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8 桜桃忌夜明けとともに新たな雨

  句集「むずかしい平凡」自解その8。

 「桜桃忌」とは太宰治の亡くなった日。6月13日。

 最後の作品が「桜桃」という小品だったこともあって、桜桃忌ということになったし、また時期的にもさくらんぼ(桜桃)が出回ることもあります。

 太宰治は私も好きな作家。偉ぶらない、率直な人物だったんじゃないかなと感じます。

 まあ、家族にはいろいろつらい思いもさせたんだろうけれど。

 それでも、どこか憎めない人だったんじゃないかなあ。

 っそれに文章を読むとわかるけれど、文章からはっきり声が聞こえてくるような気がします。読む人にしっかり語り掛けてくる声。

 稀有の才能の人だったなあ、と。

 夜になってやっとやんだと思った雨。けれども、朝になるとまた降ってきた。いつになったらやんでくれるんだろう。

 太宰治も、生きていく苦しみをそんな風に感じながら、最後は自死に至ったのかもしれないと勝手に想像しつつ。

 とはいえ「新たな雨」としたところに多少の希望も添えているつもり。

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