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ピアニスト西川悟平さんからのエール

東京パラリンピックの閉会式で演奏したピアニストの西川悟平さんは、持ち前のポジティブな発想で人生のさまざまな不可能を変えてきた人だ。ピアノを始めたのはその道を目指すにはあまりにも遅い15歳のとき。周囲から「音楽学校に入るのは絶対無理」と言われて火が付いた。

人一倍練習に励みながらコンクールへの挑戦を続け「何事も積極的に人と交わる」をモットーに、来日公演中の世界的な巨匠にも臆せず質問攻め…。そうした行動力もあってニューヨークに渡るチャンスをつかみ、ピアニストとしての地位を築いた。

後年、難病のジストニアを発症し両手の演奏機能を失った際も懸命のリハビリで「7本指のピアニスト」として再起した。「指遣いなんてどうでもいいんや。テクニックで10本指の人にかなわないなら一音一音を大切にしよう」と、感情のこもった個性あふれる弾き方を昇華させた。

しかし、世の大半の人たちは「やってみたいことや夢はあるけど、いま一歩踏み出す勇気がない」のが現実だろう。その心理には生活環境を変えることへの不安や恐怖があるが、そんな人に西川さんはこうアドバイスする。

「失敗すればそこから学べることが多い。『次はこうしてみよう』と前向きに前進していたら『あ、なんだできるじゃん』と言える日が来る」
「最悪の出来事も最高に変わる。それぞれの出来事を生かすも殺すも考え方と行動次第」

もともと音楽教師を目指していたという西川さんは新型コロナウイルス禍のいま、活動拠点のニューヨークから帰国し、コンサートの傍ら、全国の小学校などでも講演活動に励んでいる。

「夢を持って生きて。あきらめないで」
「準備が整うのを待たず、まずやってみて」

少年少女たちへの助言は立場や年齢に関係なく、いろいろな可能性にリミットをかけている大人たちへのエールにも感じられた。

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