不登校の息子〜学校へ〜

朝、教頭先生から、
「教材をお宅にお持ちします」
と、電話を頂いた。
雨が降っていたし、来て頂くのが申し訳なく思ったので、今から校門付近まで取りに伺うと返事をして電話を切った。 

工作の教材がもらえるのを待ちわびていた息子は、喜んで車に乗り学校にむかった。
門付近にまだ教頭先生の姿が見えなかったので、車を停めて門の前に行くと、守衛さんが門を開けてくれたので、思わず中に入ってしまった。
私は何も考えずにズンズンと職員玄関に向かっていったのだけど、後ろからの息子の声で足が止まった。

「もう無理…」

あっ!
そこで、やっと気が付いた私。
そういえば、息子は数カ月振りに門から先に入ったのだった。 
それだけでも、無理しただろうに、私は何も考えずに職員室に行こうとしていた。
ここ数カ月の間で、私はちょこちょこ学校にきているので、慣れた感じで入って来てしまったのだ。
 
息子には、その場で待っていてもらって、私だけ職員室に向うと、教頭先生が、
「モニターで見えたら向かおうと準備していたのに、見えてなかった」
と、驚いていた。
そして、急ぎ足で息子の待つ場所にむかうと、
入って来れた事と、顔を見れたことに喜んで、それを息子に伝えて下さった。
息子は、チックで肩をピクピクさせながら、恥ずかしそうにしていた。
でも、嬉しかったと思う。

教頭先生に見送っていただきながら、
「ママがどんどん行っちゃうからビックリしたよ」と、言うので

「気が付かなくてごめんね、、でもよく入ってこられたじゃない、頑張ったね」と言うと、

「おじさんが急に来たからびっくりしたのと、開けてくれたから、悪いなぁと思って」
と話していた。

息子らしいなあ。

保健室登校や別室登校を提案される度に、私は、そんな事をして何の意味があるのかと思っていた。
先ずは門まで来てみよう→次は保健室に登校してみよう→図書館で過ごしてみよう→教室へいってみよう

新入生なら理解できるけど、3年通って行かれなくなった子が、そんな順序を追って慣らしながら学校に行かなければならない意味が理解できなかった。

息子なりの時期が来れば、行く時はすんなり行かれるし、時期が来なければ、行く事はないだろうなぁ。と漠然と考えていたのだけど、この日、こんな思わぬ形で学校に入る事になって、自分の考えに確信が持てた。
心が無理なのだ。
それは、息子本人もこの日判ったことだと思うけど。

"行きたい気持ちがあってこその慣らし"

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