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嵐の前の佐渡おけさ

〔解説〕

 よく似たことわざに「嵐の前の静けさ」がある。何か大変なことが起きる前の、それを予感させるような不気味な静けさをいう。

 しかし、この「嵐の前の佐渡おけさ」は、凶事(主として台風)が起きそうだからといって静かにしていると、かえって不安を増大させる。だから、いっそのこと腹を据えて、佐渡おけさでも踊ってどんちゃん騒ぎをするほうがいい、という教え。

〔さらに解説〕

 台風が多い年には佐渡おけさの練習回数が増えるため、仕事をもっている人は負担が大きくなり、それ自体が凶事となる。
 ただし、酒店は売り上げ増となって気分が高揚し、練習前なのに踊りだす傾向がある。

 また、踊りと飲酒によるどんちゃん騒ぎで浮かれてしまい、備えがおろそかになって被害を大きくすることも珍しくない。

 アクシデントの例もある。かなりの暴風が吹いているのに、酒の勢いで踊り続けて暴風にあおられ、たまたま通りかかった救急車に激突。そのままその救急車で病院へ直行という、運がいいのか悪いのか、よくわからない人もいた。しいて言えば不幸中の幸いとでもなろうか。

 ほかにも「嵐の前の阿波踊り」「台風前の盆踊り」「嵐来ぬ間に花笠音頭」など、地域によってさまざまな類語がある。
 海外の例では「ハリケーン来るからフラダンス」がある。

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