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リーダーで会社の成長・未来は決まらない?影響無し?(素敵なリーダーになりたい編_v4-41)

昨日に引き続き、「ファスト&スロー」(ダニエル・カーネマン著、村井章子訳、早川書房)からの、気づき。

大学時代は経済学を専攻。当時、ひとは合理的・理性的に意志決定し、選択し、動く(経済活動する)、を前提とした学問だった。変なの、と思っていた。

だって: 人間なんて理性的でもなく、ロジカルでもなく、未熟で、不完全で、誤解ばかりに、主観ばかり。何らかの調査項目ごとにそりゃマジョリティは存在するけれど、それを構成するひとは変わるだろうし、それぞれの個人は個性的で多様。当然。普段の生活でそんなことはすぐにわかる。理性的なわけがない。なのに、理性的に人は動くを前提にする学問。それで成り立つの???

2005年頃からだったか、仕事柄「行動経済学」の本を読み出した。単純化すると、やっぱり人間はバイアスだらけで、はちゃめちゃね、理性的なんてありえませんね、という経済学の修正。やっとですね。

これらバイアスだらけの人間の不思議?当然?を楽しんでいた中で、このダニエル・カーネマンさん、ノーベル経済学賞をこの行動経済学で受賞された方、の冒頭の本に出会う。様々な人間のバイアス、それに基づく人間の意志決定プロセス・メカニズムが紹介される。とても勉強になります。

で、一方で、「ビジョナリーカンパニー(現在は5シリーズ)(ジェームズ・C・コリンズ他著、山岡洋一他訳、日経BP)」という本も読み、こちらも学びがたくさん。

好きなフレーズや小話がたくさん。はずみ車の法則やら、BHAG(Big Hairy Audacious Goal、社運を賭けた大胆な目標)、どこに向かうかより誰と同じバスに乗るかが大切、カリスマ性無いリーダーも多いよ、など。とても参考に、ボクの勇気に・自信に。特に、シリーズの中でも、1,2,ZEROの3冊は良い作品のように思っています。

で、悩ましいのが、前者の本は、後者の本を痛烈に批判している。どっちを信じるのー?!?!

前者の批判はこんな:

素晴らしいリーダーになる手法はこれだよ、それをマスターしたら、収益性高い成長継続企業を作れるよ、なんて言うが、そんなことは全く無いですよ。嘘ですね。ビジョナリーカンパニーに登場した”すばらしい”企業は、この本の調査期間後には、ぱっとしない企業と同じ収益性・株式リターンになっていますよ。残念ながら、とのこと。

さらに、リーダーシップ、経営手法のクオリティで会社の業績は決まりませんよ。すばらしいビジョンとたぐいまれな能力を持つCEOがいたとしても、高業績をあげられるかは、コイントスの結果とかわりませんよ、とのこと。

だいたい、後知恵です、とのこと。つまり、成功企業の事後の各種調査・分析では何でも言えて、単なる後知恵バイアス、結果バイアスに翻弄されているだけです。ま、後出しジャンケンです。会社活動の予測なんてのは、まぁ、誰も当たっていないのですよ、とのこと。

医者だって、裁判官だって、心理学者だって、経済予測するような評論家・学者だって、株のトレーダーだって、人間ってバイアスだらけで、正しい判断をしていると自分では思うのだけど、そういう風に脳が機能するようにできているのだけど、間違うこと多々ありますよ。もちろん偶然に成功することもありますけどね、的な的な。

さらには、リーダーが企業の業績に影響する程度なんて、ま、30%ぐらい、とのこと。50%も無い。リーダーがすべてと主張しているボクの心をぐさりぐさり。。。リーダーの価値はあまり無い。。。

ボクは、この大好きな「ビジョナリーカンパニー(シリーズ)」を批判し、ぐさりぐさりとボクの心を刺す、これらの主張を”信じている”。人間は間違えるし、バイアスだらけだ。それを自己認識する能力すら欠けている。リーダーだけが社運を左右するとも思わないし、リーダーシップ・経営の手法を学んだところで、確実に良い未来を作れるとも思えないし、そもそも、その手法すら正しいかわからない、と思っている。

でも、別にいいのだ。それでも、「ビジョナリーカンパニーシリーズ」が言うリーダーシップ像に感銘を受け、それが他の選択肢より組織を強くするような気がするのだから、ボクがリーダーの会社ではそれを実現するだけだ。

だって、リーダーシップは何かしらのスタイルで発揮しないわけにはいかないのだから。そこにリーダーとして存在するなら、リーダーシップも自動的に出来上がるのだから。何かのリーダーシップを発揮するしかない。もし、ボクのリーダーシップが嫌なひとは一緒にいなければいいだけ。

それに、リーダーシップの影響が会社の業績・成長の主要な要因で無いなら、ある意味、どんなリーダーシップでも良い、ということになる。なら、ボクは「ビジョナリーカンパニーシリーズ」のようにする。結果として、ボクのリーダーシップで会社が上手く行かない、かもしれないが、それは逆手に取ると、リーダーシップが主原因ではない訳だから、その他の色々な偶然が相まって至っているのならば、翌年は上手く行くかもしれないのだもの。。。

競争厳しい世の中。辛い環境や頑張らないといけない時があり、無理を仲間にお願いしないといけないことも多々。仲間がやりたくない・やりにくいことも、どうしても課さないといけない場合もある。無理難題を目の前に、怒り・怒鳴り・叱り・イライラするリーダーとして存在するのではなく、「ビジョナリーカンパニーシリーズ」が教えてくれる「やさしいリーダーシップ」を発揮する「やさしいリーダー」として存在したい。それで別にいいのです。

大好きな2つの本。一方が他方を批判しているけど、ボクの中では両方がうまく共存している

「素敵なリーダー」: 「経済行動学」から知るバイアスだらけの自分。それにすら気づけない自分。リーダーが如何にすばらしかろうが、あるべき経営手法を発揮していようが、それだけで会社の成長・未来は決まらない。そうであろうと認識する。それでも、「ビジョナリーカンパニーシリーズ」から感銘受けたリーダーシップ像(=やさしいリーダー)を実現し、仲間と共通のビジョンに向け、壁が来ても諦めず、楽しく笑顔で、努力・挑戦を続けたい。それが、会社の良し悪し・成長性を決めるわけではない、としても。。。少なくとも自分と仲間の成長(人格的、知性的)は実現するのだから。それに、これが、仲間にとって心地良く、一緒にいたいリーダーシップだと信じて。

こんな素敵なリーダーになりたいですね。

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