まず目に入るのは、濡れている部分と乾いている部分のコントラスト。濡れている部分は黒く艶があり、乾いている部分は灰色で艶がない。その境界線が不規則な模様を作っている。
よく見ると、日当たりの良い場所が必ずしも早く乾くわけではないことに気づく。むしろ、車や人が頻繁に通る場所のほうが早く乾いているように見える。でも、それは本当に早く「乾いて」いるのだろうか?それとも、水が別の場所に移動しているだけなのだろうか?
地面をもっとよく観察すると、アスファルトの表面に細かい凹凸があることがわかる。水たまりは必ずその凹みに残る。でも、その水たまりも時間とともに消えていく。蒸発しているのか、地面に吸収されているのか、それとも両方なのか。
車が通ると、タイヤの後ろに水しぶきが上がる。その水はどこへ行くのだろう?空気中に飛び散って消えるのか、それとも別の場所で再び地面に落ちるのか。そして、その過程は乾燥を早めているのだろうか、遅めているのだろうか。
観察を続けていると、どんどん新しい疑問が湧いてくる。なぜ濡れた地面と乾いた地面では色が違って見えるのだろう?これは光の反射の仕方が関係している。明るい部分は光を反射し、水に濡れた部分は光を反射しない。水は物体の表面を均質化し、細かい凸凹による乱反射を発生させないようにする。
また、地面の材質によっても乾き方が違う。アスファルトと土と砂利では、明らかに水の消える速さが違う。これは表面積の違いなのか、それとも材質自体の性質の違いなのか。そもそも「乾く」とはどういう状態を指すのだろう?見た目が乾いていても、本当は内部に水分が残っているかもしれない。
風が吹くと地面は早く乾く。でも、これは本当に「早く乾いている」のだろうか?それとも、単に表面の水が移動しているだけで、全体としての水分量は変わっていないのだろうか?
こうして観察を重ねていくと、「乾く」という現象自体への疑問が深まっていく。私たちは日常的に「乾く」という言葉を使うけれど、その実態は案外わかっていないのかもしれない。水はどこへ消えるのか。空気中に溶けていくのか、それとも目に見えない粒子として浮かんでいるのか。
そして、この「乾く」という現象は、もっと大きな水の循環の一部なのかもしれない。雨が降って、地面が濡れて、乾いて、また雨が降る。この繰り返しの中で、水はどんな旅をしているのか?