命日に

今日は、父の命日だ。
毎年のように遺影を前にして、父の好きだったスーパードライを飲んでいる。
今年はいい報告と悪い報告が両方できた。
昨年と一昨年は悪い報告だけだったので、ずいぶんマシだ。
と言っても、あっちから見てる父には全てお見通しなんだろう。
「幾つになってもしっかりしない奴だ」と怒ってるか、それとも「まあ…しょうがない」と笑っているかのか、それはなんとも言えない。
ただ、この歳になってみると、やはりもう一度会いたいなと思う。父も僕ぐらいの頃に同じような葛藤や悩みを抱えていたのか訊いてみたい(その中の一つは僕だったのかも知れないが)。

実は、父と飲み始める少し前に実家の母から連絡があった。
叔母(父のお姉さんにあたる)が急逝したとの事だった。
コロナ禍で帰省もままならず、叔母とも2年以上会えていなかった。もうだいぶご高齢ではあったが、急の事で驚き、かつ「父と同じ日に旅立ってしまったのか…」という不思議な感慨を覚えた。

そんな事を考えていたら、父の葬儀の後に叔母と少し話した事を思い出した。
叔母は、昨日父が夢に出てきたので「ワシも連れて行ってくれいや」と言ったら笑ってた、と話していた。
僕も、寂しいけどいい話だな、と思い微笑んで聞いていたと思う。

当時もう父は六十代、叔母は七十代を過ぎていたので、どちらも老人の死と僕は思ったのかもしれない。だが、叔母は「弟を先に亡くす」という体験をしたのだった。
その数年後に妹を亡くした僕は、当時叔母と同じ事を思った。「僕も連れて行ってくれ」と。
あの時話してた叔母の伝えたかった悲しみが、今になってなってようやく分かった。

父さん。
やっぱり僕はこの歳になってもしょうがない奴だったよ。

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