでしょうか?

武田さん:秋田県の出身というのもあるのですが、ひとつ大きなきっかけがあって。僕は就職を機に上京してきたんです。小さい頃からの夢だった、ゲーム会社に就職したんですね。

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武田さん:仕事にも慣れてきて、たまたま地元へ帰ったときのこと。就職してから6年ほど経った頃です。僕がいた頃はすごくにぎやかだった商店街が、まるっきりガランと寂れてしまっていました。ほとんどのお店のシャッターが閉まっていて、「このままでは地元がなくなっちゃう……!」と思ったのを、今でも覚えています。

ーーなるほど……。それを機に、秋田県にかかわる仕事を始めたんですか?

武田さん:秋田に住んでいた頃は、とにかく地元を出ることばかり考えていました。東京に行きたい、東京のゲーム会社で働きたい、とばかり思っていて。ただ、秋田の荒んだ街並みをあらためて見た時に、はじめて「秋田のために何かできないかな?」と思うようになったんです。それからは、知人が開催していたファーマーズマーケットをお手伝いしたり、ボランティアに参加したり、東京にいながら僕にできることを探して積極的に携わってきました。

ーー離れてみて初めてわかる、というのもありそうですね。

武田さん:本当にその通りだと思います。あのタイミングで帰省していなかったら、きっと気づけなかった。それに、もしも僕がずっと秋田に住んでいたとしたら、それこそ気づけなかったと思うんです。少し離れた「東京」から秋田を見つめることで、第三者目線で問題に気づくことができる。今の僕の仕事も、まったく同じです。「秋田はこんなにおもしろいんだよ!」と発信することで、みんなにも、そのおもしろさに気づいてほしいですね。

ごはんを食べる “だけ” じゃない場所として

ーー武田さんのお話を聞いていると、実際に秋田県へ行ってみたくなるんですよね。

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武田さん:それこそが本望ですね。僕たちの仕事は、食べものを売るだけじゃない。秋田県のおもしろさを、みなさんに伝えていきたいんです。ごはんを食べるだけでなく、そこから「秋田県」という場所に興味を持ってもらいたい。僕、本当に秋田のことが好きなんですよ。だから、たくさん話しちゃうんです(笑)。

ーーそれはすごく伝わります。本当に好きなんだなぁ、って。

武田さん:もっともっとおもしろがってほしいなぁと思います。お店に用意した秋田のお酒もそう。お粥の上に乗った具材ひとつもそうです。ANDONに来てくださった方が、少しでも秋田県に興味を持ってくれたら嬉しいですね。また、お客さんだけでなく、お店の方々とのつながりもできたら楽しいなぁとも考えています。ANDONだけでなく、東京じゅうのお店で秋田県産の食材が使われるようになったら、きっと楽しいな、と。みなさんが秋田県を知るきっかけを、どんどん積極的に作っていきたいですね。



今回のインタビューはyoutubeで公開配信をしたものの一部を抜粋しています。全体のお話については下記のyoutubeよりご覧いただけます。
https://youtu.be/dtRpGRBpsBI
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取材・撮影/平井 萌 文/三浦 希

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