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渡る世間に鬼はない

〔解説〕

 ほんとうは「鬼はない」ではなく、「鬼はいない」が正しい。比喩や形容など、たとえが多いことわざの世界にあって、このことわざは、鬼などというものはいないという現実をストレートに表現していて律義である。

 実際のところ、金棒を持った赤鬼がディズニーランドの駐車場でひなたぼっこをしていたり、虎皮模様のパンツを履いた青鬼が信号待ちをしていたりする光景を見たことがない。
 もしかしたら、人目を避けて深夜の商店街や公園などを歩き回っているかもしれないが、防犯カメラにも映っていないことを考えると、やはり鬼はいないと考えられる。

〔さらに解説〕

 ただし、鬼はいなくても〝鬼のようなやつ〟はいる。極悪非道な悪事をはたらいたり、人道にもとる冷酷非情なおこないをしたりする輩である。
 「鬼より怖い」などと言われることもあるが、鬼にしてみればまったくいい迷惑で、気の毒でもある。あ、そんなこと言っても、鬼はいないんだから迷惑でも気の毒でもないな。

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