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敗軍の将、兵と地方とシャッター商店街と猫を語る。地域活性化を深く理解しないままに地元地…

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敗軍の将、兵と地方とシャッター商店街と猫を語る。地域活性化を深く理解しないままに地元地方都市で独立するも、天の時、地の利、人の和を得られず沈んでいった個人事業主。2020年8月現在、コロナを追い風に再起を図るも地方都市のジリ貧から脱せずにいる。早く東京に戻りたい。

最近の記事

加速するアノニマスヒューマン

さて、今年の8月に書いたこちらの記事、コンビニエンスヒューマンの追記をしていきたいと思う。こちらの記事を以下のようにくくった。 このように、今後の商業空間はコンビニや大手チェーンのみになり画一化されていくのだろうか。アノニマスな買い手とアノニマスな売り手によってのみなされる商取引が主体になるのだろうか。全国的に地方からこの流れが加速しているのは間違いないと見える。効率的な大資本が肥大化していくことが避けられない以上、首都圏にこの流れが波及するのも時間の問題であろう。首都圏に

    • コンビニエンスヒューマン

      商店街が死に絶えた理由の多くは、これまで述べたとおり消費者に支持されなくなった個人商店側の問題であった。さらにシャッター商店街は個人商店の「成り」であるとも述べた。コンビニは個人商店のもう一つの「成り」ではあるが、修羅道を選んだ個人商店でもある。寿命を迎えた個人商店の大半がシャッター商店という解脱へ到達したが、現世での徳(収益不動産)が低い商店、現世に対する未練が残る商店は修羅道にとどまった。コンビニの誕生である。本稿ではシャッター商店とはまた違った道を辿ったコンビニについて

      • ロードサイドという集金装置

        地方都市では大型ショッピングモールと、国道・幹線道路沿いに立ち並ぶチェーンストア、スーパー、ホームセンターが商業の中心だ。所謂ロードサイド文化と呼ばれるものだ。 これらロードサイドのチェーンストアはほとんどが首都圏に本社のある大企業だ。これらは地方の金を首都圏に吸い上げる装置として機能している。 ロードサイドのチェーンストアはまだ見ぬ(そして永久に見ることのない)大都会での生活への憧憬の念をかき立てる。都会の人間に「ニトリとユニクロしかない貧しさ」と酷評されても、地方都市

        • 最先端ノスタルジーと地方の風景

          大戦で焼けなかった旧市街の古い家に住んでいると、主に大都市圏の人が「古民家は素晴らしい、今の家はダメ」という勘違いとともに古民家に移り住みたいと言うが、夏の暑さと冬の寒さ、虫たちとのシェアハウス、修理維持の大変さ、現代ユーティリティーとの整合性の低さ(汲み取りトイレを水洗式にするとか、土間の台所にはシステムキッチンは入らないとか、エアコンの取り付けに一苦労するとか、そもそも風呂が無いのが市街地の古い家では常識だ)という現実が待ち構えていることは忘れてはならない。 ここで重要

        加速するアノニマスヒューマン

          地方の自立を考える#4

          人口の減少に伴い、スポンジ状に都市が衰退するのは前回述べたとおりである。今回は人口の減少という点について考察したい。 国内と比較して人口の少ない欧州では、20万人規模の都市は十分な大都市であり、50万人だと首都レベルである。例えばイタリア北部の工業都市、ブレシアは人口わずか20万人しかないが、GDPは393億ユーロ(2015年)あり、これはイタリア国内の2.4%を占める。日本国内で同規模の人口約20万人、観光にも工業にも強い鈴鹿市のGDPが8416億円(平成24年)しかない

          地方の自立を考える#4

          地方の自立を考える#3

          上にgoogleマップによる北海道某市の航空写真を示す。これを見ると市街地が家のある部分と空き地のスポンジ状になっていることがわかる。市街地が衰退するとき、元の面積を保ったままこのようにスポンジ状になっていくのはよく知られたことである。直感的には市街地が衰退するとき、中心部に向かって面積を小さくしていくと考えられるが、実際にはそうではない。(図の場所はJR駅前のとりわけ低密度な箇所である。ここは地権者などが絡んでおり一概に市街地衰退の結果とは言えないのだが、わかりやすい例

          地方の自立を考える#3

          地方の自立を考える#2

          地域活性化について補足本稿では、「その地域の地場産業、地場企業が本業で利益を上げ順調に成長できていること、その企業で雇用されている労働者に全国水準の正当な給与が支払われていること」を地域活性化と定義した。今回はこの地域活性化についての補足を述べる。 成功例を探るこの地域活性化の成功例には、まず愛知県が挙げられる。愛知県はもともと名古屋という大都市を抱えてはいるが、強力な自動車産業によって多くの雇用を確保し、所得の水準も高い。 過去に眼を遣ると、炭鉱や鉱山で栄えた九州、北海

          地方の自立を考える#2

          まちづくりとは何だろうか

          本稿では巷で散見されるまちづくりという単語について、私の見解と怒りをぶちまけてみたい。めんどくさいので参考文献も書かないし建設的な議論ではないので下のほうのハートマークをクリックして100円くらいお布施してページをそっと閉じることをお勧めする。 まちづくりとはいったいなんだろうか。シムシティだろうか。何もない荒野を開拓して都市でも作るのだろうか。そもそもまちが形作られていないからまちをつくるのだろうか。すでにあるまちを粉砕して新しく何か作るのだろうか。 まったくもって具体

          まちづくりとは何だろうか

          ダムに沈んだ村は幸せだ

          やあ (´・ω・`) ようこそ、バーボンハウスへ。 このタイトルは人寄せだから、まず読んで落ち着いて欲しい。 うん、「また」なんだ。済まない。 仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。 でも、このタイトルを見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない「ときめき」みたいなものを感じてくれたと思う。 殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい そう思って、この記事を書いたんだ。 ここからが本文さて、古式インターネットしぐさによる挨拶文は置いておい

          ダムに沈んだ村は幸せだ

          地方の自立を考える#1

          本シリーズでは、これまで述べた地方と地方活性化の諸問題を踏まえ、東京に金銭的に完全依存した状態から少しでもましな方向に舵を切る方策を考える。 地方活性化に本当に必要なもの『滅ぶ地方、ツケを払う東京 #4』で述べたように、ふるさと創生資金というものが1988年に行われた。地方交付税の交付団体である自治体に一律1億円が交付され、使途は自由裁量というものであった。これには地方の自活能力を計るという一面もあった。ほとんどの自治体が後々負担になるハコモノかモニュメントを作って終わって

          地方の自立を考える#1

          敗軍の将、兵と地方とシャッター商店街と猫を語る #5

          敗因をまとめる今回は今までの敗因をまとめたい。 1. 人口の少ない都市では比率的に顧客が少ないが、それを既存店舗が囲っている 2. 中規模な地方都市は人口の流動が少なく、転勤や進学などによる新規顧客が望みにくい 3. 地方では特殊な商品に興味を示すアーリーアダプター層が極めて薄い 4. 金がない 5. 出店エリアのミス この中で重要なのは4の金がないという点である。一般のサラリーマン家庭に生まれてしまった以上、実家からの資金供給は限られる、というよりは皆無だ。土地

          敗軍の将、兵と地方とシャッター商店街と猫を語る #5

          滅ぶ地方、ツケを払う東京 #4

          地方を活かすためにはどうすればよいのか本稿ではこれまで地方を活かす必要性があるのか、地方がどのように金を無駄にしているのか述べてきた。今回は、地方の諸問題を解決する方法を考える。 地方の諸問題解決のために地方の役所は都会に対して地方の良さや魅力をアピールしているが、地方に無いものは魅力ではなくて産業と仕事だ。これが地方の問題を解決するすべてである。これでシャッター商店街の記事でも述べた、地方の問題がすべて解決する。 地方に産業がないから仕事を求めて若者は(特に大卒以上の本

          滅ぶ地方、ツケを払う東京 #4

          滅ぶ地方、ツケを払う東京 #3

          死骸に集る分解者分解者としてのニッチに属している、人間の大半が嫌うような節足動物やカビや菌類の多くは、自然界にはなくてはならない存在だ。死体を食べる生き物がいるからその死体は速やかに分解されていく。木材を食い腐朽させる菌がいるから現代の木は枯れても石炭にはならず物質は循環する。 死にかかって腐敗した地方にも似たようなものが集る。私がさんざんここで小馬鹿にしてきた「にぎわい創出事業」がそれだ。これには様々な面々があつまる。残念ながら自然界の分解者とは異なり、これらにはあまり存

          滅ぶ地方、ツケを払う東京 #3

          滅ぶ地方、ツケを払う東京 #2

          前回に引き続き、東京のカネで地方を生かしている現状について考えたい。 そもそも地方を生かす必要があるのか地方をそもそも生かしておく理由はたぶんない。日本は狭い国土の割りに山がちでインフラも整備しづらい。ヨーロッパで道路を運転したことのある人間ならわかるだろうが、いかに平野が多く土地が使いやすいかということを身にしみて理解するだろう。同時に、ドイツ車はああいう何も無い平野の直線道路をかっ飛ばすためにできていると理解できる。ロータリーが渋滞の緩和に有効なのも理解できるが、同時に

          滅ぶ地方、ツケを払う東京 #2

          勤め人を辞めてよい人、よくない人 #2

          前回はどんな人が独立してやっていけるかを解説したが、その理由が失敗後のセーフティネットの有無に偏っていたので、太い実家がないという点の弱み(どんな惨状になるか)を見ていこう。 まず、どのような業種でもそうだが、独立前からよほどの知名度があるか何らかのコネがない限り、あなたの事業に顧客はつかない。顧客が付かないと実績にならない。実績がないと顧客が付かない。以上のような卵か鶏かを繰り返すことになる。それでも時間がたてば奇特なローンチカスタマーが現れ、事業が軌道に乗るかもしれない

          勤め人を辞めてよい人、よくない人 #2

          勤め人を辞めてよい人、よくない人

          結論から言うと、まず辞めるかどうか迷っている人は確実に辞めてはいけない人である。今の勤務先が嫌なら転職しよう。 辞めてよい人は、 1. 実家が太い人である。実家が事業をしていて跡継ぎになれとは言われないけどそういう空気を漂わせている場合には勤め人を積極的に辞めたほうがいい。あなたの事業が失敗してもセーフティネットがある。どんどん失敗しよう。 2. 気がついていたら辞めていた人である。フリーランスで生きていける人は辞めても問題ないだろう。実力によっては辞めたほうが儲かる場

          勤め人を辞めてよい人、よくない人