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【岐阜】名画座と成人映画館へ行ってきた話

 今年のGWは旅行で岐阜に立ち寄りましたが、普段行かないタイプの映画館が2つあったので行ってきました。その感想やそれを通して考えたことを書いていきます。

◆映画館情報

・ロイヤル劇場(名画座)

 ロイヤル劇場は柳ケ瀬商店街にある映画館、1本600円で昭和時代の映画を見ることが可能です。

写真① ロイヤル劇場が入居しているビル

 劇場があるビルの入り口は写真①のように手書き看板があります。

写真② 古い映写機とポスター
写真③ 岐阜の映画史

 更にビル内やロビーには昔の映写機やポスター、岐阜の映画史など見応えがある展示もあります。
 3枚目の写真(左表)によるとロイヤル劇場は1926年にスタートした青雲館を元に形態を何度も変えて現在の形になったとのこと。もうすぐで100年なので凄い歴史です。

写真④ シアタールーム

 シアタールームも古くからのものを使用しており、椅子は恐らく木でできています。

・岐阜朝日映画劇場(成人映画館)

 柳ケ瀬商店街から西に少し離れたところに所在するアサヒビジネスホテルの1階が岐阜朝日映画劇場(以下文章では朝日映劇)。1500円払えば自由な時間に館内に出入りして1時間程度のポルノ映画(1日3本上映)を見る事ができます。写真③によると1957年に同名でスタートしてそのまま続いているみたいです。

写真⑤ 朝日映劇外観

 写真についてはフォフダにいろいろ残す度胸がなかったので外から撮影した写真⑤のみ。シアタールームについても常に映画を流している状態だったので撮影はスルー…ただ前方にトイレの入り口、後方にはお酒の自販機があってどちらも光を出していたのはちょっとした驚きでした。

◆映画館の価値とは?

 以前から映画館料金の高さについてはたびたび話題になっており、少し前にはTOHOシネマズが値上げを発表しましてこれまた話題になりました。

 それに加えてサブスクが充実した今の時代は「映画館で画を見る理由」について問われることも多く感じます。

 映画館の強みを考えたときに思い浮かんだのが以下3つです。
Ⅰ.最新・旬の映画を追える(時間的な強み)
Ⅱ.自宅では体験できない大画面や音響で見られる(環境的な強み①)
Ⅲ.ネットや騒音を遮断して集中して観られる(環境的な強み②)

 この3つの強みと今回行った2館の感想を踏まえて映画館の形やあり方について考えてみました。

・ロイヤル劇場 ~名画座は新しい映画館?~

 個人的に気になっていた『ケイコ 目を澄ませて』と映画館で見て面白かった『エブエブ』がどちらも上映から1年も経たずに配信、Ⅰの時間的な強みは薄れているのかなと感じます。

 時間的な強みが薄れるとなると映画館の今後ⅡとⅢの環境的な強みが中心になると考えられます。映画館の大画面や音響でしか感じられない体験があるのは新作も旧作も同様ですが、今回ロイヤル劇場で改めて実感しました。

 名画座は従来の時間的な強みを無視して環境的な強みに特化した新しい映画館であり、今後名画座に限らずリバイバル上映の価値が高まるのかもしれないと思ました。

・岐阜朝日映画劇場 ~映画館はもっと自由でいいかも~

 前述した通り朝日映劇のシアタールームはお酒の自販機とトイレの入り口あり、観客は自由に飲酒も出入りもできるので「映画に集中できる環境」ではありません。

 でもそういう映画館がもう少しあっても良いのかなと感じました。「映画館でしかできない映画の見方」なら集中して観る環境以外にも様々な形が可能だと思います。例えば数年前から話題になり始めた応援上映は完全に定着して、「静かに集中して観る」という従来の形とは異なる映画館の形ができています。

 朝日映劇の場合むしろ古い形の映画館が取り残されて自由な雰囲気が残されたわけですが、今後「映画館の強み」を模索していくうちにむしろそれが新しい映画館の形の1つになるのかもしれません。

◆映画の感想

 今回見た映画の簡単な感想です。朝日映劇については時間の都合上1本のみ視聴しました。

・ロイヤル劇場 『波の塔』監督:中村登 / 製作年:1960年

 原作は女性自身で連載された松本清張原作の長編小説「波の塔」、その後2006年にドラマ化もされています。

 一見関係なさそうなそれぞれの接点や伏線が少しづつ繋がっており、隙がなくしっかり組み込まれていた話の展開は良かったです。ただ時代特有(?)の感情をオーバーに表現する演技、破滅願望的な恋愛観による話が肌に合わなかったです。また、話の時間配分について中盤以降は自然でしたが、序盤はやたらと詰め込んでいる印象があってアンバランスに感じました。

・岐阜朝日映画劇場 『不倫ゲーム 燃え上がる女性たち』監督:浜野佐知 / 製作年:不明

  監督の浜野佐知さんは女性映画監督としては最多のポルノ映画製作数を誇る業界では大物監督だそうです(1998年以降は一般映画も作製)。

 主人公の学生の精神が徐々に不安定になる様子の表現、恐らく当時増加していた独身キャリーウーマンを活かした話など光る部分はありました。ただし全体の半分以上を占めていた性的なシーンが強引かつ冗長なため、話としては面白くなかったです。この辺についてはコンセプトが通常の映画と異なるので単純比較はするべきではないかもしれませんが、演技についてはその辺の違いを考慮しても終始棒読みで気になりました。

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