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どうにかして同人誌を作った時の備忘録の話


Twitter……エックス……のフォロワーから「同人誌の作り方需要ある」って言われたので、筆者がどうにかして年に二冊くらい出して最終的に五冊出した時の覚書を残しておこうと思う。思います。
フォロワー!本を出しな!

というわけで、ブロガーが備忘録を残すときにやる目次など置いておきます。



1.出るイベントを決める

コロナ禍を経て、リアルイベントのほかにオンラインイベントが充実するようになり、地方イベントがない地域でも気軽にイベントに参加できるようになった。いい時代になったものだと思う(コロナはまったくよくないが)。
まず、同人誌を作りたい、という衝動が押さえ切れなくなった場合、出られそうなイベントを探すのがよいです。
自ジャンル、自CPのオンリーなどがあればうってつけ。
出るがよい。
この時点で参加申込ができていると退路を断てるため、そのようにするのがおすすめ。


2.印刷所を選ぶ

さて、サークル参加するイベントが決まれば印刷所の選定をする必要があります。
ここで肝心になるのは
・予算
・刷る部数
・入稿形式
・装丁などの体裁
・イベント会場への搬入サービス等の有無
などでした(私の場合)。

筆者は基本的に小説本(たまに挿絵)、マイナージャンルかつオンリーワンCPで、なおかつリアイベで活動していたため、「PDF入稿可・小部数/オンデマンド印刷可・表紙フルカラー・イベント会場への搬入」が可能な印刷所を選ぶようにしていました。オンラインイベントの場合は自宅納品になるのでその限りではないと思います。ただ送料などの徴収があるはずなのでご注意ください。

また、熱心に同人活動をしていた折の筆者の手取りが月8万円とまあまあ地獄のような金額だったため、たとえば箔押しなどといった見た目にこだわるようなオプションをつけることは不可能でした。
基本的に筆者の場合は
・オンデマンド印刷
・本文スミ
・表紙フルカラー(PP加工等なし)
で制作しています。(ちなみに毎回お願いしていた印刷所はこちらでした。)


3.見積もりを取る

この辺は印刷所によるのでよく確認した方がいいです。
基本的にどこの印刷所も同人誌の印刷をやってるところはわかりやすくマニュアルをまとめてくれているので、根気よく参照するなどしてください。
大体は頁数と冊数で概算してくれるところがほとんどなので、目星をつけておくとよいです。ちなみに本の頁数は4の倍数でできていますのでご参考までに(”同人誌 台割 ページ数”とかでググると幸せになれると思います)。

小説本だとネームが切れない分見通しが立てにくいですが、筆者の場合はおおよそプロットを立てた上で「ここまでなら書けそう+4頁」くらいで見積もりを取り、予約や依頼をする際に「小説本なので増減の可能性があります。」という旨を連絡していました(1回だけプロットなしで予約したことがありますが、結構慣れてからの話だったので真似しないでください。初めての方はだいたいアタリをつけるか、原稿に着手してからのほうがよいです)。
なお、多めに頁数を確保することで、余ったら余ったなりに扉絵や後書きを挿入することができるので、多い方が精神衛生上いいと思います。

小説本の場合、A5上下二段組やフォントサイズ、あとがきのボリュームなどである程度頁数はコントロールできるので、なんかそんな感じでフンワリ合わせるのがいいかなと5年くらいやってて思いました。
なお、私がお願いしている印刷所は見積もり後に予約を取るシステムだったので、この時点で予約をし、退路を断つようにしていました。

4.ひたすら原稿をやる

戦え。
ダメだと思っても1日1文字、1本でも線を引けば必ず終わります。
1円を笑う者は1円に泣く。チリも積もれば山となる。
やれば絶対に終わります。頑張ってください。
原稿の様式については各印刷所にテンプレートがあるため、それを活用するのが良いかと思われます。
また、必ずノンブル(頁数の番号)と奥付は入れるようにしてください。
奥付は印刷者及び作者の連絡先を示す重要な要素になります。必ず盛り込んでください。

ついでに、筆者のようにPDF+挿絵データで入稿する際は
「表紙」+「本文データ」+「挿絵データ」+「続きの本文データ」というような形でファイルを作成していました。
ファイル名は頁数にするため、「表紙CMYK.psd」「3.psd」「4.pdf」「5.psd」「6-83.pdf」「84.psd」「85.pdf」「86_奥付.psd」というように保存し、zipにしていました(入稿データを解凍して確認しました)。
psdファイルが表紙裏表紙、扉絵や挿絵などクリスタを使用して作成したもの、pdfファイルが小説本としての本文となります。

ちなみに、裏表紙なくね? と思う方がおられると思いますが、表紙はA5原寸本と仮定した場合にA4横判で裏表紙データも併せて入稿しています。
背幅の計算は気合いでやりました。印刷所のテンプレはミリ単位で目盛りつきのものもあるので紙の厚さ込みで実測&手計算で……
筆者が算数できなさすぎるのが悪いので、もっと効率のいいやり方があると思います。教えてください。

ここも印刷所によっては様式が異なるため、入稿についての案内をよく確認したうえで作業を行なってください。
場合によっては担当者の方に問い合わせするのがよいと思います。
大抵の場合大変優しくしていただけます。がんばってください。

5.入稿する

使用しているシステム等印刷所によって異なるはずなので、よく確認の上入稿しましょう。
私が入稿した際は、印刷所より提示されたシステムを使用し入稿していました。

なお、入稿後に不備と思われる箇所について電話やメールで連絡がくる場合があるので、できる限りすぐ確認ができるように体制を整えつつ、平日の一般的な営業時間内に応答できるように頑張りましょう(特に社会人はここが一番のハードルかも)。
また、特殊な演出(わざと文字化けやモアレが出るようにしている箇所、特異なルビを使用している箇所)を採用している本については十中八九確認の連絡が来ます。私みたいに妙な本を作りたいと思っている人はそのつもりでいたほうがいいと思います。

6.納品される

リアイベかつイベント会場搬入の場合は自スペの机の下、自宅であれば自宅に宅配便で届きます。速やかに開封し確認するようにしましょう。
また、印刷所によっては印刷等の不備に対応するための予備部をつけてくださる場合もあります。活用しましょう。
ここまで来ればイベントで頒布するのみです!!お疲れ様でした。
なおリアイベの場合は会場からの搬出作業もあるため、最終的に余った在庫をどのようにして持ち帰るか、何時ぐらいにスペースを撤収するかなどの計画も必要となるため要注意です。

ぶっちゃけ最初くらいはグダグダでもなんとかなりますが、せめて閉会と撤収時刻、運送業者の最終受付時刻くらいは確認しておくようにしましょう。
梱包及び封緘用のクラフトテープは持ち歩いておくとよいです。筆者の場合はテープも荷物になるため、撤収時は必要な長さを先に切り取り、ダンボールにテープを包んだ敷き布(テープの糊が本に付着するおそれがあるため)を突っ込み、搬出受付に持って行っていました。
なお、紙はかなり重たいので相当な力仕事になります。筆者は力仕事慣れしているのでよかったんですが、非力な自覚がある方は台車など用意いただくのがよいです。うっかり怪我したら大変なので……。

なお、段ボールにテープで封をする際には、ダンボールの蓋部分の隙間になる部分をテープで貼った上で、天井を十字になるように留めると安心です。
くれぐれも古紙回収に出す時などのようにたがい違いに組んで留めないこと。十中八九抜けるしそもそも断られます。
小売業にいた人なら直感的にわかるかと思いますが、同人誌とてあらゆる局面で「お客様にお渡しする品物」です。特に撤収の時に荷受けする運送業の方は荷物を破損汚損等なく運搬する必要があるため、その意識は強いです。お客様から受けた荷物は、瑕疵なくお客様にお渡しするものなので、こちらもそのお手伝いをするつもりで丁寧に梱包・封緘してお願いしましょう。
しかしながらどうしてもアクシデントは発生するため、荷崩れ・揺れなど想像できうる限りのリスクを想定して梱包しましょう。

7.在庫どうする問題(オンイベ頒布もここ)

一般的には通販(通頒)になるかと思います。
筆者の場合は、余剰分の在庫については自宅に発送し保管のうえ自家通販をしていました。
BOOTHなどなんかいい感じのサービスを利用するのが現在だと一般的かと思います。まあ筆者みたいな奴は注文書書いて定額小為替と一緒に作家さんに直接送るとか昔やってたんですが……

なお、自家通販を行う場合、発送時の梱包材が必要になります。
筆者の場合は「本+イベント参加時のペーパー+余剰分があれば無配+OPP袋+内容物を記載した紙+クッション封筒」で送付していました。正直折れたり傷がつかなければいいと思います。
部数によってはメルカリとかで使うネコポス用の箱を使う場合もあります。

最終的には、使用するサービスなどに応じて自分が発送する上で一番楽な方法を考えるのがよいと思います。

また、外装の封緘の際にマスキングテープを使用するのはNGです。
最近mtから梱包用の強粘着マステなども発売されているため、どうしても封緘に使うテープをおしゃれにしたい方はそちらを使ってください。
ちなみに筆者も使っていますが、貼り直しNGな勢いでめっちゃくっつくので安心です。テープの上からテープを貼ると剥がれてしまうあたり、クラフトテープと使用感は近いです。

8.おわりに

というわけで、筆者がえっちらおっちら同人誌を作っていた時の手順のメモが以上となります。
なんかフォロワーが同人誌作りたいけど専門的なことやんないといけないのか、とか、知識がないから、とか言ってるのを見て、

知識ねえけどパッションだけでやったったぞ!!!!

という前例があってもいいのではないかな、と思って書いた次第です。
同人誌、一部では黒歴史とか言われていますが、自分が注いだ愛を形にして残しておけるという意味では非常によい記念になるかと思います。

売れたとか売れなかったとかで浮いたり沈んだりあるかと思いますが、同人誌を頒布するということ自体がかなり大人の遊びであるということを併せ飲んだ上で、楽しみましょう

あなたの世界で一つの作品がここにあり、それを仲間と分かち合うチャンスがあるのだから、それがきっと良い思い出になればよいと祈っています。

どうか愛し愛される作品が生まれますように。

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