見出し画像

高齢になっても推し活は続けられるかということの個人的な考察③

   お客様、ここはソ〇トバン〇でなく、a〇ショップです!!

    純烈コンサート@海老名から、まもなく1週間。あっという間であった。かなり浮かれて帰ったので、品川駅の階段で足を踏み外した。何とか動けたので、夜には自宅に着いたのだが、翌日受診したら、腰の骨にヒビが入っていると言われ、コルセット着用を命じられた。
   3年前、腰椎椎間板ヘルニアもやっており、二重三重に腰が痛い状態だ。たとえ思わぬファンサービスをもらったとしても、ホワホワした気持ちは一旦鎮めて帰ろう。家に帰るまでが推し活、という教訓を得た。

   さておき。
   推し活はいくつまで可能か?にそろそろ触れなくてはいけない。簡単に言えば、好奇心の強さ、感受性の豊かさは脳の若さに繋がるので、幾つになっても可能であると考える。
   しかし、心身の加齢に伴う変化というのは個人差があること、持病・怪我等々によってその変化も差が出る、ということを踏まえるとまた違う。自虐も込めてうっかり言ってしまう、「もうジジイ/ババアだから!」というアレ。実は40歳からを指す、「初老」って言葉がそれそのもの。老いは確実にやってくる。
   そこまでに鍛錬したり、健康に気を付けても、だ。
  
   ここで見出しの話になる。
  スマホの充電が出来ないので、休みの日に自宅近くのauショップに行った。入口近くで、70代後半くらいの男性が、若い男性店員をつかまえて、一方的にまくしたてている。

「なんでここがソフトバンクじゃないんた!俺が前ここを通った時は、間違いなくソフトバンクだったんだぞ!使った覚えのない4万の請求書を送り付けておいて、なんだその態度は?!」

   いやいや待って。
   もう何年も前から、ここauショップなんだよ。ソフトバンクは、隣りの町内なんだけど。
    店員さんも分かりやすく、タブレットで地図まで出して説明してるのに、高齢男性は全く聞き入れる様子がない。それどころか、自分が「ここにあった」と主張するソフトバンクの支店の話に始まり、契約した時の話まで続き、地図を見てくださいと促されても、「知ってるよ!〇〇町だろ?」とまるで見当違いの町名を答えている。最終的には、地図をプリントしてもらって出ていったが、恐らくソフトバンクの支店にたどり着けなかったのではないかと思う。
   自家用車を運転してきたようだし、携帯電話も使える程度には生活も出来ているようだ。か、しかし。
①地図や周辺を見て今いる場所がわかっていない
②自分の思い違いということが認められず、目の前の店員にそのイライラをとりあえずぶつけている
③なぜ高額の請求が来たかを聞きたいのか、ソフトバンクの支店に行きたいのか、困り事でなく、思い浮かぶままを話していることに気づけていない。
④他の来客が来て、人手が回らなくなっていることより、自分が最優先だと思ってしまっている。

   これだけ揃っては、認知症診断のきっかけにもなるはずの高齢者教習が無事通ったのか心配になった。
   70歳超えても若々しい人が増えた、とは思うが思考や判断力、環境適応能力は確実に衰えるし、いずれそれは自分が行く道なのだ……というのは、6月の純烈コンサート@水戸で痛感した。
   水戸、そして海老名で感じたモヤモヤについて、ちょっとフェイク混ぜつつ考える。

         海老名文化会館、昼回。

  まず、海老名である。
  新型コロナウイルス感染症の5類引き下げと共に、実に3年振りの単独推し活再開の場所をここにしたのは、チケットが取れたから、である。  
  全く馴染みのない場所ではあったが、会場は泊まったホテルから近かったし、涼を取れる場所もあった。
   時間近くになって集まって来た方、下は20代後半、上は恐らく80オーバーという方もお見受けした。……小学生?というようなお子さんも見かけたけど、ど平日の昼間に学校休んで親御さんと行くのは、きっと令和の世には珍しくないんだろう。
   で。座席表を見て自分の席を確認して、ホールに入ろうとしたら、周りを押しのける勢いでシルバーカー(高齢の方が押す手押し車)を押す2人組、推定80代女性。シルバーカー、どう見ても畳んで座席に置けるサイズでは無い。だが、2人とも会場スタッフに確認もせずに進んでいくので、急いでスタッフを探して、声をかけた。

「あのご婦人たち、たぶんシルバーカーは通路に置けると思ってるかもしれないです。お声かけして、置き場所ご案内してあげた方が……」

  直接声をかけるべきか迷ったが。私は2人の家族でも知人でもないから、シルバーカーなしに2人がどの程度歩けるかもわからない。シートにおさまらないなら、通路に置こうなんてなった時に、開演中・終演後にあれこれ起きるまでは予想出来たので、この場のプロに任せよう、と判断した。  
   会場スタッフが2人を呼び止めて、たためるかどうかを確認し、ホール外で預かることになった、まで聞いて自分の席に行こうとした。

「すみません、〇列の〇番てここでいいですか?」

   推定70後半のご婦人。しかし、あなたが仰ってる番号、申し訳ないけど1列ずれてます……つーか、私スタッフじゃないんですけど。

「あら、ごめんなさいね。黒いTシャツの人だから、案内の人かと思って」

  確かに会場スタッフは黒をベースにオレンジのワッペンを付けたスタイル。……でもさ。席に座ってるスタッフはいないと思うの。しかも、ペンライトの動作確認するスタッフはいないよ。
    ご婦人は単独参加らしい。いそいそとペンライトを準備すると、全く初対面の臨席の人たちと話し出した。……打ち解けんの早いな、おい。
    私も若い頃会場で意気投合した人と呑みにいったりしたけど、その中にカルトにハマってるやつがいて、しつこい勧誘にあったトラウマがあるので、基本周囲には話しかけない。
   喋り声がデカいので、開演中の注意事項を促すアナウンス(この日は岩永さんの影ナレではなく、海老名文化会館側が流しているもの)は聞こえてないようだが、まあチケット買ってコンサート来るくらいだから大丈夫かなと思ってやり過ごした。
   と。

「ちょっとお姉さん。トイレに行きたいんだけど、どこですか?」

  おい待て。盛り上がってる同士でいくんじゃないのかよ。

「後ろの出口を出て左側の小ホールと、右側に(ry」

「初めて来るからわかんないのよね、右側だ左側だ言われても。連れてってくれる?」
   
   開演10分前だぞ。緞帳が上がる中戻って来たくないんだけど。よし、40秒で支度しな!!
とは言えないので、出口まで出て、あちらです、と教えて戻る。ちなみに、案内しても、ご婦人が自席に戻ってもお礼なし。
   開演ブザーなってオープニングになってからも、なんだか集中出来ないボリュームで喋る2人。……あのね。おうちで「うたコン」や「新・日本のうた」見てるんじゃないんですよ。お喋りはまずくねえですかね。
   曲が続くうちはよかったけど、MCになったら、メンバーの話そっちのけで喋る喋る。いかんいかん、集中しないと。
   ガンジーも助走つけてシャイニングウィザードするレベルになったのは、純烈コンサート恒例、曲を歌いながら客席を回ってメンバーと観客が握手する「ラウンド」になった時である。
   昼回、後方座席担当は岩永さん・リーダー、前方座席担当は、白川さん・後上さんだったと記憶している。

「あら、こっち白川さんは来ないの?リーダーしかこないんじゃあねえ」

  ちょっと待てーい!と、私の脳内で千鳥のノブと大吾がボタンを連打する。その距離じゃリーダーに聞こえちゃうでしょうが!!もしかして聞こえるようにやってる?!
    確かに推しと握手したいのはわかるけど、リーダーだって人間だよ?聞こえるように言うか?めちゃくちゃ冷や汗かいたけど、注意する気にもなれなかった。もしかすると、この方は6人体制の純烈からのファンで、距離が遠くなった、ってさびしさから言ってるかもしれないし、と自分を納得させたけど、メンバーがステージに戻ってからもボロクソに言ってたんで、多分違う。
   楽しかったんだが、どうも喉に魚の小骨が刺さったような不快感が残った。 

          昼回、振り返りと考察。

  ファンになってから日が浅い、またはコンサート会場自体が初めてだったかなと考えても、ちょっとモヤモヤした。この手合いの話を該当のご婦人たちと年齢が近い人にすると、返ってくる言葉はだいたいこれに集約される。

「あら、そんなこと言うけど昔は……」

  すみませええええん!半世紀前の常識やモラルで、令和の世を語るのは辞めてもらっていいですか!!抱っこばかりしてると甘え癖が着くとか、アレルギーは食べて治すとか!もうお義母さんの時代とは違うんです!!
   ではなくてね。
   みんなお金を払って、純烈を観に来ているし、
他人が集中出来なくなるほど喋り続けるとか、メンバーの心を折りに行くような言葉をデカい声で言わない、見ず知らずの人間を介護士がわりに使うなって、そういう話なんですがね。
   auショップで店員にまくしたてていた老人を見て、腑に落ちた。今、自分がどういう場所にいて、どういうことに気をつけなくては行けないか、間違ったことに気づいて、どうリカバリーして状況に順応するか、が著しく困難になるのだ。
    たくさんの人が集まるコンサート会場で、注意事項は会場アナウンスとスタッフさんがプラカードにして呼びかけをしているけど、情報として入って来ていない。家でテレビ見ている延長になって、画面に向かって文句言う感覚で話す。外出の機会も減る、人の多いところに出る機会が無い、思考や判断力が柔軟性を失いつつある、いざとなったら、言えば周りが対応するだろう。4万円請求書老人と、私の隣の席のご婦人の行動・思考・判断力パターンはほぼ一致した。
   老いが悪い、ではない。
   そういう状態でも推し活に興味が持てる感受性は素晴らしいのだが、いかんせん感受性以外の部分が追いつかなくなるという問題がついてまわる。
   ではどうする。高齢になったら、推し活から遠ざかるか?はたまた、若い人顔負けにアップデートするか?

  これについては次回。

追記
   そんな辛口すぎるご婦人たちにも笑顔で手を差し伸べる リーダーと岩永さん、後光がさしてました……リーダー、岩永さん尊いです……。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?