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信じて打つべし(第3クール 抗がん剤投与完了)

去年の11月に突然急性骨髄性白血病と宣告された私ですが、2ヶ月以上が経ち、さすがにこの状況にも随分慣れてきました。

1月25日に3度目の入院。毎回全ての荷物を持って退院し、3日後に全ての荷物を持って入院。病院に向かうタクシーの中で「あゝ、またあの看護師さんたちのいる病院に戻るんだなぁ」と少しホッとする感情すらわいてくる始末です。

朝9時に病院に着くとコロナの抗原検査。検査結果が出るまで1時間以上待合室で待機。オミクロンの勢いが甚だしい時期、ちょっとドキドキしましたが無事に陰性を獲得して、入院手続きを済ませ、3日ぶりの我が病室へピットイン。ただいま。

その日の午後に中心静脈カテーテルを挿入する簡単な手術。二の腕の内側から管を入れて心臓へ向かう静脈に通し、入院期間中はこの管を使って抗がん剤や輸血や抗生剤を入れていくことになります。前回入院時、両腕ともうまく入らず、泣く泣く首から入れるということがあったので、私は緊張していました。緊張を抱えつつ手術台に横たわると、先生が「今回は研修医がやります」というので「えーー!?」と割と大きめの声を出してしまいました。

先生でも手こずったのに、初めて腕にカテーテルを入れる研修医に勤まるのか!?まぁ、誰にでも初めてはあるから仕方ないか〜と思い「何卒よろしくお願いします」と伝えて身を任せました。しかしブスブス刺すもうまく通らず、結局先生に途中交代して何とか腕から通りました!しかしこういう練習は患者相手じゃなくて研修医同士でやりあってほしいな…と患者の身としては思いました。

そんなこんなで翌日から5日間24時間の抗がん剤投与開始。細かく言うと、キロサイドが5日間24時間、ダウノマイシンという赤い薬が3日間各30分の投与。この赤い薬が身体にとどまっている2日目〜4日目あたりはずっと二日酔いのようなムカムカ感とともにありました(とはいえ、ごはんも毎食ほぼ完食できてるんですけどね。全然食べたくないので無理やりではありますが。あと、これは別に構わないのだけどとにかくずっと眠い)。日に日に増してゆくムカムカ感の中、4日目は腕のカテーテルが詰まったり、発熱したりとちょっとブルーでした。

が、5日目の朝、起きるとやけにスッキリしていました。ダウノマイシン、30分×3日なのにその威力たるや…。

そうして私は昨日の午後から点滴台と離れ離れになり、大きな自由を感じて生活しています。前後処置を合わせて6日間の点滴台との一心同体生活ですらフーフーしてるのに、来るべき移植時にはひと月は一心同体だと言います(今はシャワー時だけ点滴を止めてもらって単身で入ってるけど、移植時はシャワー中も一心同体!)。菩薩にならねば…。

さて、4日目に詰まった腕のカテーテルの件。

カテーテルが詰まる兆しを見せると、看護師さんはすごく焦ります。その焦る様子を見て私もヒヤヒヤします。なんとかしようと生理食塩水の入った注射器を細いものに変えたりして、通そう通そうとしてくれます。しかしですね「通らないだろうな〜」と言いながら打ち込んで来なさる。「いやいや、そこは通ると信じて打ってくださいよ〜」と看護師さんに伝えると「わかりました!」と言って打ち込んでくださいました。そしたらちょびっとだけ通りました。そして翌日には何事もなかったかのようにスーッと通るようになりました!歓喜!!

で、今朝はカテーテルからの採血がありました。採血を始めると首をかしげる1年目の看護師さん。「どうしたんですか?」と聞くと「採れるけど引きが悪いんですよね…どうしよう詰まったら…」と困り顔。そこで同じようなことを言いました。「採れないと思って引くのではなく、採れると信じて引きましょう」と言って、私も少し体の位置を変えてみたところサクサクと採血できました。

「採れると信じる気持ちですね」

そう言って看護師さんは笑顔で部屋を出てゆきました。私が最近これを言い続けてるのは、元々の気質もありますが、少なからずゲッターズ飯田氏の影響もありまして、昨年末に発売された「開運Letter 雨のち晴れ、のち。」(プレジデント社刊)にこんな文章があったのです。

「歩けない」と思ってリハビリをするのと「歩けるんだ!」と希望を持ってリハビリするのでは、結果は大きく変わってくる。

なんか、わかる。

同じかどうかは謎ですが、似たようなことなら小学校の体育の授業ですでに経験済みです。とび箱の縦6段は跳べない、と思って踏切板を踏むと、踏み切りが弱くなり体は前に行かず、とび箱の上に座るハメになる。側転できないと思って側転すると、足が上がらずに、訳の分からないへなちょこな動きになる。対して、とび箱の横の7段なら跳べると思っているので踏切に思い切りが出て、簡単に跳べる。逆上がりに関してはできると思っているので蹴り出しに思い切りがあって、結果成功する。

そもそもの課題が難しすぎて、意思の力では及ばないこともあるかもしれません。それでも私は羽生結弦は四回転アクセルを跳べると思う。なぜなら彼は跳べると信じているから。そしてファンたちもそう信じているから。

今の自分に当てはめると「スッキリ治ると信じて闘病しようね、自分!」、「スムーズに進むと信じて、お世話してね看護師さん!」「完全に治ると信じて治療してね、先生!」てことですね。

人間の脳は信じることで新たな可能性の扉を開いてゆく。プラシーボ万歳


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