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3日間のシャバ、からの第2クール開始(抗がん剤初日)

サンタさんに一時退院という粋なプレゼントをもらって、クリスマスの朝に一時退院しました。3日間限定のシンデレラシャバ生活です。

2021年11月22日に緊急入院し、途方などに暮れる間も無く淡々と第1クール(寛解導入療法:キロサイド7日間24時間+イダマイシン3日間各30分投与)に突入。下痢や皮疹、高熱、脱毛の副作用を乗り越え、血液学的寛解という寛解導入療法の成功と呼ばれるラインに到達。血中の芽球と呼ばれるがん細胞が5%以下になれば成功扱いらしいのですが、私は2.4%にてゴール(0%の人ってどれくらいいるんだろう)。

採血結果はゴールしたので、早速骨髄穿刺(マルク)と呼ばれる骨髄検査を行い、最終チェック。マルクは腰にぶっとい注射を刺すので、てっきり処置室で行うのだと思っていたのに、突然病室で行われて緊張しましたが、緊張感は無視してサクサクと作業は遂行され骨髄採取終了。退院が確定したのは、マルクの結果が判明した退院前日の夕方のことでした。

巷はクリスマスイブ。

特に意識してもいませんでしたが、その日の夜ごはんはローストチキン・コーンポタージュ・チャーハン・スパゲティサラダ・黄桃の缶詰というクリスマスを意識したようなそうでもないようなメニューでした。

1ヶ月間の入院生活の中で1番美味しく、メニューの紙にはサンタさんのイラストがプリントされていました。入院していても”クリスマスを感じてほしい”という栄養士チームの意気込みに感動していると、どこからか歌声が聴こえてきて、ふと窓の外を見たらキャンドルを持った10人くらいの人たちが病室に向かって讃美歌を歌ってくれていました。優しい世界にまた感動。例年よりもクリスマスを感じるクリスマスイブとなりました。

そして翌朝退院。1ヶ月ぶりのシャバの空気はすっかり冬。

この3日間、シャバで食べたいものをすでにリストアップしていたので、それらを食べ尽くし(ハンバーガー・すき焼き・ピザ・お好み焼き・うなぎ等)、入院中はNGだったものたち(生野菜・果物・ショートケーキ・パン屋のパン・個包装じゃないティーバッグの飲み物)もたいらげました。自宅のベッドは広くて寝心地が良く、久々に熟睡できました。今回の最大の目的である、現在知人に預かってもらっている愛猫にも再会。毎晩湯船に浸かり、馴染みのお店にも顔だけ出してご挨拶。誰もが私が普通であることに驚いていました。

そうなんです。自分でもびっくりするくらい普通。脱毛していること以外普通。本当に私って病気なの?と思うレベルです。入院した日も普通だったし、今も普通。普通じゃなかったのは抗がん剤治療期間中だけ。脱毛だって抗がん剤がなければ起きてないことだし、誤診じゃないよね??と疑いたくもなるほど普通でした。まぁ何度も検査していて、明らかに血中にがん細胞がいると私も採血の結果を毎度見ているわけですから、誤診なんてあり得ないのですが。

3日間のシャバ生活は瞬く間に過ぎ、再び入院いたしました。シンデレラのパーティーばりに短かったですが、これ以上長くいるとパーティーから帰りたくなくなってしまいそうで、私にとっては丁度いい長さの一時退院でした。

朝9時に病院へ行き、まずはコロナウイルスの抗原検査。結果が出るまで1時間ちょっと待ってから入院手続きを行い、元の無菌室にピットイン。すかさず採血をされて「あゝ戻ってきたのだなぁ」と思いました。

久々の病院食はいつも通りの薄味でしたが、シャバで濃い味を堪能し続けた私には新鮮で美味しく感じました。よし、次回退院時もこの作戦でいこう…。

午後からはCVという中心静脈カテーテルを入れる簡単な手術。前回は左の二の腕に入れていたので、今回は右腕に入れることにしました。前回はスムーズにいったし簡単なものだと分かってはいても、手術台に乗って行われるので緊張します。エコーでいけそうな血管を探してアタリをつけ、右腕に局部麻酔をチクリ。二の腕の血管から心臓近くに向かって管を入れていきます。「うーん、うーん」となかなか管が進まず苦戦している様子の先生。何度かトライするも諦めて左腕に変更。しかしそれもうまくいかない。

「首から入れるしかないか…嫌だけど」という先生の言葉により、ターゲットはついに首へ。首からのカテーテルは移植の時までないと思っていたのにわりかしすぐにやってきて衝撃。すでに両腕ブスブスやられて萎えてたのに次は首…。何かいいところ探そうと思って先生に「首から入れるメリット何かありますか?」と聞いてみましたが「残念ながらないです」との回答。しょぼん…。首にブスブスと麻酔を3〜4本打たれてあっさりと首から挿管。先生は先生で凹んでいて、私も私で凹んで車椅子で部屋に戻りました。両腕も痛いし首も痛い。ムチウチ患者のように不自然な首の動き。

3日間のシャバ生活の最終日、メンタルをうまいこと第2クールに照準を合わせ、前向きに帰ってきたのですがすぐにへし折られました。ちょっとポジティブ意識しすぎて力み過ぎてたかな、はぁ…力抜いてこ。そんなブルーな入院初日を終え、翌日(今日)の午前中から抗がん剤投与(キロサイド5日間24時間+ノバントロン3日間各30分投与)が開始されました。首のカテーテルには少しずつ慣れてきて、二の腕からのカテーテルに勝る長所を2つ見つけました。①両腕が自由②寝るときの体制が取りやすい、です。ということで、もう良しとします。

さて今回の治療は地固め療法と呼ばれるもので、予後良好に識別される白血病の場合は、この地固めを3クールやると治療終了です。しかしながら私はよろしくない遺伝子変異FLT3-ITDRUNX1の変異)があり、予後不良群に分類されており、抗がん剤治療だけではすぐに再発する可能性が高いと言われています。なので今回を含めあと2クール程度の抗がん剤治療の後、ドナーさんの良きタイミングにて造血幹細胞移植(いわゆる骨髄移植)を予定しています。

移植しないといけないと聞いた時には深く落ち込みましたが(上記記事ご参照、※あの後RUNX1という、予後不良因子が更に見つかりました…)、前進するしか選択肢がないし、何より骨髄バンクドナー登録をしている人たちの勇敢なる思いやりを考えると感謝するよりほかありません。自身の時間を割いて、痛みやリスクを伴うと知りつつも骨髄を他人にあげるというそのお気持ち、いくらリスペクトしてもし足りません。献血してくれる方々も超リスペクトですが、骨髄バンクに登録してる方々、全員マザーテレサ級!

今回の抗がん剤のひとつ、ノバントロンは青い液体の点滴で、管を流れていく青がきれいでした。いろんな副作用がありますが、抗がん剤は敵ではなく頼もしい戦士なのだと、感謝しつつ体内に取り込んでいます。青と透明の戦士たちよ、どうか私の体内で活躍して治癒に導いてください。



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