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骨髄移植完了報告

しばらく更新が途絶えていましたが、骨髄移植が無事に済んで本退院いたしました〜。

移植は、今までの抗がん剤治療とは桁違いに精神的にも肉体的にもハードだったので、退院してもなかなかすぐには「note更新しよーっと!」という気力が湧いてきませんでしてハイ。

私が行った骨髄移植は、正確には非血縁者間造血幹細胞移植と呼ばれるもので、骨髄バンクのドナーさんから頂いた骨髄を私の身体に注入して、私の血液の細胞をドナーさんの細胞に入れ替えてしまう、という生命の神秘を感じる大それた作戦です(ちなみに臓器等の細胞は私の細胞のままらしいです)。

骨髄バンクという響きは、CMなんかでも耳にするワードだと思いますが、献血と違って気軽にドナーになる人はなかなかいないと思います。それでも池江璃花子さんが白血病を公表したことによって、登録者数は激増。著名な方が世の中に与える影響ってすごいですね。私もきっとその恩恵に預かった者の一人です。ありがとう池江さん。

現在、骨髄バンクには53万人のドナーさんが登録されています。ドナーさんの負担って大きいです。見知らぬ人のために無償でできることではないレベル感です。そこを乗り越えて骨髄を分けてくれるドナーさんは、私たち患者や患者家族にとってマザーテレサ。

検査や貯血で何度も病院に行かないといけないし(ほんで貯血って痛い)、骨髄を採取する時はお仕事や学校を休んで数日入院しないといけません。全身麻酔もあるし、決して気軽に請け負えるような役目ではないです。感謝が尽きません。

さて患者側はと言いますと、移植前に何クール(だいたい1クール1ヶ月程度)かの抗がん剤治療を行なった後、骨髄破壊的前処置という世にも恐ろしいネーミングの強力な抗がん剤治療や放射線治療を施されます。なんでそのネーミングにしちゃったんだろうと思うくらい、やられる側にとっては怖い響きです。

骨髄破壊的前処置とは、自身の骨髄を抗がん剤や放射線によって空っぽにして、ドナーさんの骨髄を受け入れる環境を整えることを言います。骨髄移植の第一の難関はこの前処置の副作用です。

前処置では人によって様々な副作用が出ます。私の場合は意識が朦朧としたり、吐いたり、日に何度も水下痢をしたりと、文字にすると大したことない感じにも見えちゃいますが、今まで3クールの抗がん剤治療とは段違いにキツかったです。

で、その弱りまくったところに骨髄移植の日がやってきます。弱りすぎてて骨髄移植に怯えたり緊張したりする余裕もなく、その点では逆にいいタイミングだったのと言えるしれません。

骨髄移植自体は、入院生活において抗がん剤や輸血を入れる用途にも日々使っている、首から入れたカテーテルを通してちゅるーっとドナーさんの骨髄を流し込むだけで、切ったり貼ったりするわけではありません。いつも生活している自分の無菌室のベッドで横になった状態で行われます。

とはいえリスクが高い施術なので、部屋の外にはAED等緊急対応グッズ、部屋の中には心電図モニターが準備されている、という大変緊迫した状況。そんな緊張を緩和するかのように、移植中は主治医や看護師さんがそばにいてくれて、笑顔で他愛のない雑談をしつつ時を過ごします。

移植が終わると、心電図を装着したまま30分〜1時間おきに血圧と酸素濃度を計測され3時間くらい横になり続け、それが済んだら尿検査。そんな感じで骨髄移植の日は終わりました。

そして首から流し込んだ人様の骨髄が、体内を巡り巡って最終的に骨の中に住み着くわけです。なんたる人体の不思議…!

翌々日くらいから体の中をゴウゴウと何か熱いものが駆け巡っている感覚がありました。きっとドナーさんの骨髄が「ここどこや!?」「なんだなんだ!?」「とりあえずくまなく探検や!」と走り回ってるんだろうなと思って、歓迎の意を精一杯心で伝え続けました。

その後は喉が痛くなったり、水下痢を頻発したり、発熱したり、手のひらがヒリヒリしたりと様々な症状を伴いつつ、輸血したり、GVHD移植片対宿主病という、ドナーさんの細胞が患者さんの細胞を攻撃することで起きる移植に伴う合併症)を予防するための抗がん剤(それも抗がん剤かよ!)メソトレキセートを点滴したりしつつ生着を待ちます。

生着とは、ドナーさんの細胞が患者さんの体に馴染んで「はい、では我々状況をだいぶ理解しましたので、今日からここで暮らします!」と宣言した状態のことを言います。白血球の値が1,000以上、その内好中球が500以上を占める日が採血で3回続くと、その1回目の日が生着日となります。

ここが移植の大きな関門で、生着率は95%と高いのですが、生着しなかった場合は、即再移植の準備を進めないと患者さんの体が持ちません。私は諸条件により「生着不全のリスクあり」と言われていたので、生着するかどうかは極めて大きな懸念事項でした。

骨髄移植では2〜3週間で生着するという統計があります(末梢血幹細胞移植では10〜14日臍帯血の場合は3〜4週間)。私は丸々3週間にあたるday21(移植の日をday0として日々カウントしていきます)に生着し、すごくホッとしました。

生着しても終わりではなく、GVHDとのお付き合いはここから数年に亘って続くのであります。そして生着したからと言って元気になるとも限らず、ここから退院するまでは自分自身との戦い(食欲を戻す、体力を戻す、症状が落ち着くまで治療しながら待つ)が繰り広げられます。

そして自宅に戻っても大丈夫そう!となったら退院です。生着して3週間で退院できる人もいれば、数ヶ月かかる人もいます。それは予測もできないし、何かの法則があるわけでもなく、患者側は一人っきりの無菌室でただひたすら日々の体調に向き合いながら、自宅に帰る日を夢みるのです。

そして私も夢みた自宅に帰ってきました。dayでカウントするとday47のことでした。昨年の11月に緊急入院して約8ヶ月入退院を繰り返してようやく本退院!長かったような、いややっぱり、長かったような。

私の人生でこんな大病をいきなりする日が来るとは思わなかったし、これからも背負い続けていかねばだし、ならなかったら楽だったけど、学ぶことはたくさんありました。

病気や別のことで苦しんでいる人たちの心が、少しでも楽になれたら、何か役に立つ情報を提供することができれば、と思ってもう少しnote.続けます。

シャバ最高。
健康第一。



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