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ロマ人自立支援NGOでのインターン経験2 #19歳僕のギリシャ2ヶ月放浪記10

1ヶ月程のロマ人自立支援NGOで僕がどんな活動をしたか簡単にまとめたい。とりあえず羅列すると、1. キャンプの訪問 2. 仕事場(ゴミ処理場)訪問 3. 不登校児童のフリースクール訪問 4. 警察庁訪問 5. 今後の施策会議参加の5点である。

1. キャンプの訪問

キャンプ内に暮らす大家族


アテネ郊外にあるキャンプ(ロマ人集落)をいくつか回った。キャンプは大体何もないところにポツンとあった。特徴的なのが、ゴミの壁に囲まれていて(ゴミ収集車が来ない)、頭上には大量の電線が絡まっている(電気が通っていないためどこかの街から電線を繋いできて電気泥棒している)。
Sotirisとともにそれぞれのキャンプを周りながら、メインは就職先についての議論をしていた。Sotirisの団体はロマ人に職を与えて、彼らが自立して(犯罪から離れて)生活できるようロマ人のサポートを行っていた。一番の問題は、職場を紹介しても長く続かず、すぐに辞めてしまうことであった。様々な理由があるが、主な理由は職場での差別である。初めはカフェなどの公共空間における仕事を紹介していたが、同僚や客からの差別が理由で持続的な職場ではなかったため、当時はゴミ処理場でのリサイクル分別業務を中心に仕事を紹介していた。ただ、低賃金であることややりがいのなさなどを理由にロマ人からは不人気な仕事であったため、今後どうしていくかなどの議論がキャンプで行われていた。
Sotirisの翻訳を頼りに議論に参加することもあったが、翻訳をしてもらうことによって議論が止まってしまう申し訳なさから、僕は外に出て子供達と一緒に遊ぶことが多かった。ただこの子供達と遊ぶという事が、大人達の信頼獲得に繋がった。Sotirisとキャンプに入るたびに、大人達は僕に対して冷ややかな目を向けて来ていた。アジア人が彼らのキャンプに入ることが初めてであったらしく、「何だこのアジア人は、関係ないなら出て行ってくれ」といった声もあった。一方で子供達の反応は真逆だった。僕の事を興味深く見ては笑顔になってくれたりと、子供たちは大人達の議論に参加したいができなかった僕のオアシスになってくれていたこともあり、一緒に外でたくさん遊んだ。そんな理由で子供達と楽しく遊ぶ僕を見ていた大人達は、徐々に僕に心を開いてくれるようになった。キャンプに通うごとに大人達も僕に笑顔を向けてくれたり、しまいにはご馳走(ヤギ1頭丸ごとを使った料理(ヤギはキャンプ内を歩き回っていたためその内のどれかがここに料理としているのかと考えていた))を振舞ってくれたりと徐々に好意的に接してくれるようになった。最後には、大人達含めてサッカーを楽しむなど、ロマ人キャンプでは遊んでばっかだったが、今となってはとてもいい記憶である。

2. 仕事場(ゴミ処理場)訪問

ゴミ処理場で働くロマ人

当時どのような場所でロマ人が働いているかの様子を見学させてもらった。それは大量のゴミが毎日運ばれてくるゴミ処理場だった。そこでロマ人はゴミの分別作業を行っていた。そこで働くロマ人から現在の悩みや課題などもろもろとヒアリングしていた。シンプルにまとめると、低賃金だしスリなどの犯罪した方が儲かるんじゃないかと考える人や、誇りを持って仕事に取り組む人、単純にやる気がない人など多種多様であった。

3. 不登校児童のフリースクール訪問

ロマ人フリースクールの授業風景

大人達の職場でも差別があるように、子供達の学校でもロマ人差別は後を絶たなかった。そんなことに嫌気が差した子供達は学校に行かなくなるため、ある団体がロマ人向けにフリースクールを運営していた。そこではギリシャ人が子供達に丁寧に学習の指導をし、休み時間はみんなで全力で遊ぶなど、子供達が幸せそうにしている姿を見て、少し泣きそうな自分もいた。フリースクールに何日間か通わせてもらい、子供達と至福な時間を過ごした。

4. 警察庁訪問

何故警察庁を訪問したかというと、Sotirisの団体は週一でロマ人に対する接し方を警察に教育していたからである。ギリシャの警察は暇になったらロマ人を逮捕しに行くことが頻繁にあった。特に犯罪を犯していないロマ人なども含め、てきとうに逮捕して自分の手柄にする警察がいるそうだ。逮捕理由は、1.でもあったようにゴミの不法投棄や電気の無断利用など様々であったが、とりあえず何か理由をつけて逮捕するといったことが行われていた。
僕は1度だけこの会議に参加したことがある。1度であった理由としては、関係者でもない僕が警察庁に入ることがとても難しかったからである。警察庁前には銃を構えた人が立っており、敷地内に入るための厳重な身分確認が行っていた。Sotirisは簡単に入れるのだが、僕が入ろうとした時は拒否された。Sotirisが30分程交渉してくれて、パスポートの提示、細部までの身体確認などを終えて、1度だけ入ることが許可された。銃を持った人間に疑われることが初めてであったため、若干の恐怖感を感じていた。入ることを許可された日は警察に対する「授業」にも参加し、貴重な体験をした。

5. 今後の施策会議

会議の様子

月に2回ほどそれぞれのロマ人キャンプの長や支援団体の長などを集めて、今後の支援施策に関する議論が行われていた。それも一度だけ参加した。内容は、今までの施策を振り返り、ロマ人としての意見や、支援団体としてサポートできることの説明などが行われていた。

以上、かなり簡単にインターン内容について記載したが、活動を経ての感想などは次の記事で書きたい。

つづく。


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