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57 春山でおにぎり先生のおなら

 句集「むずかしい平凡」自解その57。

 遠足風景。

 春の山にみんなで登って、おーい、ここがいい景色だから、ここで昼飯にしよう、なんて先生がけっこう張り切りっている。

 みんなも、いいねえ、いい景色だ、などとちょっとしたいい気分。

 さて、おべんとうを取り出して、おにぎりをぱくり。

 すると、どこかからおならの音。あれ、このおならはあんなに張り切っていた先生のおなら。張り切っていた緊張がほぐれたのかな。

 その場は、どうなったでしょうね。爆笑。哄笑。冷笑。苦笑。微笑。

 それはどうかみなさんの想像にまかせることに。

 おならなんかを俳句にしていいのか!と怒り出す人がいるかもしれないので、ほかにこんな句があるので弁解しておきます。

 十ばかり屁を棄てに出る夜永哉

 馬の屁に目覚(め)て見れば飛(ぶ)ほたる

 いずれの句も小林一茶。生活感があっていいですね。二つ目などは、聖と俗との対比の鮮やかさ。生き物感覚がものすごく活きている。

 春山で聞いたおならの音。先生だって、生き物ですからね。許してあげてください。

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