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私が「1シーンチャレンジ」をはじめたワケ③

現在、1シーンチャレンジ参加者募集中です!

また、シーズン2もチャレンジ続行中です。

ぜひご覧いただければと思っております。

さて、前回、前々回の記事では、俳優の方が1シーンチャレンジに参加するメリットという側面から記事を書いてみました。

今回は作家の方、俳優を起用する方にとってのメリット、という側面から書いていこうと思っています。

少し遡っていくと、自分は10年前、映画学校に通い始めました。そこでは座学よりは、とにかく実践。とにかく動画作品を作っていました。僕は学校に入るまで全く映像作品なんて作ったことがなかったので、必死に試行錯誤しながら作品を作っていました。

映像作品を作る上で様々な作業がありますが、その中でもかなり作品に影響するけど、かなり難しい作業があります。それは出演者選びです。

正確には「選ぶ」というか、「探す」に近い作業ですね。

映像作品を作るために、まずは脚本を書きます。その頃の僕らは初心者ですから、思いついたものしか書けません。そうやって必死に脚本を書くと、今度は自分が登場させた役を演じてくれる人を探さなくてはいけない。

当然お金なんてないですから、なんとかひねり出して俳優の交通費と撮影時にかかる食事代くらいを謝礼としてお渡しする。そういう条件で俳優を探すわけですね。ネットとか、知り合いの紹介とか使って、運がよければ何人か候補的な人が見つかるわけです。そうすると次なる問題が浮かぶわけです。

何を基準に選ぶのか。

こちらもかなり低い条件ですから、やっぱり出てくれる俳優さんも、まだ始めたばかりの方が多いわけです。そうすると作品に出たことがない方がなかなかに多い。実際に作品に出演したらどんな感じになるのか、想像がつかないわけです。それでもなんとか選ぶしかないので、オーディションをします。しかし、オーディションでわかることってものすごく少ない。少なくともその頃の僕らは本当になんとなくでしか選ぶことができなかったんです。

これは今も、そんなに状況が変わることはないです。

さあ、作品を作ろうとしても、俳優を探すための材料が少ない。俳優さんによってはいろんな写真をカメラマンの方にいい感じに撮ってもらって、それを資料として提出されていますが、もちろんそれはそれでいいとして、でもそれらの写真と、実際あった時と、映像に映った時と、それぞれ印象が違うことはとてもよくあります。

作品を作るからには、作家もなるべく失敗したくないですから、俳優選びも安全策が取られることが多いです。

つまり、なるべく自分が知ってる俳優を使う。ということです。

その結果、ドラマや映画では、とにかくよく見る俳優が出続けているということになっています。もちろんそれには色んな事情も含まれていると思いますが、少なくとも、作家にとって知ってる俳優に出演してもらえるのは、リスクが減ることに繋がります。

驚くことに今では、商業作品だけでなく自主制作作品も、自主制作によく出ている俳優という人たちが現れ始めています。

無論、よく出演している人たちの実力は安定していると思います。モチベーションだって高い人が多いはず。

じゃあ、そういった限られた、よく出演している人たちだけが出演していれば、いい作品になるのか?

ある有名な劇作家の方がおしゃられていた言葉の中で、「観客の予想を裏切り、期待に応えよ」というものがあります。これは、観客が「こうなるのかなあ」と思い描いたことを裏切りつつ、結果として観客が「こういう感動が欲しい」という期待に応えにいく。それがいいエンターテインメントなんじゃないか。という言葉なんですね。僕はこれはすごく共感できるなと思っています。

出演機会の多い俳優が出演されていると、当然その俳優の実力、個性をわかる材料が多いですから、演出する人間からすると計算できるんです。「こういうことをやってくれと仕事を振ったら、これくらいの感じで返してくれるだろう」みたいに。これは逆を返せば、観客もそういった予想を可能にさせている可能性があります。つまり、前述の言葉を使えば「予想を裏切る」ことができないんですね。

ところがここに、観客が見たことがない出演者が現れる。するとそれだけで見ている方は注目しますよね。この人誰だろう?と。そして、その方がもし素晴らしい演技を見せたとすると、これは「予想を裏切り、期待に応える」に繋がってくると思うんです。

僕は、俳優はそれぞれ個性を持っていて、それぞれの強み、弱みを持っていると思います。俳優は様々な役を演じることができる。「カメレオン俳優」なんて言葉もあります。でも僕はそういったことをあまり信じていません。俳優はその人が演じるとどうしても出てしまう個性を、皆持っていると思います。それを活かしたキャスティングをすることが、作品を作る上でとても大事だと思います。

しかし、俳優の個性や特性は、本気の演技を見せてもらえないとなかなか見ることができないと思っています。オーディションで行われるような即興的な演技の実力も大事だとは思いますが、ちゃんと準備をして、ある程度のシークエンスを演じた上で、ようやく見えるものもあるんじゃないかと思っています。

1シーンチャレンジでは、まさにこれをやっていこうと思います。

この俳優はどんな人なのか、どこからやって来て、今どんな気持ちで演技と向き合っているのか。そして、これからどこへ向かいたいと思っているのか。そういった人間性を見せ、その上で本読みやリハーサル風景を見せることで、その俳優の演技の引き出しや向き合い方を見せ、そして結果として、作品を見せていく。

これが、俳優にとっての本当のPRになるんじゃないかと思っています。

僕としては、1シーンチャレンジに参加した俳優が、1シーンチャレンジを見た作家からオファーを受けて、思い描いた形でステップを上げていく。そういった風景を実現したいと思っています。

ぜひ、自分のPRを本気でしたいと思っている俳優の方にチャレンジしていただきたいと思っています。ご応募お待ちしております!

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

次回は実際、企画を起こし、進行していく中で感じたことを中心に書いていこうと思います。

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