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中1 ボーリングが大人気

私が中学一年生のころ、ボーリングが大流行していた。

テレビでもよく放映していたし、家の近くの広い空き地に36レーンのボーリング場ができた。

私も一度やってみたかった。小中学生はシューズのレンタルが無料だったがいつも混んでいて、何時間も待つか早朝割引で朝早く行かないとできなかった。あまりの人気に連日長蛇の列が続くので、ボーリング場が増築することになった。幸いそのあたり
は平地で土地に十分余裕があったので、一気に倍の72レーンになった。駐車場もきれいに整備されたことで、遠いところからも人が来るようになった。

ボーリング場は家から歩いて3分ほどの場所なので、割引のきく平日に姉と二人で行った。いつ行っても順番を待たない日はなかった。そして、人気に拍車がかかりボーリング場がさらに増築することになって何と100レーンになった。ブームというのはすごい勢いである。


母の勤める建設会社でボーリング大会を開くことになった。男女のペアでの対戦だったが、母はやったことがないので気が乗らず、家族でもいいと言われて代わりに中学生の私が出ることになった。上位の入賞者にはトロフィーと記念品が貰えるとあって、みんな張り切っていた。

大会に向けて何日か練習をして本番に臨んだ。

私のペアになるおじさん(母の同僚)はマイボールを持っていた。よし、私がおじさんの足を引っ張らないように頑張ろうと思った。
レーンにピンが残っても、おじさんが見事にスペアを取ってくれた。

そして、なんと、私とおじさんのペアが優勝した。おじさんがトロフィーをもらって、私は掛け時計をもらった。まさか優勝するなんて思ってもいなかったからすごくうれしかった。おじさんのおかげなのだが。

ニコニコ顔で家に帰り母に掛け時計を渡した。
あれ?母は見にも来ていなかったのだ。そうだ、確かに。

その時計は誰もいない実家で今もチクタクなっているが、私がボーリング大会で優勝してもらったことなど誰も覚えていないだろう。

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