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一事務担当がDX推進にチャレンジしてみた(エピソード1)

2021年下期。
今期はどんな目標を立てよう。
人事給与担当で「自分の業務効率化」も正直マンネリ。
これ以上ないセクシーな給与業務プロセスは作った自信がある。
一体私は将来どんな人材になりたいのか。漫然とそんな不安があった。

リーダーになりたい。変革を起こせる人になりたい。

そういう仕事がしてみたいという衝動が心の奥底にあり、やらないで後悔するくらいならやってみるか、くらいの気持ちで挑戦してみることにした。

テーマは「事務職のDX推進」

2021年6月くらいから数々の人と接し、他部署を巻き込み挑戦をしてみた略歴をブログを書いたのでお付き合いいただきたい。

DXとは

DX云々の話になると途方もない議論になる。
考察ですごく参考になる記事、ブログがあるので紹介させていただきたい。

いわゆるバズワードと解釈しているが、目的は「仕事にIT活用をダイナミックに取り入れて、仕組みを変えること」と私は定義する。
私は給与計算を黙々とやる人に過ぎない。
(目立ちたがりで色々タスクフォースなども兼任しているが・・・)
そんな私ができる「DX推進」は「事務職のリスキリング」と考えた。

リスキリングとは

経済通産省の審議会で発表された資料では、リスキリング(reskilling)は以下のように定義されている。

「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」

私の強みは"「事務職」という役割・職歴に対して、ITに対するリテラシー・活用ができること"

まだ10年に満たない社会人人生だが、ITを使いこなせる人と、全く使いこなせない人では生産性が比較にならないことは言うまでのないことである。
仕事の内容次第では一人の知識が百人以上の作業を削減することも出来たりしてしまう例もある。

私自身、先人たちの偉大な知恵にとても助けられてきた。
自動化という価値を教えてくれたExcel VBAからスタートし、RPA、GAS(Google App Script)、Python…どれも入門書の域だが、内容を理解する基礎と、インターネットという膨大な知識の宝庫の掛け合わせによって、多くの業務を楽に、そして自分の可能性を高め、社会人として評価される機会を多く与えてもらった。

その成功体験を共有したい。
切磋琢磨する仲間が欲しい。

そのような気持ちが強くある。
一方で入社してまだ数年に満たない今の所属企業の事務部門の状態はあまりいいとは言えない。

止まらない人の流出、蓄積されないノウハウ、長時間労働、将来のキャリアが見えない社員・・・

問題は山積みだ。

そして最大の問題はこの状態に改善のメスを誰も入れようとしないことだ。

そのような状況下で私ができることは「仕組みの提供」同時に「ナレッジのシェア」だ。
「仕組みの提供」は自分の業務効率化の延長線上に過ぎないものであり、その作業の詳細が担当者から見えなくなるという大きなデメリットがある。
しかしITへの親和性が少しでも高まれば、自分でもデバックもしくは仕組みを作る仲間が増えるのではないだろうか

時代はすごく進化している。
MicrosoftはPower Automate for Desktopという高度なRPAツールを無償で配信し、デフォルトでExcelに付帯するPower Queryもデータ加工がワンクリックで終わるという凄まじい技術である。

同時に入り易い。
英語の文字列がただひたすら並び、初見では全く理解できない画面、エラーがでるにも内容が正直わからない。そんな仕様ではない。

協力者を得て、ターゲットの「リスキリング」を実現する。それが私の今回の挑戦になった。

好機

私が所属する企業では月一で全社会議がある。グループ長から機会をいただき、RPAをテーマにしたプレゼンをする機会があった。
絶好の好機、と考え、パワポは練りに練った。

とにかくウケる、刺さる、共感する

やりたい!を刺激することをテーマにRPAを用いてどんな業務効率化が実現できるか再現したデモ動画や、PythonやGASを用いた業務改善・仕組みづくりにまで言及し、考え方の提案を全社に投げかけた

結果はかなりの好反応!
ビデオ会議ツールのチャットも盛り上がり、いい追い風を吹かせる機会になった。
そのような中最も好反応をくださった部門が「営業支援課」だ。

「営業支援課」は営業担当が「営業活動」に注力できるように、サポートを担う課になる。
課長にプレゼンの内容を踏まえて、

・その部門で実現できると思われること
・自分が挑戦してみたいと思っていること

以上をお伝えし、好意的な反応をいただいた。
協力者を得たのである。
それから話はとんとん拍子で進み、「DX推進」に向けた取り組みをスタートするに至った。

ゴール

変革を起こすとき、人の反応はそれぞれだ。
予想はしていたが正直ここで戸惑った部分は大きい。

支援課長のアクションはとてもスピーディだった。
すぐさま「自動化推進に向けたキックオフ」を実施。課内でも自動化推進メンバーを立ち上げるまでに至った。
「トップダウンで物事を推進するリーダー」と感じ、私なりに自動化で実現できることのアピール、そしてやっていきたい熱意をキックオフでお伝えした。

この数回の出来事で事態は大きく変わる

進め方が急すぎた。
この段階ははっきり言って動き出してもいない。
これからやっていきたいという「所信表明」だ
しかし急な進め方が結果的に物事を進める最大の壁となり、そして私の反省点と感じるポイントになった。

この取り組みによく思わないメンバーもいた。
そしてそのメンバーから発信されるエスカレーションが、役員や私の上司など複数の人に行き渡り、取り組みに「待った」がかかった。

ゴールの認識が完全にズレていた。私の達成したい「リスキリング」に対し、

・求める水準が高すぎること
・求める水準などまずないこと、私が全て完璧な仕組みを作り、マニュアルを整備し、懸念事項を払拭すること(⇐まず無理)
・人間関係の不和を起こす要因は一切避けたいこと

この点が上位層で完全に異なった。

なおゴールについては着地点を模索する議論が複数回繰り返される。
変革を実施する上での「壁」そして「調整」の難しさを強く感じた

アクション

ゴールが不鮮明なまま取り組みは続く。
直属の上司がいい相談役であったこともあり、
カオスな状況でも実際にできることの認識が私の中で固まった。

それは

ITを用いて今何ができるのか知ること。
成功体験に触れること。

である。

幸いなことに取り組みに前向きなメンバーもいて、「業務で困っていること」のヒアリングは実施することができた。
この「ヒアリング」には大きな意味がある。「ITを用いて今何ができるのか知る」この認識を共有できた

・Excelの作業が・・・
・基幹システムの操作が・・・
・データの整理が・・・

こういった内容に対して、どう解決することができるのか、自分なりの提案と、実際にプログラムが何をしているのかを伝え、仕組みづくりに着手した。

極論、仕組みづくりは私が担い、構造をお伝えする

理解度向上という意味では成功かもしれない、でもこのままでは当初目的からほど遠い・・・そういったモヤモヤが付きまとうことになる。

ゴールの着地

月日が経つことにつれ、ゴールは自ずと決まった。
「何が自動化できるのか知ること」
端的に言えばこういった内容である。

自分の理想としていた「リスキリング」には至らなかった。

正直怒りもある。いろいろな見地でマネジメントをする上での懸念事項は払拭しておきたいという想いもわかる。
でも何故メンバーを信じられないのか、どういう組織にしたいのか、正面切って問いただしたい気持ちもあった

一体俺なにやってんだろうな・・・

自分のキャリアも不安に感じた。

取り組みの光明

仕組みづくりは私のスキル次第でどうにでもなる。
インターネットには賢人の知恵が詰まっており、幸いなことに相談内容に対する自動化は基本的に簡単な操作で実現できた。
メンバーの声は一番のフィードバックだ。ツール・仕組みをお披露目すると喜びの声をいただける。とても嬉しかった。

特にデータ加工についてはツールの紹介の中で「Power Query」の仕組みをじっくりと伝えた。
条件が決まったデータ加工であれば、ワンクリックででき、最も理解しやすいと睨むテクニックだからである。

実際に「Power Query」を身近に感じ、ステップを見ながら各工程でどのような変化が起きているのか、検証しているシーンも見られた。

全く成果がなかったなんてことはない、人は成功体験や興味があれば自分のペースで進めるんだ、

そう感じた。

また取り組みの中で「支援課」のメンバーと人間関係が構築できたことも大きい。業務の相談事や雑談などできる仲になった。

自分も「支援課」に対する業務への理解が深まり、所属する組織の中で貢献できる幅は増えたと思う。

そう。今期やったことは種蒔。「自動化」という取り組みの"ブランディング"なのだ。決してやったことは無駄じゃない。

そう信じたい。

そして今・・・

「支援課」に導入したツールが数多くあるほか、「支援課」の中でもPower Automate for Desktopにチャレンジする人も出てきた。
大尊敬するあーちゃん@昭和企業(@aachan5550)の著書「できるPower Automate Desktop ノーコードで実現するはじめてのRPA」が無料で一部公開されたことから、即座に全社に共有。こういったことに興味を持つ人が増えてきたと思う。

また取り組みの噂が広まり「営業」や「製品開発」の方からも自社製品と絡めた提案をしたいという相談をいただくようになった。

挑戦できる領域が広いことは本当に幸せなことだ。真摯に自分の出せる価値は提供したいと思う。

課題もある。
恥ずかしい話だが実力不足でツールのバグもよく出る。
ご迷惑をおかけして大変申し訳ないと思っているが、自分の学習にプラスになっていることを前向きに捉えたいと思う。

実質的にはほぼ保守だが、その分自分がレベルアップして、全ての業務を瞬時に終わらせる神を目指す、そのくらいの気持ちで臨もう(笑)

「DX推進」もまだプロローグだ。

Twitterをはじめ、世界にはこうした取り組みに賛同してくださる人も多くいる。私もその一人になりたい。いい社会を作る担い手になりたい。

まだ時間はたっぷりある。
組織改革についてはこの本を参考に、今後のアクションを考えたい。

柄にもなく、え?これ誰のブログ?といった内容ですが最後までお付き合いいただきありがとうございました。いつか実名で仕事やブログを書けるようになりたいと思います。

こうした効率化、自分はこうやったよ、とはこの人の話聞いてみたら?という案があれば是非教えてください。

お読みいただき、本当にありがとうございました。

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