小説:隣人からの卒業

自作の短編小説。よければ楽しんでみてください。

今日はようやく来た、中学校の卒業式。
卒業証書の授与も終わり、教室で教師を待っているところ。

普段騒がしい教室も、雑談はするが比較的静かだ。
仲のいい女子同士は黒板に絵を描いたり、涙を流したりしている。

俺は、そういう思いは無いが、この先の生活への興味は強かった。
ようやく親からも、コイツラからも、離れて暮らせるからだ。
仕事は、まだ見つかってないから、問題はそこ。

「同窓会開こうね」
「また会おうね」
「手紙書くね」
「また遊ぼうね」
「おとなになったら飲み会したいね」

と言ってる人たちが居る。
本当だったら、俺もその中のひとりだったろう。
今の俺は、絶対にコイツラに二度と関わりたくない。

教師からのホームルームの説明も終わった。
家に帰ったら引っ越しの準備を始めようか。
新しく住む場所は、隣の県の比較的都会なところ。
引っ越すことは親と教師しか知らない。
高校受験して合格したのもあるので、言うしかなかったとも言える。
教師が他の生徒に言うことはあるかもしれないので、
住所に関しては親しか知らない。

早く、おとなになって、一人になりたい。
一人になったあとはまだ考えてない。

高校入ってからは、知り合いも居ない状態からのスタート。
前の付き合いからは卒業する。でも、これでいいんだ。俺が選んだんだから。

帰りの電車に乗りながら、次の『世界』にワクワクした。

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