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買い物の小ネタを3つ

その1「どうなさいました?」

 昨日、ギフト専門店にお歳暮を買いに行った。小さな店なのでレジ(というか受け付けみたいな感じ)は二つしかない。で、二つとも接客中だった。
 私はだらりと下げた手に商品を持ち、レジから少し離れたところであくのを待っていた。
 するとレジのひとり(仮にA店員)が私に気づき、背後の事務室へ声をかけた。私が待っていたのを気づかい、応援を呼んだのだ。

 すぐに女性スタッフB店員が出てきてくれた。そしてA店員がB店員に「この方」と小声で言って私のほうへと促した。
 B店員は私に「どうなさいました?」と声をかけた。どうなさいましたと言われた私は一瞬「え?」とフリーズした後、「これ、買いたいんですけど」と商品を差し出した。
 するとB店員は「あ」と、声にならない声をあげ、詫びと恥ずかしさと反省と愛想を足して四で割ったような珍しい表情になり、慌てて取りつくろった笑顔で仕事に取りかかった。
 私は別に急いでもいなかったし、愉快な体験をできてよかったと思ったのだった。


その2「いらっしゃいませ!!」

 数日前、ホームセンターで買い物をした。拙作「感嘆符に驚いたり嘆いたり」に登場した、入り口に「いらっしゃいませ!!」と表示した小さなスタンドを置いていた店だ(そのスタンドはしばらくして撤去された)。

 レジのおねえさんが金額を入力している間、私は手持ちぶさたなのでレジスターの会計表示画面に目をやった。そしてちょっと驚いた。会計表示画面に「いらっしゃいませ!!」と表示されている。「おおっ!!」と私は心の中で感嘆符付きの声をあげた。
 おねえさんの入力が終わると、会計金額と入れ替わるかたちで「いらっしゃいませ!!」は消えてしまったが、スタンドが撤去されたと思っていたら、こんなところに潜んでいたんだなと、またもや小さな感嘆符が浮かんだのであった。


その3「1円はだいじょうぶですか?」

 今日、家電の大型量販店へ紙とプリンター用インクを買いに行った。
 私はレジへ行き、金額が出るより先に一万円札をカウンターに置いていた。レジのおねえさんが「1円はだいじょうぶですか?」と私に訊いた。私はすぐに〝ああ、きっとお釣りの小銭のことだな〟と思い、「ええ、だいじょうぶですよ」と答えた。

 やはりそういうことだった。会計金額は3,401円。私が1円硬貨を持っていれば、お釣りの小銭が少しはすっきりするという意味だった。
 レジのおねえさんは私にお釣りを6,599円差し出した。もし私が1円を持っていて10,001円を払っていれば、お釣りは多少スリムになって6,600円だったのだ。

 それにしても、いきなり「1円はだいじょうぶですか?」という表現、あなただいじょうぶですか。せめて「1円をお持ちではありませんか」くらいのことを言ってもらえればわかりやすかったのに。


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