4 更衣雲にも木漏れ日にも呼吸
句集「むずかしい平凡」自解その4。
あるとき、若葉の木陰で、木漏れ日を見ていたんですが、なんか風に揺れている光と影の様子が、ゆったりとしていて、まるで呼吸をしているようだったんですね。そしてふっと遠くを見ると雲が流れている。その様子も、やっぱり呼吸をしているよう。とても気持ちよかった。折から、ころもがえの季節。「更衣」はころもがえ、と読みます。
なんていうこともない日常の一瞬ですが、そこに命を感じることができるとうれしいものです。雲も木漏れ日も人間も呼吸している。
今日も生きているっていう感覚。
生きているという実感って、こういう生き物との交感なんじゃないかな。
コロナの不安の絶えない毎日ですが、こういう小さな一瞬も大事にしたいものですね。