小説:Pain of Elusion ~Where are you?~

新しい小説を書き始めました。完結したら、こちらにも載せる予定です。
途中経過が見たい方は、Pixivにあります。
どんな小説になる予定なのか、ちょっとだけ載せておきます。
短いですが、楽しんでいただけたら幸いです。

『翔太《しょうた》、おはよう。』
『花楽《かぐら》、今日は何する?』

スマホに表示されるメッセージを見ながら、ベッドに横になる。

『今日はって、いつものスマホゲーするんじゃないの?』
『いや、ちょっと違うんだよな~。』

ニヤッとしたイヌのスタンプが送られてくる。

『今日はコレな。前に、花楽にクローズドベータ登録して貰ったろ。』

メッセージと一緒に翔太から動画のURLが送られてくる。
あぁ、そういえば前に家にパソコンあるか聞かれて、登録したな。

『何だっけ、ペインなんとか。』
『Pain of Elusion《ペイン・オブ・エルージョン》。
 VRなんだけど、そっちにもスーツとゴーグル届いた?』
『来てる、来てる。何か説明書読んだら、
 色々と恥ずかしい事書いてあるんだけど、大丈夫なの?これ。』
『実際の感覚に近くするために、ってやつ?』
『そう。』

そうなのだ。このVRゲームは、顔だけ出せる、
全身を包む黒いスーツを着た上でゴーグルを装着して遊ぶゲームらしい。
しかも、実際の感覚に極限まで連動させる場合は、全裸でコレを着ないといけない。

『最初は別に気にしなくていいんじゃね?慣れたら全裸の方がイイと思うけど。』
『俺は全裸は無理かも……。』

部屋のカーテンを閉めて、ドアにも ”入るな!” と書いた。
今日と明日は学校も休みだし、親にも朝まで入るなって言った。

『翔太、これ食事とかトイレんときどうするの?』
『あー大丈夫。ゴーグル外せば自動的にログアウトするし、
 そのスーツにもチャックあるよ。アッチだったら、脱がないとだけど。
 じゃ、先にインしてるから。』

仕方がないので、俺も下着姿の上にスーツを着て、ゴーグルをつける。
翔太の話だと、ベッドで横になった状態の方がいいって言ってた。寝そう。

ゴーグルに文字が表示される。

『Pain of Elusion クローズドβの世界へようこそ。起動しますか?』

Yesだ。すると、ゴーグルの視界から天井が消えていく。体の感覚も変わっていく。

『起動シーケンス開始します。スーツより生体情報をモニター・形成し、
 それにより体型を設定します。こちらは正式サービス時には変更可能になる予定です。
 引き続き起動シーケンスを続行します……。』

暫くすると、少し風を感じたような気がした。

『あなたの名前を決めてください。これはゲーム中で使われる名前であり、
 本名・地名・個人情報を含まないものにすることを推奨します。』
「じゃ、俺の名前は、ロディにする。」
『”ロディ”ですね、登録しました。』

名前を言った途端、風が強くなり浮遊感が増した。

『ようこそ、Pain of Elusion の世界へ。
 何かご不明点があれば、冒険者協会へお越しください。では。』

ブツッと声が聞こえなくなったかと思ったら、周囲一面が青くなる。
というか、落下している。どうやら、空に放り出されたみたいだ。
風は気持ちいい。それどころではないけど。

「あ、きたきた。あれかな?」

空を見上げて落下予測地点へ走り出す青年。

「いきなりコレは無いんじゃないかー!?」

叫びながら、空を落下していく俺。

『じゃ、頑張ってくださいね。』

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